スペースX Crew-5

スペースX Crew-5はNASA商業乗員輸送プログラムにおける、クルードラゴン宇宙船での5回目、有人軌道飛行としては8回目の宇宙飛行ミッションである。国際宇宙ステーションへの4名の乗員を輸送するために2022年10月5日に打ち上げられた。このミッションには2名のNASAの飛行士、1名のJAXAの飛行士および1名のロシア人飛行士が割り当てられた。乗員のうちの3名は、ボーイングのスターライナー計画の遅れを反映して割り当てられた。ニコール・マン船長はボーイングのBoe-CFTミッションから再割り当てされ、ジョシュ・カサダ操縦士とミッションスペシャリストの若田光一はボーイング スターライナー1から移った[5][6]アンナ・キキナソユーズMS-22から再割り当てされた。すでに4回の宇宙飛行を経験しているベテランの若田光一を除く3名にとっては、今回が初めての宇宙飛行となった。

スペースX Crew-5
Crew-5の宇宙飛行士を乗せてLC-39Aから打ち上げられるクルードラゴン エンデュランス
名称USCV-5
任務種別ISS乗員輸送
運用者スペースX
COSPAR ID2022-124A
任務期間157日 10時間 1分[1]
特性
宇宙機クルードラゴン エンデュランス
宇宙機種別クルードラゴン
製造者スペースX
打ち上げ時重量12,519 kg
着陸時重量9,616 kg
乗員
乗員数4
乗員
  • ニコール・マン
  • ジョシュ・カサダ
  • 若田光一
  • アンナ・キキナ[2]
任務開始
打ち上げ日2022年10月5日 16:00:57 UTC[3]
ロケットファルコン9ブロック5 B1077.1
打上げ場所ケネディ宇宙センターLC-39A
打ち上げ請負者スペースX
任務終了
回収担当Shannon
着陸日2023年3月12日 02:02 UTC[4]
着陸地点メキシコ湾
軌道特性
参照座標地球周回軌道
体制低軌道
傾斜角51.68°
ISSのドッキング(捕捉)
ドッキング ハーモニー 前方側
ドッキング(捕捉)日 2022年10月6日 21:01 UTC
分離日 2023年3月11日 07:20 UTC
dock時間 155日 10時間 19分

スペースX Crew-5の徽章

(左から)キキナ、カサダ、マンおよび若田
商業乗員輸送計画
スペースX Crew-4
COSPAR ID2022-124A

クルー

今回のミッションは各クルー交代ミッションでNASAの飛行士とロスコスモスの飛行士を少なくともそれぞれ1名搭乗させるためのソユーズ・ドラゴン交換システムの一環として、ロシア人宇宙飛行士のアンナ・キキナが搭乗する初めてのクルードランゴンのミッションとなった。これによって、両国がステーションに存在することが保証され、ソユーズまたは商用乗員機のいずれかが長期間飛行停止になった場合でも、別々のシステムを維持することを可能となった[7]。この飛行は、STS-113に搭乗したニコライ・ブダーリン以来のアメリカの宇宙船でのロシア人宇宙飛行士の飛行であるとともに、アメリカの宇宙カプセルでの初めてのロシア人宇宙飛行士の打ち上げとなった。座席交換は(ロシア側によってのみ)2022年6月に承認された[8]

正クルー

地位 宇宙飛行士
船長 アメリカ合衆国の旗 ニコール・アウナプ・マン, NASA
第68次長期滞在
1回目の宇宙飛行
操縦士 アメリカ合衆国の旗 ジョシュ・カサダ, NASA
第68次長期滞在
1回目の宇宙飛行
第1ミッションスペシャリスト 日本の旗 若田光一, JAXA
第68次長期滞在
5回目の宇宙飛行
第2ミッションスペシャリスト ロシアの旗 アンナ・キキナ[2], Roscosmos
第68次長期滞在
1回目の宇宙飛行

ミッション

商業乗員輸送計画での5回目のスペースXの実運用ミッションが2022年10月5日 UTCに打ち上げられ、2023年3月11日 UTCに地球に帰還した[3]

Crew-5 商業乗員輸送ポスター
LC-39Aでファルコン9に載せられたCrew-5

ソユーズMS-22クルー帰還のバックアップ

微小隕石の衝突によってソユーズMS-22の冷却器に直径0.8mmの穴が開いたことから[9]、ソユーズMS-22の安全性に疑義が呈された。そこで代替機として2023年2月24日にソユーズMS-23が無人で打ち上げられた[10][11]

MS-23がISSにドッキングするまでは、スペースX Crew-5が非常の場合にMS-22のクルーを帰還させるオプショとしてみなされていた。これは、スペースXが当初クルードラゴンに7名同時に搭乗することを前提に設計したことから可能となる。これらの理由から、国際宇宙ステーションのミッション管理チームはNASAの宇宙飛行士フランシスコ・ルビオの座席の内張を、ルビオが緊急避難のために宇宙ステーションから地球に戻る必要が発生した場合に備えて救命ボート機能を確保するために、ソユーズMS-22宇宙船からクルードラゴン・エンデュランスに変更することを決定した。内張は2023年1月17日の始めに移され、設置と設定は翌日のほぼ全日を要した[12]。この変更によって、MS-22宇宙船内部の熱負荷が減少してクルー保護能力が向上したので、非常時にはプロコピエフとペテリンががMS-22で地球に帰還することも可能となった。スペースX Crew-5離脱後は、Crew-6宇宙カプセルも緊急避難としてクルーを戻すために機能するように設計されている[13]

2023年2月26日にMS-23が宇宙ステーションに到着してからは、ルビオの座席内張は新しいソユーズに移され、セルゲイ・プロコピエフドミトリー・ペテリンの座席内張はソユーズで帰還するためにMS-22からMS-23に移された[12]

関連項目

脚注

  1. SpaceX F9 / Crew Dragon : Crew-5 : KSC LC-39A : NET 5 Oct 2022 (16:00:57 UTC)”. 2022年10月17日閲覧。
  2. Roscosmos head hinted yesterday that crossover flights to #ISS, including launch of Russian cosmonaut Anna Kikina on the US Crew Dragon, would proceed as scheduled.”. 2022年10月17日閲覧。
  3. Clark, Stephen (2022年9月28日). SpaceX, ULA postpone launches as Hurricane Ian moves toward Florida”. Spaceflight Now. 2022年9月28日閲覧。
  4. "NASA's SpaceX Crew-5 Splash Down Near Florida Coast, Safe on Earth". NASA (Press release). 11 March 2023. 2023年3月30日閲覧
  5. "NASA Announces Astronaut Changes for Upcoming Commercial Crew Missions" (Press release). NASA. 6 October 2021. 2021年10月6日閲覧  この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
  6. @jaxa_wdc (2021年10月12日). "JAXA has announced their WAKATA Koichi @Astro_Wakata is headed for the International Space Station aboard SpaceX's…". X(旧Twitter)より2022年8月5日閲覧
  7. Foust, Jeff (2021年10月26日). “Rogozin says Crew Dragon safe for Russian cosmonauts”. SpaceNews. https://spacenews.com/rogozin-says-crew-dragon-safe-for-russian-cosmonauts/ 2021年12月17日閲覧。
  8. Распоряжение Правительства Российской Федерации от 10.06.2022 № 1532-р ∙ Официальное опубликование правовых актов ∙ Официальный интернет-портал правовой информации”. publication.pravo.gov.ru. 2022年6月11日閲覧。
  9. Госкорпорация «Роскосмос»”. 2023年3月3日閲覧。
  10. Pavlushchenko, Katya [@katlinegrey] (2022年12月19日). "A big update on the incident with #SoyuzMS22 appeared on the Roscosmos website: t.co/cJGMOhh9Xr. Quick summary in the thread below. ⤵️ t.co/Gj1SCTG49j" (英語). 2022年12月19日時点のオリジナルよりアーカイブX(旧Twitter)より2022年12月20日閲覧
  11. Tyler Gray (2023年2月25日). “Uncrewed Soyuz MS-23 "rescue" mission arrives at ISS”. https://www.nasaspaceflight.com/2023/02/soyuz-ms-23-launch/ 2023年3月28日閲覧。
  12. Garcia, Mark. Spacewalk Preps Continue as Soyuz Seat Move Planned as Precaution (英語). blogs.nasa.gov. 2023年1月14日閲覧。 この記事には現在パブリックドメインとなった次の出版物からの記述が含まれています。
  13. (英語) Expedition 68 NASA’s SpaceX Crew-6 Leaders Discuss Mission - Jan. 25, 2023, https://www.youtube.com/watch?v=5OCET6AMDsQ 2023年2月14日閲覧。
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