トーチー・ザ・バッテリー・ボーイ

『トーチー・ザ・バッテリー・ボーイ』(Torchy the Battery Boy、電気じかけのトーチー)は、1960年にイギリスでジェリー・アンダーソンが作った、人形劇スタイルの子供向けテレビドラマである。白黒作品で、日本では公開されていない。

Torchy the Battery Boy
ジャンル 冒険
子供番組
ファンタジー
原案 ロバータ・リー
脚本 ロバータ・リー
監督 ジェリー・アンダーソン(第1期)
ヴィヴィアン・ミルロイ(第2期)
声の出演 ケネス・コナー
ジル・フロイド
オルウィン・グリフィズ
パトリシア・サマーセット
作曲 バリー・グレイ
国・地域 イギリスの旗 イギリス
言語 英語
シリーズ数 2
話数 52
各話の長さ 約13分
製作
プロデューサー ロバータ・リー
ジェリー・アンダーソン(第1期)
撮影監督 アーサー・プロヴィス
撮影体制 一台
製作 ペラム・フィルムズ
APフィルムズ(第1期)
ABCウィークエンド・テレヴィジョン(第1期)
パテ(第2期)
配給 アソシエイテッド・レディフュージョン
放送
放送チャンネルITV
映像形式白黒
音声形式モノラル
放送期間1959年 (1959) - 1961年 (1961)
番組年表
前作ジ・アドヴェンチャーズ・オブ・トゥイズル

概要

梗概

バンブルドロップ氏が所有するプードルのポムポムが子どもたちとタコを飛ばしていると突風が吹き、タコは飛ばしているポムポムとともに飛ばされてしまった。そこでバンブルドロップ氏は電気仕掛けのトーチーという人形を作った。トーチーのおでこにあるライトは探しものを見つけることができ、ポムポムの居場所としてライトが照らしたのは遠い星のトプシー=ターヴィ・ランドだった。そこでバンブルドロップ氏はロケットを一夜で作りトーチーを乗せて自宅の庭から打ち上げる。トーチーはトプシー=ターヴィ・ランドと地球で仲間たちと様々な冒険を繰り広げる。

第1期の製作

私は二本のワイヤを接触させたが、何も起こらなかった。「カット!」「撮影開始!」 再び二本を接触させたが、何も起こらなかった。これが大きな撮影だったらから心配になった。私の右側には華麗な柱があって10アンプのプラグが埋め込まれていた―2つの真鍮製の穴だ。今回は二本のワイヤをそこにつっこんだ。とてつもない光が起きて、しばらくの間何も見えなかった。全ての火花が点火され、大量の煙が出て、誰もが叫び大声を上げていた。そして画面の端まで上昇させ、最初の特撮映像が完成した。少々素人くさかったが、ついにやったんだ。
— 初めての特撮について回想するジェリー・アンダーソン[1]

前作『ジ・アドヴェンチャーズ・オブ・トゥイズル』の後に破産の危機にあったAPフィルムズは外部の仕事を引き受けて会社をなんとか存続させていた[2]。そして再びロバータ・リーから番組制作の依頼を受けたAPフィルムズは、1958年に本作の5本のパイロット版エピソードを製作し始めた[3][2]。今回は『ジ・アドヴェンチャーズ・オブ・トゥイズル』のときの張り子ではなくケミカル・ウッド(成形用素材)を用いて人形は製作された[4][3]。また、後にスーパーマリオネーションの特徴となるリップ・シンク装置の原型となるものが人形師クリスティーン・グランヴィルによって製作された。それは糸で動かすことのできる口であったが、その可動のための隙間を埋めるために革が用いられた[3]。グランヴィルは前作の人形師主任ジョイ・ローリーが他作に関わることで本作で主任を引き継いだ[4][3]。その補助には前作に引き続きマレー・クラークの他、新しくメアリー・ターナーが参加した[3]。

8月までにパイロット版が製作されるとロバータ・リーはAPフィルムズとの関係を一度は絶ったが、9月に2万7千ポンドの予算で残りの21話の製作を依頼した[2]。1958年10月の契約では翌1959年1月から7月まで月に3話ずつ製作することとされた[2]。

台詞はスタジオとなっていたマナーハウスのアイレット・パークの寝室で録音された。録音技師のジョン・テイラーは許可無しで部屋の改造ができなかったため「毛布を壁に引くことで部屋を無響室とした」と証言している[5]。声は前作とは異なりケネス・コナー、ジル・フロイド、オルウィン・グリフィズ、パトリシア・サマーセットの4人が担当した。

トーチーには後のアンダーソン夫妻の作品に受け継がれるもの、つまりロケットの発射がある。ジェリー・アンダーソンはこの撮影について「素人くさかったが、ついにやった」と後年回想している[6]。

製作は1959年3月に完了し[1][注 1]、ロバータ・リーは再びAPフィルムズに第2期を発注したが、スタジオは辞退した。リーのやり方にスタジオは反対していた上[6]、ジェリー・アンダーソンはリーに依存すべきでないと感じていた[7]。ロバータ・リーが紹介した作曲家のバリー・グレイはAPフィルムズに強い興味を持ち続け、自らの人形劇の構想をAPフィルムズに持ち込んでいた[8][9]。1958年11月にはこの新番組のために新しい人形師ロジャー・ウッドバーンが雇われロバータ・リーに感づかれないように仕事を行わせた[10]。ロバータ・リーとの別れは、1959年10月にAPフィルムズの「AP」つまりジェリー・アンダーソンとアーサー・プロヴィスの別れもやがて引き起こすこととなる[11][12][7]。

第2期の製作

APフィルムズから人形やセットの所有権を引き取ったロバータ・リーは自身の会社ペラム・フィルムズを立ち上げ[4]、ヴィヴィアン・マイロニーとともに英国パテ社で26話の製作を行った[13]。

放映

イギリスでの初放映はABCノース局とABCミッドランズ局で1959年から行われた[1][14]。この後半期にはAPフィルムズの新作『ウエスタン・マリオネット 魔法のけん銃』がグラナダ局で放映されている。

技術面

人形の眼と口が手動で動く様になった。主役のトーチーはタイトル通り、頭にライトもある。ただ、まだ技術がつたなかったのか、ギミックを組み込んだ顔は均整さを欠いており、これは次作『ウエスタン・マリオネット 魔法のけん銃』で払拭される。またこの後の作品をよく見ると、『The Adventure of Twizzle』と『Torchy the Battery Boy』、『スーパーカー』と『宇宙船XL-5』と言う具合に、ある新しい技術で新鮮な映像が出来ると、同じ技術でもう1作作り、そのまた次はさらに新しい技術を入れると言う「1技術で2作制作」といったバランス進行がうかがえる(あくまでも大体であり、全作品が2作毎ではない)。

各話リスト

話数題名英国初回放送日[14]監督脚本
第1シリーズ
1Pom-Pom and the Toys59年01月11日ジェリー・アンダーソンロバータ・リー
2Topsy Turvy Land59年01月25日
3Torchy and Squish59年02月08日
4The Building of Frutown59年02月22日
5Torchy and the Broken Rocket59年03月08日
6King Dithers59年03月15日
7Torchy Returns to Earth59年03月22日
8Bossy Boots Goes to Topsy Turvy Land59年03月29日
9Bossy Boots Is Taught a Lesson59年04月05日
10A Bell for a Penny Farthing59年04月12日
11A Trick on Pom-Pom59年05月03日
12Torchy Is Stolen59年05月10日
13King Dithers Loses His Crown59年05月30日
14Pilliwig Gets a Present59年06月07日
15Bad Boy Bogey60年05月31日
16Torchy and the Strange Animal59年07月19日
17Bossy Boots Forgets to Be Good60年06月14日
18The Hungry Money Box59年08月23日
19The Naughty Twins59年08月30日
20The Twins Learn a Lesson60年07月05日
21King Dithers Goes Down to Earth59年09月13日
22Torchy Is Saved at Last59年10月10日
23Torchy and the Man on the Moon60年07月26日
24Bogey and the Statues60年08月02日
25The Moon Falls Asleep60年08月09日
26Torchy’s Birthday60年08月16日
第2シリーズ
1Flopsy Goes on a Picnicヴィヴィアン・マイロニーロバータ・リー
2Torchy Gets a Surprise
3Banana Bridge
4King Dithers and Daffy
5The Toys Get the Collywobbles
6Bogey Learns Another Lesson
7The Pollikan Bird Is Stolen
8Torchy Has an Accident
9Sparky the Dragon
10Bogey Is Naughty Again
11Pilliwig Cleans the Chimney
12Pongo the Pirate
13Pongo in the Goldmine
14King Dithers’ Birthday
15Washing Day in Topsy Turvy Land
16Gluebell Wood
17Squish Falls Down a Well
18Flopsy in Trouble
19The Big Storm
20Daffy’s Birthday
21Flopsy Makes a Christmas Pudding
22Gilly Golly in Trouble
23King Bumble Drop
24A New Suit for Pilliwig
25The Obstinate Donkey
26Pom-Pom Gets the Hiccups

ソフト

リージョン2/PALのDVDが英Networkより販売されている。

  • Torchy the Battery Boy: The Complete Series 1[15]
  • Torchy the Battery Boy: The Complete Series 2[16]

脚注

注

  1. 1959年4月とする文献もある[4]。

出典

参考文献

  • Archer, Simon; Nicholls, Stan (1996). Gerry Anderson: The Authorised Biography. Legend Books. ISBN 0-09-978141-7
  • ラリビエー, スティーブン『別冊映画秘宝 海外TVドラマ・マニアックスVol.5 最新検証! 21世紀サンダーバード読本』洋泉社、2012年。ISBN 978-4862487155。
  • La Rivière, Stephen (2014). Filmed in Supermarionation (2nd ed.). London, UK: Network Distributing. ISBN 978-0-992-9766-0-6
  • ハーン, マーカス『サンダーバード完全記録』ボーンデジタル、東京,日本、2015年。ISBN 978-4-86246-290-9。

外部リンク

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