プラーグの大学生 (1913年の映画)

『プラーグの大学生』(プラーグのだいがくせい、ドイツ語: Der Student von Prag)は、1913年に公開されたドイツのサイレント・ホラー映画。エドガー・アラン・ポーの短編小説『ウィリアム・ウィルソン』、アルフレッド・ド・ミュッセの詩『十二月の夜』[1]、それにファウスト伝説[2]をベースにしている。パウル・ヴェゲナーのデビュー作。1926年、1935年、2004年にリメイクされた。

プラーグの大学生
Der Student von Prag
ポスター(1913年)
監督 ステラン・ライ
脚本 ハンス・ハインツ・エーヴェルス
製作 パウル・ヴェゲナー
出演者 パウル・ヴェゲナー
ヨーン・ゴットウット
グレーテ・ベルガー
撮影 グイド・シーベル
製作会社 ドイツの旗 Deutsche Bioscop
配給 ドイツの旗 Deutsche Bioscop
公開 ドイツの旗 1913年8月22日
大日本帝国の旗 1914年2月
上映時間 85分
製作国 ドイツの旗 ドイツ帝国
言語 サイレント(ドイツ語のインタータイトル)

あらすじ

1820年、プラハ。バルドゥインは剣の達人として名高い大学生。ある日、溺れかけたマルギット女伯爵を助け、彼女に恋をする。しかし身分が違いすぎる。バルドゥインは貧乏だった。スカピネリが金の援助を申し出る。条件は鏡に写ったバルドゥインの分身。バルドウィンは同意する。しかし、以後、バルドゥインの近辺に現れる分身に悩まされ続ける。ラスト、バルドゥインは分身を銃で撃ち殺すが、それはバルドゥイン本人に死をもたらした。

キャスト

  • バルドゥイン:パウル・ヴェゲナー
  • スカピネリ:ヨーン・ゴットウット
  • マルギット女伯爵:グレーテ・ベルガー
  • リュードゥシュカ:リディア・サルモノワ

制作

プラハ近辺とバーベルスベルク・スタジオで撮影された。セット設計は美術監督のロベルト・A・ディートリヒ。

文化的意義

『プラーグの大学生』はドイツ最初の芸術映画と言われ、映画を低級な見世物から芸術へと格上げするのに大きく貢献した[3][4]。また、批評的にも興行的にも成功した。崩壊へと向かうドイツ帝国の「疎外と分離」を利用したことで多くの観客を集めた[5] 。

主演のパウル・ヴェゲナーは、従来の演劇の限界を映画なら超えられると思い、以後、積極的に映画製作に乗り出す[6]。撮影監督のグイド・シーベルは、二重露光により本物と分身を同一画面で描く画期的な映画トリックを実現した。脚本のハンス・ハインツ・エーヴェルスは幻想怪奇作家で本作以降も脚本を書き続けた[7]。

この映画は当時まだ生まれたばかりだった精神分析学への興味をも高めた。1914年、ジークムント・フロイトが創刊した雑誌『イマーゴ』にオットー・ランクが寄せた記事『Der Doppelgänger』には、この映画の中の、バルドゥインが女伯爵を誘惑しようとすると分身が現れて邪魔することが説明されている[8]。

この映画の主題は第1次世界大戦後の社会の変化と不安など、ヴァイマル共和政時代の映画に多大な影響を与えた[9]。表現主義もそうしたアーティストや作家の悩める精神が生み出したものである。キアロスクーロ(光と影の強烈なコントラスト)はこの映画ですでに確立され、以後、『カリガリ博士』などに受け継がれ発展する[10]。

レガシー

ドロシー・L・セイヤーズの短編探偵小説『鏡の映像』にはこの映画のことが言及されている。

関連

出典

  1. Der Student Von Prag - Film (Movie) Plot and Review
  2. Hedges, Ines (2009). Framing Faust: Twentieth-Century Cultural Struggles. SIU Press. p. 27-29. https://books.google.com/books?id=Bjc2WrSAT7oC&dq 2020年5月18日閲覧。
  3. Schlüpmann, Heide “The first German art film: Rye’s The Student of Prague (1913),” German Film & Literature, ed. Eric Rentschler, Methuen Inc., NY, NY, 1986, p. 9
  4. Brockman, Stephen. A Critical History of German Film, Camden House, 2016, p. 29
  5. Hake, Sabine, German National Cinema 2nd ed., Routledge, NY, NY, 2008 p. 22
  6. Hake, page 26
  7. Schlüpmann, p. 10
  8. Schlüpmann, p. 12-15
  9. Brockman, p. 45
  10. Brockman, p. 50

外部リンク

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