七五三

七五三(しちごさん)とは、7歳、5歳、3歳の子どもの成長を祝う日本の年中行事であり、神社などで「七五三詣で」を行い、報告、感謝、祈願を行う奉告祭。

七五三参りの様子(2006年
晴れ着で神社に参拝する様子(2007年

由来

天和元年11月15日1681年12月24日)に館林城主である徳川徳松(江戸幕府第5代将軍である徳川綱吉の長男)の健康を祈って始まったとされる説が有力である[1]

現在では全国で盛んに行われているが、江戸期は関東圏における地方風俗であった[2]。やがてこの儀式は京都、大阪でも行われるようになり、だんだんと全国に広まっていった。

日付

旧暦の15日はかつては二十八宿鬼宿日(鬼が出歩かない日)に当たり、何事をするにも吉であるとされた。また、旧暦の11月は収穫を終えてその実りを神に感謝する月であり、その月の満月の日である15日に、氏神への収穫の感謝を兼ねて子供の成長を感謝し、加護を祈るようになった[3]

江戸時代に始まった神事であり、旧暦の数え年で行うのが正式となる[4]

神事としては、感謝をささげ祝うことが重要であるとの考え方から、現代では、数え年でなく満年齢で行う場合も多い[5]

明治改暦以降は新暦11月15日に行われるようになった。現在では11月15日にこだわらずに、11月中のいずれかの土・日・祝日に行なうことも多くなっている。

北海道等、寒冷地では11月15日前後の時期は寒くなっていることから、1か月早めて10月15日に行う場合が多い。

各年齢の意味

「七五三子寶合」より「袴着」喜多川歌麿1795年頃)
Komono cropped
晴れ着を着た7歳の少女(2005年

現在は「七五三」という名称から、それぞれの年齢で行う同じ行事のように捉えられる傾向にあるが、実際には別々の異なった行事である。3つの子供の行事を「七五三」と呼んだため、本来の神事の内容が薄れ、同じ行事のように思われている。そのため、現在でも地方によって年齢や祝う内容が異なる。

関東

発祥とされる関東地方では以下のように考えられている。

  • 数え年3歳(満年齢2歳になる年)を「髪置き」とし、主に女児が行う(古くは男児も行ったため、現在も行う場合がある)。江戸時代は、3歳までは髪を剃る習慣があったため、それを終了する儀。
  • 数え年5歳(満年齢4歳になる年)を「袴着(袴儀)」とし、男児が行う。男子を着用し始める儀。平安時代に公家階級で行われていた行事にならったもので[6]、古くは男女ともに行ったが、武家では男子のみに行ったため、次第に男児の行事となった[7]
  • 数え年7歳(満年齢6歳になる年)を「帯解き」(または「紐解き」)とし、女児が行う。女子が付け紐の着物を卒業し、大人と同じ幅の広い帯を結び始める儀。

最近では性別問わず三回すべて行う例も散見する。奇数縁起の良いと考える中国思想の影響もある[8]

他の地方

上方発祥の習俗としては十三詣りがあり、これも徐々に全国に広がりつつある。

変わった所では福岡県で4–5歳で「ひもとき」、7歳で「へこかき」(少年)/「ゆもじかき」(少女)(いずれもふんどし湯文字といった成人仕様の下着を初めて身につける)を行う地区がある。

3歳=言葉、5歳=知恵、7歳=歯を神から授かることを感謝し、また、3歳、5歳、7歳は子供の厄の一種でもあるという考えが出雲地方にみられる[9]

服装

被布を着た3歳女児(2014年
熨斗目模様の羽織を着た5歳男児(2017年

和装の場合に正式とされる服装を示す[7]

  • 3歳女児
友禅染めの縮緬地で無垢仕立て(表裏共生地)にした四つ身、下着(内側に重ねる中着)は調和する無地や友禅、匹田模様の縮緬など。長襦袢は赤の紋羽二重しごきは八尺もの、帯揚げは赤の絞り帯締めは丸ぐけとし、扇子筥迫を身につける。被布をつける場合も多い。
  • 5歳男児
熨斗目模様(長着の腰のあたりと袖の下部に横段になるよう模様を配した柄行き)の羽二重の長着に、無地や縞、または熨斗目の、熨斗目の羽織[10]羽織紐は白の丸打ちとし、白扇を持つ。
  • 7歳女児
本裁ちの小振袖。成長しても着られるようにする場合は五つ紋とする。しごきや帯揚げ、帯締めなどは3歳女児に同じ。

品物

千歳飴

千歳飴(2014年

七五三では、親が自らの子に長寿の願いを込めた「千歳飴(ちとせあめ)」を与えて食べて祝う[11]。千歳飴という名称は、「千年」つまり「長い」「長生き」という良い意味があると共に、細く長くなっており(直径約15mm以内、長さ1m以内)、縁起が良いとされる紅白それぞれの色で着色されている。千歳飴は、鶴亀(つるかめ)や松竹梅などの縁起の良い図案の描かれた千歳飴袋に入れられている。

由来

千歳飴は、江戸時代元禄宝永の頃、浅草の飴売り七兵衛が売り出し流行した「千年飴」から始まったとされている。

製法

千歳飴の製法には地方ごとに形状や色が異なる。

関東の千歳飴は水飴砂糖を材料とし、の中で140程度の熱に達するまで煮詰めたのち鍋から取り出して平たく展ばして冷却する。硬化しはじめて柔らかい塊状にまとまった飴に均等に空気を混ぜるために飴の塊を棒に引っ掛け、引き伸ばしながら何層にも折り返す製白機と呼ばれる機械に掛ける。この工程により透明の飴の中に無数の空気の細い隙間が生じ乱反射して白く見えるようになり、千歳飴独特の舌触りの食感が生まれる。触ると火傷するほど熱を帯びた飴の塊を製白機から外し、手または機械で細長く伸ばし、平たい台の上で転がして均等な太さに成形し、適当な長さで切り口が欠けないように包丁を用いて叩くようにして切断する。伝統や格式を重んじる菓子屋では以上の手順を経て作った千歳飴を神社に納め、お祓いを受けてから店頭に並べる。

ミルク味のほかレモン味や抹茶味の商品も販売されている[12]

風船

七五三で風船綿菓子を与える事もある。

ホテルでのイベント

埼玉県千葉県茨城県南部地方では、七五三のお祝いをホテルなどで結婚披露宴並に豪華に開催する場合もある。

出典

  1. 七五三 | 神社本庁”. www.jinjahoncho.or.jp. 2021年1月25日閲覧。
  2. 七五三とは 《今さら聞けない七五三の意味や由来などの基礎知識》”. 京都 かしきもの(着物の宅配レンタル事業を行う企業). 2023年5月13日閲覧。
  3. 七五三とお宮参り(法話第18話)”. さしおうぎ薬師・天台宗福正寺 (2008年11月24日). 2024年1月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月9日閲覧。
  4. 武蔵屋 七五三の日は、なぜ11月15日なの?
  5. 七五三とは。意味と由来、いつどのタイミングでどのように祝う?今さら聞けない基本情報をおさらい いぬづか写真室 スタッフブログ”. いぬづか写真室スタッフブログ (2023年5月16日). 2024年1月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月9日閲覧。
  6. 小泉和子編『昭和のキモノ』河出書房新社〈らんぷの本〉、2006年5月30日。ISBN 9784309727523。
  7. 『装苑 新年号付録 服装ハンドブック』文化服装学院出版局、1955年1月。
  8. 杉本つとむ『日本語力を高める語源入門』東京書籍、2007年9月10日、195頁。ISBN 9784487802074。
  9. 『出雲大社教布教師養成講習会』発行出雲大社教教務本庁平成元年9月全427頁中236頁237頁238頁
  10. 小泉和子『昭和のキモノ』河出書房新社、2006年、85頁。ISBN 4-309-72752-2。
  11. 江戸食文化紀行 江戸の美味探訪 千歳飴など
  12. 特集2 飴”. aff 2016年11月号(農林水産省). p. 17. 2023年10月30日閲覧。

外部リンク

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