全仏オープン
全仏オープン(ぜんふつオープン、フランス語: Les Internationaux de France de Tennis, Roland-Garros, 英語: The French Open)は、テニスの4大国際大会であるグランドスラムの一つである。5月末から6月初めにかけて、フランスの首都パリにあるブローニュの森に隣接するスタッド・ローラン・ギャロス(Stade Roland Garros)で開催される。大会の運営はフランステニス連盟(FFT)が行う。
| 全仏オープン | |
|---|---|
| 公式サイト | |
| 開催国 |
パリ |
| 開催会場 |
スタッド・ローラン・ギャロス (1928–現在) |
| サーフェス | クレー |
| 男子ドロー | 128S / 128Q / 64D |
| 女子ドロー | 128S / 128Q / 64D |
| 賞金総額 | €34,367,215 (2021)[1] |
| グランドスラム大会 | |

飛行家ローラン・ギャロス(1888年 - 1918年)の功績を称えて、会場にはギャロスの名前が冠されている。そのため、本大会は「ローラン・ギャロス・トーナメント」(Le Tournoi de Roland Garros)とも呼ばれる。
概要
全仏オープンはグランドスラム大会(4大大会)で唯一、クレー(赤土=レンガの粉)コートを用いることで知られており、他の大会とは違った展開が楽しめる。また、他のグランドスラム大会とは異なり、全仏オープンのみ開催が日曜日から始まり15日間の開催日程となっている。
毎年の大会は展開が波乱に富み、上位シード選手の早期敗退も多い。たとえば、ピート・サンプラスは男子歴代4位(達成当時は歴代1位)の「14度」他のグランドスラム大会を制しながらも、全仏オープンだけは最後まで制覇できなかった。2000年代以降の最強テニスプレーヤーの系譜であるロジャー・フェデラーですら優勝経験は1度のみである(2022年現在)。歴代の男子シングルス優勝者には、同大会14度の優勝を誇るラファエル・ナダルのような「クレーコート・スペシャリスト」が優勝の大半を占める傾向があり、キャリア・グランドスラムを目指す最大の障壁となっている。
フランス人の観客の中で多くの選手はいわゆる「アウェイ」での戦いを強いられ、技術だけではなく強い精神力が勝敗を左右する。たとえば、地元フランスの選手との対戦では相手のアンフォーストエラーによる得点でも観客によるブーイングが起きることがある。最も過酷なトーナメントとも言われるグランドスラム大会である。
この大会は、場内アナウンス、審判のコールその他は全てフランス語で行われる。また、選手が優勝スピーチの一部をフランス語で行うことでも知られている。
この大会の結果を受けて更新される世界ランキングに基づいて出場選手が決められるため、オリンピックでテニスが復活して以降、オリンピックイヤーの大会はその最終選考会となっている。ランキングだけでは特定の国に選手が偏るため、1か国の出場枠が最大4人と決められており、強豪国の選手にとってはこの大会で勝ち抜くことがオリンピック出場権獲得のための絶対条件である。
歴史
- 1891年 - フランス選手権(Championnat de France)として創設された。最初は男子シングルスと男子ダブルスの2部門のみだった。
- 1897年 - 女子シングルス部門が追加された。
- 1902年 - 混合ダブルス部門が追加された。
- 1907年 - 女子ダブルス部門が追加された。
- 1915年~1919年 - 第一次世界大戦のため開催されず。
- 1925年 - それまではフランス人選手しか出場資格を得られなかったが、規約を改定して国際大会となった。正式な大会名を「フランス国際大会(Internationaux de France)」と改名した。
- 1928年 - 開催地がスタッド・ローラン・ギャロスに移転された。
- 1940年~1945年 - 第二次世界大戦のため開催されず。
- フランステニス連盟はヴィシー政権下で1941年~1945年に開催された大会(en:Tournoi de France (tennis))を認めていない。
- 1968年 - 四大大会で初のオープン大会となり、アマチュア・プロの別を問わず参加可能になった。
- 1995年 - センターコート「コート・フィリップ・シャトリエ」(Court Philippe-Chatrier)が増築された。
- 2007年 - 車いすテニス部門が追加された。詳細は、全仏オープン (車いすテニス)を参照。
- 2019年 - ショーコート「コート・シモーヌ・マチュー」(Court Simonne-Mathieu)が新設された[2]。
- 2020年 - 新型コロナウイルス感染症の影響により、開催が延期された[3][4][5]。
- 2021年 - 新型コロナウイルス感染症の影響で、開催が1週間延期された[6]。
過去10年のシングルス優勝者
| 年 | 男子 | 女子 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2014 | ナダルは、史上初の大会5連覇で大会最多の通算9勝目。 | ||
| 2015 | ワウリンカは初優勝、セリーナは通算4勝目。 | ||
| 2016 | ジョコビッチは、キャリア・グランドスラムを達成。また4大大会4連勝達成。ムグルサは4大大会初優勝。 | ||
| 2017 | ナダルは、10回目の優勝。オスタペンコは女子では大会初のノーシードから4大大会初優勝。また、ツアー初優勝が4大大会となった。 | ||
| 2018 | ハレプは4大大会初優勝。 | ||
| 2019 | バーティは4大大会初優勝。 | ||
| 2020 | シフィオンテクは4大大会初優勝。 | ||
| 2021 | ジョコビッチはダブルキャリア・グランドスラムを達成。 クレイチコバはシングルスでの4大大会初優勝。女子ダブルスとの2冠を達成。 | ||
| 2022 | ナダルは男子史上最多の4大大会22回目の優勝。シフィオンテクは2年ぶり2回目の優勝。 | ||
| 2023 | ジョコビッチは男子史上最多の4大大会23回目の優勝とトリプルキャリア・グランドスラムを達成。 シフィオンテクは2年連続3回目の優勝。 |
記録
男子(1891年 - )
| 記録名 | 時代 | 選手名 | 記録値 | 年代 |
|---|---|---|---|---|
| シングルス 最多優勝回数 | 1924年以前 | 8回 | 1903年 - 1904年、1907年 - 1909年、1912年 - 1914年 | |
| 1925年 - 1967年 | 4回 | 1926年、1928年、1930年、1932年 | ||
| 1968年以後 | 14回 | 2005年 - 2008年、2010年 - 2014年、2017年 - 2020年、2022年 | ||
| シングルス 最多連続優勝回数 | 1924年以前 | 3回 | 1907年 - 1909年と、1912年 - 1914年の2度 | |
| 1925年 - 1967年 | 2回 | 1948年 - 1949年 | ||
| 1951年 - 1952年 | ||||
| 1954年 - 1955年 | ||||
| 1959年 - 1960年 | ||||
| 1968年以後 | 5回 | 2010年 - 2014年 | ||
| ダブルス 最多優勝回数 | 1924年以前 | 14回 | 1902年 - 1914年、1920年 | |
| 1925年 - 1967年 | 6回 | 1960年、1962年(ニール・フレーザー組)、1961年(ロッド・レーバー組)、 1963年(マニュエル・サンタナ組)、1964年(ケン・フレッチャー組)、1965年(フレッド・ストール組) | ||
| 1968年以後 | 3回 | 1995年、1998年(ヤッコ・エルティン組)、2002年(エフゲニー・カフェルニコフ組) | ||
| 1996年 - 1997年(ダニエル・バチェク組)、2002年(ポール・ハーフース組) | ||||
| 1999年、2001年(マヘシュ・ブパシ組)、2009年(ルーカス・ドロウヒー組) | ||||
| 2005年、2006年(ヨナス・ビョークマン組)、2011年(ダニエル・ネスター組) | ||||
| 2007年(マーク・ノールズ組)、2010年(ネナド・ジモニッチ組)、2011年(マックス・ミルヌイ組) | ||||
| ダブルス 最多連続優勝回数 | 1924年以前 | 13回 | 1902年 - 1914年 | |
| 1925年 - 1967年 | 6回 | 1960年 - 1965年 | ||
| 1968年以後 | 2回 | 1978年(ハンク・フィスター組) - 1979年(サンディ・メイヤー組) | ||
| 1996年 - 1997年 | ||||
| 2005年 - 2006年 | ||||
| 2010年(ネナド・ジモニッチ組) - 2011年(マックス・ミルヌイ組) |
優勝回数ランキング
| 選手 | 回数 |
|---|---|
| 14 | |
| 8 | |
| 6 | |
| 4 | |
| 4 | |
| 4 |
優勝賞金(男女シングルス)
| 大会 | 金額(男子) | 金額(女子) |
|---|---|---|
| 1989年大会 | 29万1752USドル | 25万7379USドル |
| 1990年大会 | 37万0000USドル | 29万3000USドル |
| 2002年大会 | 78万0000ユーロ | 76万0500ユーロ |
| 2003年大会 | 84万0000ユーロ | 81万9000ユーロ |
| 2004年大会 | 86万0000ユーロ | 83万8500ユーロ |
| 2005年大会 | 88万0000ユーロ | 86万7000ユーロ |
| 2006年大会 | 94万0000ユーロ | |
| 2007年大会 | 100万0000ユーロ | |
| 2008年大会 | 100万0000ユーロ | |
| 2009年大会 | 106万0000ユーロ | |
| 2010年大会 | 112万0000ユーロ | |
| 2011年大会 | 120万0000ユーロ | |
| 2012年大会 | 125万0000ユーロ | |
| 2013年大会 | 150万0000ユーロ | |
| 2014年大会 | 165万0000ユーロ | |
| 2015年大会 | 180万0000ユーロ | |
| 2016年大会 | 200万0000ユーロ | |
| 2017年大会 | 210万0000ユーロ | |
| 2018年大会 | 220万0000ユーロ | |
| 2019年大会 | 230万0000ユーロ | |
優勝トロフィー
全仏オープンの優勝カップは、男子はムスクテール・カップ (en) (ムスクテールとは四銃士に由来)(1981年制作)、女子はスザンヌ・ランラン・カップ (fr) (1925年制作)と呼ばれる。オリジナルはFFT本部に保管され、通常は優勝者の表彰式の時にだけ外に出される。優勝者はオリジナルのカップに触れることはできるが、記念として渡されるのは一回り小さく作られたレプリカである。
テレビ放送
フランス国内ではフランス・tv(2027年まで[7])とPrime Video(ネット放送(コート・シモーヌ・マチューとナイトセッション))で、アメリカ国内ではNBCやテニス・チャンネルなどで放映されている[8]。
日本では2024年現在、衛星波でWOWOWが放映権を持っている[8]。また、WOWOWオンデマンド(ネット放送)も同時に行われている[9]。地上波の各系列のスポーツニュースで同大会の映像素材を提供する際は、衛星波のWOWOWから協力したものを使用している[10]。なお、大会期間中のうち、大会初日に限りは、衛星波・ネット放送も無料で視聴可能である[11]。
2021年までは地上波としてはテレビ東京も放映されていた。なお、民放局ではテニスの四大大会を中継していたのはテレビ東京が唯一でもあった[12]。
テレビ東京では1983年から2021年まで[13][14]日本勢の一部試合などを中心に放送[15][16]。2007年までは基本的に男女シングルス4回戦以降から準決勝・決勝をメインに放送[17]。前半戦の試合は2006年までは前半ハイライトとして放送していた[18][19]。放送再開した2014年-2019年までは一部の試合は生中継で放映されていた[20][21]。しかし、試合開始等の時間が読めない状況の中[22]、雨天中断などを理由に長時間放送されることが度々発生したり、更には対戦する相手の選手がアクシデントで棄権し不戦勝試合で放送取りやめになったケースがあった[23]。そのためか通常の番組編成に大きな障害が生じた[24]。テニス中継の放送時間延長や放送時間変更の影響で夜から明け方にかけての一部の通常番組が時間繰り下げ・番組休止(翌週に延期)されることがあった[25]。2017年については、『世界卓球』と同じ時期に開催だったため、『テレ東スポーツ祭』として放送された[26][27]。2020年・2021年は、コロナ禍の影響で放送規模を縮小し、日本勢の試合については深夜の時間帯に録画「撮って出し」もしくはハイライトで対応された。[28][29]
脚注
- “Roland-Garros 2021: How is the tournament being organised?”. Roland-Garros. FFT (2021年5月12日). 2021年6月13日閲覧。
- “温室に囲まれたテニスコートも、生まれ変わった全仏OPの会場”. afpbb.com. 2020年2月3日閲覧。
- 当初は5月に開催される予定だったが、9月に延期となった。
- “French Open delayed to September due to coronavirus”. afp.com. 2020年3月18日閲覧。
- “テニス全仏OP、9月に延期”. this.kiji.is. 2020年3月18日閲覧。
- “全仏OP、開幕1週間延期 主催者が正式発表”. www.afpbb.com. 2021年4月19日閲覧。
- “Le tournoi sur France Télévisions et Prime Video jusqu'en 2027” (フランス語). rolandgarros.com. FFT (2023年3月30日). 2023年5月20日閲覧。
- “Broadcasters” (英語). rolandgarros.com. FFT. 2024年4月19日閲覧。
- “WOWOWオンデマンド”. wod.wowow.co.jp. 2022年6月1日閲覧。
- 同大会の日本勢の話題の試合の映像は映像協力 WOWOWとテロップが表示されている。
- “WOWOWオンライン”. WOWOW. 2024年5月15日閲覧。
- “錦織争奪戦 全豪放送権に地上波も名乗り”. 日刊スポーツ. 2022年4月28日閲覧。
- “テレ東 錦織の全仏オープン全中継へ/デイリースポーツ online”. デイリースポーツ online (2023年5月31日). 2023年5月30日閲覧。
- 2008年-2013年までは中断。
- “全仏オープンテニス2007 :テレビ東京”. www.tv-tokyo.co.jp. 2024年5月15日閲覧。
- “全仏テニス:テレビ東京が放送 錦織の全試合を中継へ”. MANTANWEB(まんたんウェブ). 2022年4月28日閲覧。
- “全仏オープンテニス2006:テレビ東京”. www.tv-tokyo.co.jp. 2024年5月15日閲覧。
- “全仏オープンテニス2006:テレビ東京”. www.tv-tokyo.co.jp. 2024年5月15日閲覧。
- “全仏オープンテニス2005 : テレビ東京”. www.tv-tokyo.co.jp. 2024年5月15日閲覧。
- 2014年-2018年までは主に錦織圭選手の試合をメインに放送された。 2019年-2021年までは錦織圭・大坂なおみの試合や一部の日本勢試合も放送。日本勢の敗退問わず男女シングルスの決勝も録画「撮って出し」で放送していた。
- “テレ東社長 全仏オープン中継に自信「例年通り、高い視聴率をいただいている」”. スポーツニッポン. 2022年4月28日閲覧。
- “テレ東に不運、錦織戦が雨で始まらず”. デイリースポーツ. 2022年4月28日閲覧。
- “テレ東、錦織戦生中継開始にファン喜ぶ/デイリースポーツ online”. デイリースポーツ online (2023年5月31日). 2023年5月30日閲覧。
- “テレ東社長 全仏テニス中継に「編成陣もハラハラドキドキ」勝敗、天候の影響大”. デイリースポーツ. 2022年4月28日閲覧。
- “乃木坂46冠番組、錦織出場のテニス放送で延期”. 日刊スポーツ. 2022年4月28日閲覧。
- “テレ東・高橋社長 世界卓球と全仏で高視聴率狙う WBC盛り上がり、期待/デイリースポーツ online”. デイリースポーツ online (2023年5月31日). 2023年5月30日閲覧。
- “テレ東社長「気が遠くなる」 同一週の全仏と卓球世界選手権放送で”. デイリースポーツ. 2022年5月2日閲覧。
- “全仏オープンテニス2020”. テレビ東京. 2022年5月30日閲覧。
- Corporation, 株式会社テレビ東京-TV TOKYO, 全仏オープンテニス2021 2022年5月30日閲覧。
外部リンク
- 全仏オープン公式サイト(英語)(フランス語)(中国語)