国家映画賞 健全な娯楽を提供する大衆映画賞

国家映画賞 健全な娯楽を提供する大衆映画賞(こっかえいがしょう けんぜんなごらくをていきょうするたいしゅうえいがしょう、National Film Award for Best Popular Film Providing Wholesome Entertainment)は、国家映画賞の賞の一つ。1975年開催の第22回国家映画賞で創設され、インドで製作された全言語映画を対象としている。

国家映画賞
健全な娯楽を提供する大衆映画賞
第64回国家映画賞授賞式で健全な娯楽を提供する大衆映画賞を受賞するサティーシュ・ヴェガシュナ
会場ニューデリー
国インドの旗 インド
主催映画祭事務局
報酬メダル、賞金20万ルピー
初回1974年
最新受賞者『RRR』(2021年)

これまでにヒンディー語映画(29本)、テルグ語映画(6本)、タミル語映画(4本)、マラヤーラム語映画(3本)、ベンガル語映画(2本)、カンナダ語映画(1本)が受賞作品に選出されている。最多受賞記録を持つ映画製作会社はヤシュ・ラージ・フィルムズが6回で、映画プロデューサーはヤシュ・チョープラーの5回(監督としては4回受賞)となっている。受賞作品への最多出演記録を持つ主演男優はシャー・ルク・カーンの7本であり、主演女優としての最多出演記録はマドゥリ・ディークシットとカジョールの3本となっている。

受賞結果

同時受賞作品

1970年代

年 作品 言語 製作者 監督 引用 出典
1974
(第22回)
Kora Kagaz[注釈 1] ヒンディー語
  • サナット・コタリ
  • シュリージ・フィルムズ
アニル・ガングリー  – [1]
1975
(第23回)
Tapasya ヒンディー語 ラージシュリー・プロダクション  – [2]
1976
(第24回)
受賞作品なし [3]
1977
(第25回)
Swami ヒンディー語 ジャヤー・チャクラヴァルティー バス・チャテルジー
緊張感のある脚本、節度があり円熟した気品のある演技(特にギリーシュ・カルナード)、きめ細かな気配り、原作の精神を保ちつつ、映画という媒体に効果的かつ優雅に転換させたこと、古くからあるテーマを現代風に描き出したこと、心理的な真実性や芸術的価値を投げ出さずに大衆に訴えかける映画を作り出すことが可能であることを示したことに対して。
[4]
1978
(第26回)
Ganadevata ベンガル語 情報・文化省(西ベンガル州政府) タルン・マジュンダル
現代文学の古典を見事に映像化している。小説と同様に、映画は移り変わる時代の全てを捉えることに成功している。この映画は商業的な通俗さや気取りを排除し、取り得る限りの映画的手法を駆使して、大衆に対して効果的にメッセージを伝えている。
[5]
1979
(第27回)
シャンカラーバラナム 不滅のメロディ テルグ語 エディダ・ナーゲーシュワラ・ラーオ K・ヴィシュワナート
教師と生徒の関係を力強く表現し、力強い主人公を通してインド古典音楽の復興が急務であることを描き出した。
[6]

1980年代

年 作品 言語 製作者 監督 引用 出典
1980
(第28回)
受賞作なし [7]
1981
(第29回)
受賞作なし [8]
1982
(第30回)
受賞作なし [9]
1983
(第31回)
受賞作なし [10]
1984
(第32回)
Kony ベンガル語 西ベンガル州政府 サロージ・デイ  – [11]
1985
(第33回)
受賞作なし [12]
1986
(第34回)
Samsaram Adhu Minsaram タミル語 AVMプロダクション ヴィスー
For its entertaining presentation of a complex contemporary social problem – the disintegration of the joint family.
[13]
1987
(第35回)
プシュパカ・ヴィマナ カンナダ語
  • シンギータム・シュリニヴァサ・ラーオ
  • シュリンガル・ナーガラージ
シンギータム・シュリニヴァサ・ラーオ
エンターテインメントへの革新的なアプローチに対して。
[14]
1988
(第36回)
Qayamat Se Qayamat Tak ヒンディー語 ナーシル・フセイン・フィルムズ マンスール・カーン
フレッシュでクリーンな魅力を、明敏な創造力で映画の中に表現したことに対して。
[15]
1989
(第37回)
Chandni ヒンディー語 ヤシュ・ラージ・フィルムズ ヤシュ・チョープラー
きめ細かな演技とフォーク調の新鮮な歌詞で彩られたクリーンでロマンティックなエンターテインメントを提供したことに対して。
[16]
Geethanjali テルグ語 バーギャラクシュミー・エンタープライズ マニ・ラトナム
若者の情熱を革新的なアプローチで表現したことに対して。

1990年代

年 作品 言語 製作者 監督 引用 出典
1990
(第38回)
Ghayal ヒンディー語 ダルメンドラ ラージクマール・サントーシ
テーマ的に高い信頼性があり、感情的に上手く織り込まれ、論理的に行われた点。そして技術的に優れた映画であることに対して。
[17]
1991
(第39回)
受賞作なし [18]
1992
(第40回)
Sargam マラヤーラム語 バーヴァニ ハリハラン
家族の物語を心温まるミュージカル映画として魅力的に表現したことに対して。
[19]
1993
(第41回)
Manichitrathazhu マラヤーラム語 ナヴォダヤ・アッパチャン ファージル
保守的な社会において精神異常という珍しい題材を扱い、最終的に現代的なアプローチを受け入れたことに対して。
[20]
Darr ヒンディー語 ヤシュ・チョープラー
愛という、過去の恐怖体験との関係で複雑化したテーマを説得力をもって表現したことに対して。
1994
(第42回)
Hum Aapke Hain Koun..! ヒンディー語 ラージシュリー・プロダクション スーラジ・バルジャーティヤ
ファミリー・エンターテインメントであり、暴力というお馴染みの物語的定石に依存することなく成功したファンタジー映画として、インドの大衆娯楽に革命をもたらしたことに対して。
[21]
1995
(第43回)
シャー・ルク・カーンのDDLJラブゲット大作戦 ヒンディー語 ヤシュ・チョープラー アーディティヤ・チョープラー
優しさと感受性に満ちたシンプルなラブストーリーを通して、有意義なファミリー・エンターテインメントを提供したことに対して。
[22]
1996
(第44回)
Maachis ヒンディー語 R・V・パンディット グルザール
パンジャーブ州の若者のトラウマ・葛藤・悲劇を探求し、それを力強く描き出したことに対して。
[23]
1997
(第45回)
Dil To Pagal Hai ヒンディー語 ヤシュ・チョープラー
暴力や俗悪さを感じさせず、若者をクリーンに楽しく描いたことに対して。
[24]
1998
(第46回)
何かが起きてる ヒンディー語 ヤシュ・ジョーハル カラン・ジョーハル
映画のストーリー、音楽、ダンス、演技による抗えない魔力と普遍的な魅力に対して。
[25]
1999
(第47回)
Sarfarosh ヒンディー語 ジョン・マシュー・マタン
2つのコミュニティの関係悪化を企図する組織的工作と戦う誠実な警察官の姿を魅力的に描いた作品。メインストリーム映画で活躍する監督のデビュー作としては大胆なテーマを扱っている。
[26]

2000年代

年 作品 言語 製作者 監督 引用 出典
2000
(第48回)
あっぱたん タミル語 V・ラヴィチャンドラン ヴィクラマン
合同家族の価値観やどんな時でも共にいることの必要性を誠実に描いたことに対して。
[27]
2001
(第49回)
ラガーン ヒンディー語 アーミル・カーン アシュトーシュ・ゴーワリケール
抑圧にさらされた人間の精神の勝利を示し、クリケット・ゲームを植民地主義とナショナリズムのメタファーとして創造的に用いたことに対して。
[28]
2002
(第50回)
デーヴダース ヒンディー語 バーラト・シャー サンジャイ・リーラー・バンサーリー
技術的な巧みさと不朽の名作を現代的に再解釈したことに対して。
[29]
2003
(第51回)
医学生ムンナ・バーイー ヒンディー語 ヴィドゥ・ヴィノード・チョープラー ラージクマール・ヒラーニ
社会問題をユーモアと思いやりをもって描いたことに対して。
[30]
2004
(第52回)
ヴィールとザーラ ヒンディー語 ヤシュ・ラージ・フィルムズ ヤシュ・チョープラー
国境線を超えた人間関係の重要さを訴え、感動的なラブストーリーを作り出したことに対して。
[31]
Autograph タミル語 チェラン
ノスタルジーを呼び起こす力強さと詩的な表現に対して。
2005
(第53回)
Rang De Basanti ヒンディー語
  • UTVモーション・ピクチャーズ
  • ラケーシュ・オームプラカーシュ・メーラ・ピクチャーズ
ラケーシュ・オームプラカーシュ・メーラ
若者世代が抱える苦悩を思いやりと想像力で捉えるという大衆的な魅力を描き出したことに対して。
[32]
2006
(第54回)
その調子で、ムンナ・バーイー ヒンディー語 ヴィドゥ・ヴィノード・チョープラー ラージクマール・ヒラーニ
争いの絶えない世界の中で非暴力の哲学を再認識させ、人々の心の中にあるガンディーを再発見する手助けをしたことに対して。
[33]
2007
(第55回)
Chak De! India ヒンディー語 アーディティヤ・チョープラー シミット・アミン
観客を最初から最後まで楽しませ、インド人であることに誇りを持たせてくれる。インスピレーションに満ちた映画製作の傑作である。
[34]
2008
(第56回)
Oye Lucky! Lucky Oye! ヒンディー語 UTVモーション・ピクチャーズ ディバーカル・バナルジー
一般的なフォーマットの中で異彩を放つ知的なテーマに取り組んだことに対して。
[35]
2009
(第57回)
きっと、うまくいく ヒンディー語 ヴィドゥ・ヴィノード・チョープラー ラージクマール・ヒラーニ
社会が抱える現代的な問題を素晴らしいユーモアと魅力的な演技で表現した知的なエンターテイナーに対して。
[36]

2010年代

年 作品 言語 製作者 監督 引用 出典
2010
(第58回)
ダバング 大胆不敵 ヒンディー語 アビナウ・カシャップ
インドの大地に根差した「マスト」なエンターテインメントを求める映画ファンの期待に応えたことに対して。
[37]
2011
(第59回)
Azhagarsamiyin Kuthirai タミル語 P・マダン スセーンティラン
現代のエンターテインメントの既成概念を塗り替え、メインストリームに受け入れられたことに対して。監督はタミル・ナードゥ州の農村における農民・政治家・貧困家庭という完全に現代的な枠組みの中で、寺院の儀式をめぐる寓話を語るという大胆な試みを行った。彼の映画言語への取り組みは、多数のキャラクターが織りなす感情のグラフと同様に強固なものになっている。
[38]
2012
(第60回)
僕はドナー ヒンディー語
シュージット・シルカル
さわやかでユーモラスな表現で贈る健全なエンターテイナー。この映画製作者は精子提供というデリケートなテーマについて、一般の観客の低俗な本能に迎合することなく表現したことで、定型映画が陥りがちな失敗を巧みに回避している。
[39]
ウスタード・ホテル マラヤーラム語 リスティン・スティーヴン アンワル・ラシード
「デシ・エンタープライズ」の優秀な広告塔であり、社会奉仕を通して達成感や思いやり、満足感を探求するという力強いメッセージを伝えている!
2013
(第61回)
ミルカ ヒンディー語 ラケーシュ・オームプラカーシュ・メーラ
偉大なスポーツマンの物語と価値観を保ちつつ、それを見事に映画というメディアに変換したことに対して。
[40]
2014
(第62回)
メアリー・コム ヒンディー語 サンジャイ・リーラー・バンサーリー オムング・クマール
スポーツの素晴らしさを追求し、国民的アイコンとなった女性の感動的な物語に対して。
[41]
2015
(第63回)
バジュランギおじさんと、小さな迷子 ヒンディー語
カビール・カーン
重要な社会問題をシンプルで心温まるエンターテインメントとして表現したことに対して。
[42]
2016
(第64回)
Sathamanam Bhavati テルグ語 ディル・ラージュ サティーシュ・ヴェガシュナ
家族の価値を尊重し、未知の方法で歓喜の気持ちを提供したことへの感謝を込めて。
[43]
2017
(第65回)
バーフバリ 王の凱旋 テルグ語
S・S・ラージャマウリ  – [44]
2018
(第66回)
Badhaai Ho ヒンディー語 ジャングリー・ピクチャーズ アミット・シャルマ
簡単な物語、効果的な人物描写、明快な台詞回しで中年妊娠の固定概念を打ち破ったことに対して。
[45]
2019
(第67回)
Maharshi テルグ語 シュリ・ヴェンカテーシュワラ・クリエーションズ ヴァムシー・パイディパッリ
この映画のコンセプトは、主人公を通して世界中に散らばる現代の若者が、農業という分野で文化の草の根に入り込み、グローバル化という新鮮な課題に取り組む必要性を巧みに表現したことにある。
[46]

2020年代

年 作品 言語 製作者 監督 引用 出典
2020
(第68回)
Tanhaji : The Unsung Warrior ヒンディー語 アジャイ・デーヴガン オーム・ラウト
今も新たな関心と愛国心を呼び起こす、17世紀に活躍した知られざる戦士の功績をスクリーン上に復活させたことに対して。
[47]
2021
(第69回)
RRR テルグ語 D・V・V・ダナイヤー S・S・ラージャマウリ
優れた歴史改変物語に対して。
[48]

脚注

注釈

  1. ヴィジャイ・アーナンド(主演男優)とジャヤー・バドゥリ(主演女優)がメダルを受け取っている。

出典

  1. “22nd National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  2. “23rd National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  3. “National Film Awards (1976)”. 2014年3月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年5月3日閲覧。
  4. “25th National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  5. “26th National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  6. “27th National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  7. “28th National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  8. “29th National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. p. 36. 2022年3月27日閲覧。
  9. “30th National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  10. “31st National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  11. “32nd National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  12. “33rd National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  13. “34th National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  14. “35th National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  15. “36th National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  16. “37th National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  17. “38th National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  18. “39th National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  19. “40th National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  20. “41st National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  21. “42nd National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  22. “43rd National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  23. “44th National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  24. “45th National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  25. “46th National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  26. “47th National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  27. “48th National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  28. “49th National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
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  35. “56th National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  36. “57th National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  37. “58th National Film Awards, 2010”. Directorate of Film Festivals. 2022年3月27日閲覧。
  38. “59th National Film Awards for 2011”. Directorate of Film Festivals. 2012年4月2日閲覧。
  39. "60th National Film Awards Announced" (PDF) (Press release). Press Information Bureau (PIB), India. 2013年3月18日閲覧。
  40. “61st National Film Awards”. Directorate of Film Festivals (2014年4月16日). 2014年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年4月16日閲覧。
  41. "62nd National Film Awards" (PDF) (Press release). Directorate of Film Festivals. 24 March 2015. 2015年3月24日閲覧。
  42. "63rd National Film Awards" (PDF) (Press release). Directorate of Film Festivals. 28 March 2016. 2016年3月28日閲覧。
  43. "64th National Film Awards" (PDF) (Press release). Directorate of Film Festivals. 2017年6月6日時点のオリジナル (PDF)よりアーカイブ。2017年4月7日閲覧。
  44. “65th NATIONAL FILM AWARDS FOR 2017”. Press Information Bureau. 2022年6月11日閲覧。
  45. “66th National Film Awards” (PDF). Directorate of Film Festivals. 2019年8月9日閲覧。
  46. “67th National Film Awards announced; Sikkim wins award for Most Film Friendly State”. 2023年6月2日閲覧。
  47. “Om Raut on Tanhaji's Big Win at National Awards: 'Awards and Rewards Are Truly Heartening' | Exclusive” (英語). News18 (2022年7月22日). 2022年7月23日閲覧。
  48. "National Film Awards 2023: Here's the complete list of winners". Economic Times. 24 August 2023. 2023年8月25日閲覧。

外部リンク

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