夜のガスパール (ラヴェル)
概要
ラヴェルは1908年、ベルトランの詩集から「オンディーヌ」、「スカルボ」(同名の2篇の詩のうち、断篇に所収のほう)、「絞首台」(断篇に所収)の3篇に想を得て、これらをイメージした3曲のピアノ独奏曲からなる組曲を作曲した。
内容
各楽章は、ソナタ楽章―緩徐楽章―ロンド楽章の順に構成されており、古典的なピアノ・ソナタが意識されている。その一方で、開始楽章と終楽章の調性が一致せず、各楽章に詩的な題名が割り振られているところは、ロマン派的な性格的小品集や標題音楽に近い。しかも和音構成や旋法的な旋律においては、印象主義音楽の類型が表れている。音楽的知識と感性、想像力が高度に統合された、ラヴェル初期のピアノ曲の最高傑作である。
第1曲「オンディーヌ」 (Ondine)
嬰ハ長調、Lent(緩やかに)、4/4拍子。『水の戯れ』、『洋上の小舟』(『鏡』)と並ぶラヴェルの「水」3部作とする向きもある。終始複雑で細かいアルペジオが左右で入り組む難曲。形式はソナタ形式で、詩の内容(人間の男に恋をした水の精オンディーヌが、結婚をして湖の王になってくれと愛を告白する。男がそれを断るとオンディーヌはくやしがってしばらく泣くが、やがて大声で笑い、激しい雨の中を消え去る)に忠実に基づいていると言われる。
管弦楽版
オーケストラの魔術師と呼ばれたラヴェルだったが、この曲には自身の管弦楽版を残さなかった。1990年にマリウス・コンスタンがオーケストレーションを手がけ、デュラン社から出版されている。
なお、ラヴェル自身もこの曲にオーケストラ的な響きを想定していたようである。その例証として、この曲の解釈についてラヴェル本人から説明を受けたことのあるピアニストのヴラド・ペルルミュテールによれば、ラヴェルは説明の際に、特に表現については具体的なオーケストラの楽器の名前を持ち出して例示したといい、ペルルミューテルが校訂したラヴェルのピアノ曲集には、そういったラヴェルの例示が記入されている(日本語版が音楽之友社から出版されている)。
外部リンク
- 夜のガスパールの楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト