大学入学共通テスト

大学入学共通テスト(だいがくにゅうがくきょうつうテスト、英語: The Common Test for University Admissions)は、日本大学の共通入学試験である。独立行政法人大学入試センター (DNC) が主体となり、この試験を利用する大学と共同で実施する[1]。正式名称は○年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト[注 1][2]、略称は共通テスト共テ。学生間では共通が用いられることもある。

2023年(令和5年)度の問題冊子

2020年度まで実施された大学入試センター試験に代わって2021年度大学入学者選抜(2021年1月16日・17日実施)から導入された。

概説

大学共通第1次学力試験大学入試センター試験の流れを汲む試験であり、2021年(令和3年)度から実施されている。

大学入学共通テストは、2013年(平成25年)10月31日の教育再生実行会議第四次提言(高等学校教育と大学教育との接続・大学入学者選抜の在り方について)において提言された試験であり、高等学校教育の質の確保と向上を目的としている。2014年(平成26年)12月の中央教育審議会答申、2016年(平成28年)3月の高大接続システム改革会議「最終報告」などを経て、実施開始年度は2020年度で、2021年1月中旬に行われる2021年度大学入学者選抜からとなった[3]

導入の検討過程では、CBT方式 (Computer Based Testing) の導入[4]も考えられていた。また当初は「大学入学希望者学力評価テスト」という名称であったが[5]、「大学入学共通テスト」という名称に変更された。2019年(平成31年)1月現在、「大学入学共通テスト(新テスト)」「共通テスト」「共テ」などと表記されている[6]。なお、「新テスト」「共通テスト」という通称は前身の大学入試センター試験導入前後にも用いられていた。

出題される教科、科目は大学入試センター試験最後の実施となった2020年度同様6教科30科目であるが、2025年度以降は簡素化が予定されている[7]

日程は大学入試センター試験と同様に、1月13日以降の最初の土曜日および日曜日[8]。実施体制は大学入試センター試験と同様に、DNCが試験問題の作成、答案の採点、出願の受付など一括して処理することが適当な業務を担当し、利用各大学が当日の試験の進行、出願者の成績請求などを受け持つ共同実施となっている[1]

沿革

試行調査(プレテスト)

DNCは、試行調査として試験の本格的な導入前にプレテストを行っている。

2017年(平成29年)度

2017年(平成29年)度のプレテストは11月および2月に実施された。参加する高等学校などが会場となり、試験監督も教員が行ったほか、日程も定められた期間の中から参加校が設定するよう委ねられた[9]。問題、正解、解答用紙などはDNCのホームページで公開されている[10]

平成29年11月実施
11月13日から11月24日の間に実施され、約1900校の高等学校などが参加した[9]。大学入試センターはこのプレテストの趣旨について「改善されたマークシート式問題及び、記述式問題における条件設定や採点基準、採点体制、採点期間等について検証を行うため」としている[9]。また、このプレテストでの正答率などの分析を行い、その結果を踏まえて問題構成などを再検討するとしている[9]
国語および数学I・数学Aでは記述式の問題も出題され、試験時間は国語が100分、数学が70分に設定された[注 2][9]。リスニングを含めた外国語の試験は実施されなかった[9]
記述式を含む国語および数学I・数学Aは原則として高校2年生を対象に、全問マークシート式の地理歴史・公民、理科、数学II・数学Bは原則として高校3年生を対象に行われた[9]
平成30年2月実施
2月13日から3月3日の間に実施され、約160校の高等学校などが参加した[11]
このプレテストは原則高校2年生を対象に実施され、英語の筆記(リーディング)とリスニングが、マークシート式で出題された[11]。試験時間は筆記が80分、リスニングが30分に設定された[12]
また、2月5日から3月3日には、点字教育を受けた者を対象に、記述式問題の解答方法などに関する配慮のあり方について検証するためのプレテストも実施された[13]。出題科目は国語と数学Iの2科目で、視覚特別支援学校のうち15校から約45人が受検した[13]

2018年(平成30年)度

2018年(平成30年)度のプレテストは11月10日、11日の2日間にかけて実施された[14]。平成29年度実施のプレテストが参加を希望する高等学校などを会場としていたのに対し、平成30年度「A日程」は原則として大学入試センターの会場となっている全大学を会場とした[14]

高校2年生以上を対象に国語と数学の試験の他、自己採点、アンケートを実施する「A日程」(10日午後のみ)と、原則高校3年生を対象に、大学入試センター試験とほぼ同様の時間割で国語、数学、地理歴史・公民、理科、英語、リスニングの試験を実施する「B日程」(10日、11日)で行われた。全国の受検予定者数は約8万4000人だった。国語、数学I・数学Aでは引き続き記述式問題が出題された(それぞれ小問3題。国語は30字以内、40字以内、80字120字をそれぞれ1題。数学I・数学Aは数式を記述する問題、または問題解決のための方略などを端的な短い文で記述する問題。)[15]

問題形式の変遷

第1回からの変更点

センター試験から転換された初回に当たる第1回の主な変更点は以下の通り[16]

  • 2009年(平成21年)告示の高等学校学習指導要領において育成することを目指す資質・能力を踏まえ、知識の理解の質を問う問題や、思考力・判断力・表現力を発揮して解くことが求められる問題を重視した出題。
  • 数学(1)の試験時間の延長(60分→70分
  • 外国語について、英語(筆記)は英語(リーディング)に改称の上、問題構成・配点を変更(200点→100
  1. 番号付き箇条書きの項目

)。

  • 英語(リスニング)について、従来の音声を2回流す問題に加えて1回のみ流す問題を導入し、問題構成・配点を変更(50点→100点)。

作問から試験実施までの流れ

ただし、追試験は本試験の2週間後の土曜日・日曜日に、成績通知表の送付は4月1日以降に行われる。

試験形式

ただし、理科(2)も外国語・国語・地理歴史・公民・理科(1)と同様に解答番号が1から連続して振られるようになった。

受験特別措置

得点調整

英語外部試験利用入試

英語の資格は、英語力の証明として、大学入学共通テストの受験資格や、大学入学後の授業科目の免除、就職活動での有利な条件など、さまざまな場面で活用できる[17]。なお、英語資格には、英検、TOEIC、TOEFLなど、さまざまな種類がある。それぞれの資格の特徴や難易度を把握し、自分の英語力や目的に合わせて適切な資格を選ぶことが重要である。

日程・出題教科・科目

2024年度までの実施日程と出題教科・科目は次の通り。全6教科30科目。志望する大学の学部(または学科)が指定した教科・科目を選択して受験する。ただし、例外として外国語では、「英語(リーディング)」を受験する場合、志望する大学の学部・学科が「英語(リスニング)」を指定していなくても、リスニング試験を受験しなくてはならない。

第1日目

  • 地理歴史公民:同一名称を含まない最大2科目まで選択。各100点満点、試験時間各60分(2科目受験:9:30 - 11:40(間に10分の解答回収時間あり)、1科目受験:10:40 - 11:40)
    • 2単位科目
    • 4単位科目
    • 2科目選択する場合の組合せについて
      • 地歴2科目を選ぶ場合、同じ名称を含むAとBの科目の組合せは選択不可。それ以外の場合、A同士・B同士・AとB1科目ずつのいずれも選択可能。
      • 公民2科目を選ぶ場合、倫理政経と倫理、もしくは政経の組合せは選択不可。ただし、倫理と政経の組合せは選択可能。現代社会と他の公民科目の組合せは全て選択可能。
      • 地歴と公民を選ぶ場合、どの組合せも選択可能。
      • 大学から指定されるパターンとしては、全て認められている場合、2単位科目は現代社会のみ認められている場合、2単位科目は全て認められない場合(医学部医学科や旧帝国大学旧官立大学など)、地歴のB科目しか認められない場合、等がある。
  • 国語:200点満点(近代以降の文章100点、古文50点、漢文50点)、試験時間80分(13:00 - 14:20)
    • 国語(出題範囲「国語総合」)
      • 志望する大学の学部・学科が指定する特定の分野のみ解答する場合でも、試験時間は変わらない。
  • 外国語
    • 英語
      • リーディング:100点満点、試験時間80分(15:10 - 16:30)(出題範囲「コミュニケーション英語I」に加えて「コミュニケーション英語II」および「英語表現I」)
      • リスニング:100点満点、試験時間60分(17:10 - 18:10 機器等説明時間30分、問題解答時間30分)(出題範囲「コミュニケーション英語I」に加えて「コミュニケーション英語II」および「英語表現I」)
        • 「英語」を選択する受験生は必ず双方を解答しなくてはならない。ただし、重度の難聴者については免除される。また、「英語」以外の外国語を選択した者はリスニングは受験不可。
    • 以下の科目:各200点満点、試験時間80分(15:10 - 16:30)

第2日目

  • 理科 (1) :2科目で100点満点(1科目のみの選択は不可)、試験時間60分(9:30 - 10:30)
    • 物理基礎
    • 化学基礎
    • 生物基礎
    • 地学基礎
  • 数学 (1) :各100点満点、試験時間70分(11:20 - 12:30)
    • 数学I
    • 数学I・数学A
      • 数学Aについては、「場合の数と確率」、「整数の性質」、「図形の性質」の3題の中から2題を選択して解答する。
  • 数学 (2) :各100点満点、試験時間60分(13:50 - 14:50)
    • 数学II
    • 数学II・数学B
      • 数学Bについては、「確率分布と統計的な推測」、「数列」、「ベクトル」の3題の中から2題を選択して解答する。
    • 簿記・会計
      • 出題範囲:「簿記」、「財務会計I」(株式会社の会計の基礎的事項を含む、「財務会計の基礎」)
      • 問題の水準は日商簿記検定2級よりやや低く、日商簿記検定3級よりは高いとされる。
    • 情報関係基礎
  • 理科 (2) :各100点満点、試験時間各60分(2科目受験:15:40 - 17:50(間に10分の解答回収時間あり)、1科目受験:16:50 - 17:50)
  • 理科の科目選択方法について
    • 原則、以下の4パターンから1パターンを選択する。
      • Aパターン:理科(1)[注 3]から2科目(100点満点)
      • Bパターン:理科(2)から1科目(100点満点)
      • Cパターン:理科(1)から2科目、および理科(2)から1科目(200点満点)
      • Dパターン:理科(2)から2科目(200点満点)
    • 地歴公民のような同一名称を含んだ科目の同時選択不可などの制限はなく、科目数さえ守ればどんな組合せも選択可能(Cパターンを選んだ場合が該当)。なお、Cパターンを選んだ場合理科(1)の2科目のみのAパターンもしくは理科(2)のみのBパターンの条件も満たしたことになる。Dパターンを選んだ場合も第一解答科目のみのBパターンの条件も満たしたことになり、さらには「みなし措置」としてAパターンの条件も満たしたことになることが多い(詳細は後述)。
    • 文系はAパターン、理系はDパターンが主流。ただし文系はBパターン、理系はCパターンも認められていることもある。また、私立理系はBパターンでよいことが多い。なお、医学部医学科や旧帝国大学旧官立大学などは、文系はAパターン(ただしDパターンで受けた場合「みなし措置」が認められるのが普通。詳細は後述)、理系ではDパターンしか認められない。
    • Aパターン必須の大学、学部・学科においては、Dパターンで受験した受験生に対し、受けた理科(2)の2科目を理科(1)の2科目とみなし、Aパターンの条件も満たしていることにする「みなし措置」を設け受験資格を与えているのが普通である(救済措置)[18]

実施日一覧

共通テスト本試験実施日一覧
西暦和暦)年第1日目第2日目
1
(第1日程)
2021年令和3年)1月16日1月17日
1
(第2日程)
1月30日 1月31日
2 2022年(令和4年) 1月15日 1月16日
3 2023年(令和5年) 1月14日 1月15日
4 2024年 (令和6年) 1月13日 1月14日
5(予定)[19] 2025年(令和7年) 1月18日 1月19日

※第1日目は全て土曜日、第2日目は全て日曜日。

追・再試験

( )内は受験者数

  • 2021年度 2021年1月30・31日に各都道府県で第2日程本試験(536名)、および第1日程追試験(1428名)・再試験(61名)実施。
  • 2021年度 2021年2月13・14日に東京芸術大学(1名)と神戸大学(0名)で特例追試験実施。
    • 第2日程の追試験として実施。出題方法・試験時間・配点等は旧センター試験のそれに準ずる。
  • 2022年度 2022年1月29・30日に各都道府県で追試験(1354名)・再試験(183名)実施。

導入が断念されたもの

いずれも第1回から導入予定であったが、2019年に導入延期となり、2021年に断念となった。

記述式問題の導入

国語と数学I・Aにはそれぞれ3問ずつの記述式問題の導入が予定されていた。

国語は現代文の部分に導入され、最も長いものは80〜120字で答えるものであった。小問は3段階で評価され、それをもとに大問全体として5段階で結果が出されることになっていた。なお、国語においては記述式問題の結果はマークシート部分とは別で提供されるため、大学側で選抜に利用しないという選択が可能であった[20]。記述式問題の導入に伴い、試験時間が従来の80分から100分に延長されることが予定されていた[8]

数学I・Aについては数式や語句を答える短答式の問題が導入されることになっていた。マークシート部分と一体で結果が出されるため、国語と異なり大学側が利用しないという判断をすることはできない予定であった[20]。また、記述式問題の導入に伴い、試験時間が現行の60分から70分に延長される予定であった[8]

問題点

2019年7月4日時点で本試験での採点者に大学生のアルバイトを導入することが検討されており[21]、これについて批判的な意見もある。また、2019年8月30日、一般競争入札により、ベネッセコーポレーション傘下でテスト採点を手がける学力評価研究機構が採点業務を行う事業者に決定したが、模試や教材を販売している企業が採点を担うことを疑問視する声もある[22]

導入の見送り・断念

2019年12月17日、文科省より共通テストでの記述式問題の導入を見送る旨の発表がなされた。実際の採点者が実施数か月前まで確定しないことや採点ミスのリスク、自己採点との不一致率の高さなどが理由として挙げられている[23]。これを受け、大学入試センターでは配点や試験時間などを再検討するとしている。

英語民間試験の活用

共通テスト英語では、「話す」「書く」も含めた4技能を評価の対象とするため、民間試験の活用がなされる[7]予定であった。

共通テストでの英語民間試験の活用においては、DNCが運営する大学入試英語成績提供システムを通し、英語民間試験の成績が受験生本人を介さずに大学側に提供される予定であった。利用できるのは受験年度の4月〜12月(ただし例外措置あり)に受けた指定の民間試験2回分までであり、成績の紐付けには共通IDというものが使用されることとなっていた。

手続きとしては、民間試験の受験時に受験生がDNCへの結果通知に同意することによって試験結果が受検生とDNCに対して通知され[24]、各大学出願時に「資格・検定試験の成績請求票」を大学に提出し、大学がDNCに対して共通テストの成績と併せて民間のテストの結果を請求する[24]という仕組みであった。

試験での成績は客観的に決まるものではなく、多くの場合それぞれの試験団体が判断したCEFRとの対応により評価される[25]

経緯

英語については、文部科学省の英語教育の在り方に関する有識者会議で、楽天会長の三木谷浩史が民間試験の利用を強く主張し、当初文部科学省は、本テストの英語の試験はすべて民間の資格・検定試験を利用する方針であったが、大学や高等学校の要望もあり、大学入試センター試験と同様のマーク式の問題を4年間は継続することを決定した。

2017年11月、DNCにおいて、「大学入試英語成績提供システム」運営要項が施行された。2017年(平成29年)11月から12月にかけて行われた「大学入試英語成績提供システム」への参加を申し込んだのは、実用英語技能検定TOEICTOEFLを含む9試験(7団体)であった[注 4][26]。2018年3月に、そのうちリンガスキルを除く8試験がシステム参加要件を満たしていると発表され、CEFRとの対照表も公表された[27]。しかし、このうち2020年度に全都道府県で受検できるのは3試験のみで、検定料にも幅があり、受検機会の公平性など、依然として課題は残されていた[28][29]。大学からも、「4技能を評価する手段としては適切」と評価する声がある一方で「各試験で測る力が異なり公平性担保が困難」と懸念する声も上がっていた[30][31]。大学入学共通テストを含む、大学の入学者選抜における英語4技能の評価などについては、IIBC日本英語検定協会などの民間試験実施団体が構成する英語4技能 資格・検定試験懇談会が「英語4技能試験情報サイト」で情報を発信している[32]

2018年12月、民間試験の受験結果を認めない大学は東北大学・名古屋大学・東京大学の3大学であった[33]。2019年5月、全国の国立大学82校のうち、少なくとも13校が「中学卒業程度」(国際指標「CEFR」の6段階で最低レベルのA1)を出願資格とすることが判明し、民間試験の活用方針変更の動きも出ていると報じられた[34]。北海道大、東北大、京都工芸繊維大は、公平性に問題があるなどとして活用しないことを決めている[35]

2019年7月には、TOEICが大学入試英語成績提供システムへの参加を取り下げることを発表した[36]。TOEICはTOEIC Listening & ReadingとSpeaking & Writingでそれぞれ「聴く・読む」と「話す・書く」の2技能ずつを測定しており、二つの試験は別々に実施されるため、システムの要請に合致しないと判断したためである[36]

問題点

英語民間試験に関しては、以下のような問題点が指摘されてきた[37]

  • 受験会場が遠い地方の受験生に不利になる。
  • 種類が異なる試験の成績を同列に比較できるのか。
  • 仕組みが複雑で、大学ごとに試験の成績の利用法が異なる。
  • 採点の質や公平性を確保できるのか疑問である。
  • 障害のある受験生への対応。

また、大学入試において、全受験生に対して4技能の能力を測定する妥当性に関しても疑問視されている[38]

文部科学省では2018年12月から、非公開の有識者会議を開いていた。受験料や地域の格差に関する課題が繰り返し指摘されていたが、文科省はこの議論の詳細を明らかにしていない[39]

延期・断念

大学入試英語成績提供システムは、2020年4月に運用開始される予定[40]であったが、2019年11月1日に英語の民間試験を5年後(令和6年度)実施に向けて検討することが発表された。文部科学省と民間試験団体との連携、調整が十分でなかったことから準備が十分に整わず、導入見送りを文部科学大臣が判断したとされている。なお、文科省は2025年度入試での再開を目標に検討を行っていた[41]。しかし、2021年6月、文科省は2025年度以降の活用を断念することを決定したため、導入見送りがほぼ確実となった[42]

4技能を民間試験によって測るようになったことを理由として、間接的に話す・書く力を測っていたとされる発音・アクセント問題および語句整序問題は廃止されたが、この方針は民間試験の活用が延期されても見直されていない[43]

過去の出来事やトラブル

共通テスト痴漢祭り

共通テストの時期には、「明日はJK(女子高校生)を痴漢しまくっても通報されない日です」などと受験生を標的とする痴漢予告が多発している。これは、試験に遅刻できない[注 5]ため通報されないと見込んでのものであり、2020年には悪質な書き込みが1000件以上確認されている。

新型コロナウイルス感染症による影響

2021年3月卒業(修了)見込みの受験者のうち、前年の2020年に実施された休校措置などの影響により学業の遅れを在学する学校長に認められた者、および1月16日・17日に実施する試験の追試験を受験する者を対象に、第2日程として1月30日・31日が設けられた。またこの日程の追試験として、特例追試験が2月13日と14日に実施された[44]

刺傷事件

1月15日8時30分頃、東京都文京区の東京大学本郷キャンパス正門前で、受験会場になっている大学内へ向かっていた高校生男女各1人と72歳の男性が凶器で攻撃される事件が発生した。72歳の男性は重傷を負い、高校生2人は命に別状はないと伝えられた。駆けつけた警察はその場で名古屋市の17歳の高校2年生を殺人未遂の現行犯で逮捕し、凶器も確保した。この男子生徒は前日の14日夜に高速バスで名古屋を出発して、この日の午前6時ごろ東京に到着し犯行に及んだ。男子生徒は「医者を目指していて東大に入りたかったが、1年前から成績が落ちてきて悩んでいた。事件を起こして死のうと思った」と供述している[45]。この影響で4人が追試験の対象になった[46]

津波警報・注意報による影響

1月15日、トンガ諸島付近にて大規模な噴火が発生し、世界的に津波が発生した。気象庁は一度は日本への影響はないとしたが、22時52分に小笠原父島で90cmの潮位の変化[注 6][注 7]を観測した。その後日本各地の沿岸でも同様の現象が確認され、23時55分には奄美小湊で1.2mの潮位変動を観測したことから改めて解析した結果、16日0時15分に日本全国に津波警報注意報が発令された。これを受け、大学入試センターはホームページで「避難情報が発令されている地域にお住まいの受験生は、各自治体の指示に従い、避難するなど命を守る行動を優先させてください」と呼びかけた。岩手県立大学宮古短期大学部会場(宮古市)では2日目の試験を中止する措置が取られた[47]。この影響による公共交通機関の運休により、テストを受験できなかった6人が追試験、前述の宮古市の会場にて受験予定だった181人が再試験の対象になった[46][48]

世界史B試験問題流出事件

1月15日、地理歴史・公民の試験時間中(午前11時頃)に、世界史Bの問題がスマートフォンで撮影され外部に流出する事件が発生した。試験時間中にテストの内容が外部に流出した事件は2011年に携帯電話を利用して京都大学などの試験問題の一部がインターネットの掲示板に投稿された事件(大学入試問題ネット投稿事件)以来である[49][50]

1月27日、大阪府在住の19歳の女性Aが香川県丸亀警察署に出頭した。Aは家庭教師紹介サイトを使用して、試験の約1ヶ月前から年齢や名前を偽って準備をしていた[51]。試験当日、家庭教師紹介サイトで知り合った東京大学の学生に問題を解くよう依頼して画像を送信し、解答を返信させていた。その後、依頼された学生は送られてきた画像が共通テストの問題であることに気づき、1月17日に文部科学省へ通報した[52]。なお、Aは国語、英語、数学、化学などの他の教科についても解答を送信するよう複数の学生に依頼していたとされるが、世界史B以外の画像の流出は確認されていない[53]

1月31日、大学入試センターがこの件について警視庁に被害届を出したことが分かった[54]。警視庁は偽計業務妨害罪の疑いでこの件の捜査を開始した[55]。2月10日、警視庁はAに加えて、画像を送る中継役をしていた20歳代の男性の2人を偽計業務妨害容疑で書類送検した[56][57]。3月31日、東京地検はこのAを家裁送致し、中継役の男性を略式起訴した[58]。4月15日、東京簡易裁判所は男性に罰金50万円の略式命令を出した[59]

この事件を受けて、その後の入試では監督者の指示でスマートフォンなどの電源を机上で切ってからかばんにしまうなどの対策が徹底された[60]

2023年(令和5年)

世界史Bの問題文で「」を「科」と誤植するミスがあり、訂正文が配布された[61]

話題となった出題内容

共通テストは毎年50万人程度が受験することから学生や受験業界以外にも注目度が高く、センター試験に引き続きユニークな出題がネット上などで話題になることがある。

2022年(令和4年)の本試験
  • 国語の評論問題において、宮沢賢治の「よだかの星」を参照して考察した文章と、食べられた豚肉の視点から考察した文章から出題。特に後者は「人間に食べられた豚肉(あなた)」というセンセーショナルな設定が話題となった[62]。また、英語(リーディング)でも「豚」を題材にした問題が登場し、「題材がリンクしている」と注目を集めた。
  • 英語(リスニング)において、大手寿司チェーン・喜代村木村清社長に似たイラストが話題となった[63]
  • 数学I・Aおよび数学II・Bにおいて、大手予備校が次々と「難化した」と評した[64]。特に数学I・Aの平均は37.96点と、前身のセンター試験を含めての歴代最低点を大幅に更新した[65]

脚注

注釈

  1. この年度は、試験を実施する会計年度(学校年度)ではなく、受験者が大学に入学する年度が入る。すなわち、令和5年度(2023年度)内である令和6年(2024年)1月に実施する試験は、令和6年度試験と称される。
  2. 大学入試センター試験では国語が80分、数学が60分。
  3. 1科目のみの受験不可。
  4. IELTSは2つの団体が重複して申し込んでいる。
  5. 大学入試センターは「もしも被害に遭って遅刻してしまっても、救済措置があるので、受験票に書かれた問い合わせ番号にまず電話して欲しい」としている。
  6. 気象庁はこの火山噴火によって生じた一連の海面変動に関して、津波に関する情報が解除された時点でも「津波かどうか分からない」と発表している。
  7. 気象庁はその後、2022年7月より地震以外による潮位の変化も「津波」として扱い、噴煙が1万5,000メートルを超える大規模な噴火が確認された時点で、「津波発生の可能性」を発表する運用を開始している。

出典

  1. 共通テストの仕組み・運営”. 大学入試センター. 2023年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  2. 令和6年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施要項について (pdf). 大学入試センター (2023年6月9日). 2023年6月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  3. 高大接続改革の実施方針等の策定について”. 文部科学省 (2017年7月13日). 2017年7月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月6日閲覧。
  4. PCでテスト! 新大学入試の回答方式はどうなる? 2016年1月Z会・ミライ研究室・新大学入試の基本。2018年2月11日閲覧
  5. 「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」検討、準備グループ”. www.mext.go.jp. 2019年1月20日閲覧。
  6. 大学入学共通テスト、どう捉える”. www.asahi.com. 2019年1月19日閲覧。
  7. こう変わる!大学入試 ~2020年度からセンター試験に代わる試験を実施~”. Kei-Net(河合塾). 2018年2月6日閲覧。
  8. “国語と数学の試験時間を延長 大学入学共通テスト大綱案”. 毎日新聞. (2019年5月29日). https://mainichi.jp/articles/20190529/k00/00m/040/258000c 2019年5月30日閲覧。
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関連項目

前身試験

外国の大学入学試験

その他

外部リンク

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