大野宿鳳来館

大野宿鳳来館(おおのしゅくほうらいかん)は、愛知県新城市大野にある歴史的建築物

旧大野銀行(大野宿鳳来館)本館

地図
情報
旧名称 大野銀行本店
旧用途 銀行信用金庫
設計者 志水正太郎[1]
施工 志水正太郎[1]
建築主 大野銀行
管理運営 株式会社スエヒロ産業[2][3]
構造形式 鉄筋コンクリート造、瓦葺[2]
建築面積 168 m² [2]
階数 2階建
竣工 1925年
所在地 441-1615
愛知県新城市大野字上野17-2
座標 北緯34度56分59.6秒 東経137度36分24.5秒
文化財 登録有形文化財
指定・登録等日 2009年1月8日

建物は1925年(大正14年)に東三河地方初の民間金融機関である大野銀行本店2代目社屋として建設された。2007年(平成19年)以降は建物をカフェギャラリー「大野宿鳳来館」として活用している。2009年(平成21年)1月8日には「旧大野銀行(大野宿鳳来館)本館」「旧大野銀行(大野宿鳳来館)土蔵」の2件が登録有形文化財に登録された。2011年(平成23年)6月、愛知県国登録有形文化財建造物所有者の会(愛知登文会)に設立メンバーとして参画し[4]、文化財の保存活用に取り組んでいる。

歴史

愛知県八名郡大野町(三河大野)は養蚕業の中心地であり、明治時代には絹糸・製糸工業が盛んとなった[5]スギヒノキの植林による林業も盛んであり、林業金融には大野銀行も一役買っている[5]。さらには秋葉街道別所街道宿場町としての性格も有しており、何軒もの旅館が立ち並んでいた。

1896年(明治29年)に設立された大野銀行(現在の三菱UFJ銀行である東海銀行の前身のひとつ)は、愛知県東三河地方初の民間金融機関である[6]。初代社屋は木造2階建ての洋風建築だったが[1]、1925年(大正14年)、大野銀行本店の2代目社屋としてこの建物が建てられた[7][6]。設計や施工を行ったのは、岡崎市岡崎信用金庫資料館名古屋市名古屋陶磁器会館を手掛けた志水正太郎(志水建築業務店)[6]

太平洋戦争後には大野銀行が東海銀行に吸収合併され、1945年(昭和20年)9月には東海銀行三河大野支店となった[1][8]。1963年(昭和38年)7月には東三河信用組合三河大野支店となり、2000年(平成12年)10月には豊川信用金庫三河大野支店となり、2003年(平成15年)1月には最後に豊川信用金庫鳳来支店三河大野出張所となった[1][8]。客数の減少によって、豊川信用金庫鳳来支店三河大野出張所は2006年(平成18年)9月23日をもって閉鎖された[9][10][8]

豊川信用金庫は新城市当局に対して、土地と建物の無償譲渡を申し入れたが、新城市は「所有するメリットはない」として難色を示した[9]。これによって建物の取り壊しが懸念されたが、新城市で生コンクリートを製造するスエヒロ産業の安形憲二社長が土地と建物を購入し、購入費用も併せて数千万円で天井や床などを改修[9][10]。2007年(平成19年)10月2日にカフェギャラリー「大野宿鳳来館」が開店した[10][8]

2014年(平成26年)10月には愛知登文会によって、愛知県内の37件の登録有形文化財の特別公開(後のあいたて博)が初めて行われたが、この際には大野宿鳳来館も公開の対象となった[11]

建築

旧大野銀行(大野宿鳳来館)土蔵
情報
建築主 大野銀行
管理運営 株式会社スエヒロ産業
構造形式 土蔵造、瓦葺き[1]
建築面積 29.9 m² [1]
階数 2階建
竣工 明治時代中期
文化財 登録有形文化財
指定・登録等日 2009年1月8日

本館

鉄筋コンクリート造の2階建てであるが[6]、外観は石積み風である[2][3]。東西は17メートル、街道に面する南北は9.7メートル[2][3]。メダイオン(円形装飾)が付いた玄関が特徴[6][1]。玄関は角地に設けられ、曲線状に造られている[1]。1階の客溜まりと執務室はカウンターで仕切られており、執務室は一段高くなっている[1]

土蔵

土蔵は明治時代中期の建築であり、1896年(明治29年)に初代本館とともに建てられたと考えられている[1]。1階部分は板張り、2階は漆喰仕上げである[1]。2012年(平成24年)3月1日には蔵ギャラリーとして一般公開が開始された[12]

旧料亭菊水

敷地の東隣には明治時代の建物で営業する旅館・若松屋があり、北隣にはやはり登録有形文化財の旧料亭菊水がある。菊水は大正末期に建てられた待合料亭である[13]。大野の町が当時、材木業、養蚕業で栄えたことの証でもある[13]。階段室の外壁には大野在住の左官職人の鈴木光男による奴、雀、竹林の鏝絵が描かれている[13][14]。2009年(平成21年)に愛知の名工に選ばれた中神覚は、鈴木光男の直系の弟子である。2階の階段室のガラス窓や便所の戸などには、国産の型板ガラスが本格的に造られていた時期の型板ガラスが用いられている[13]

脚注

  1. 旧大野銀行(大野宿鳳来館)本館 新城市
  2. 旧大野銀行(大野宿鳳来館)本館 文化遺産オンライン
  3. 旧大野銀行(大野宿鳳来館)本館 文化財ナビ愛知
  4. 「愛知県国登録有形文化財建造物所有者の会」設立総会 (PDF). 愛知登文会 (2011年6月26日). 2023年8月24日閲覧。
  5. 「街道を行く(348)鳳来館 かつて銀行 至福の喫茶」中日新聞、2011年11月30日
  6. 「登録文化財県内新たに3件 旧大野銀行本館・土蔵 曲線状玄関ランドマークに 旧国鉄武豊港駅転車台 貨車を誘導、一時は朽ち果て」中日新聞、2018年8月7日
  7. 「おいでん三河 記者が行く 商店街編(29)新城・大野かいわい 繁栄の歴史息づく」中日新聞、2011年9月4日
  8. 建物の歴史 大野宿鳳来館公式サイト
  9. 「『大正的』建物 “余生”はギャラリー」豊川信金支店出張所 新城の会社社長が購入、改修へ オープン時記念催し企画 無償受け入れ 新城市が断念」中日新聞、2007年5月16日
  10. 「威風堂々『鳳来館』に再生 近代化遺産取り壊し免れる 新城 大正期の旧信金 安形さん買い取り ギャラリー兼喫茶店に」中日新聞、2007年9月23日
  11. 「国文化財建造物公開へ 名古屋、尾張、三河の37件」『中日新聞』2014年10月23日
  12. 蔵・古民家 大野宿鳳来館公式サイト
  13. 旧料亭菊水”. 新城市. 2023年9月6日閲覧。
  14. 大正時代へタイムスリップ!?愛知県新城市「美術珈琲 鳳来館」 ORICON NEWS、2019年6月30日

外部リンク

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