恋をするなら (橋幸夫の曲)

「恋をするなら」は、1964年8月5日に日本ビクター(現:JVCケンウッド)の音楽レコード事業部のビクターレコード(現:JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)より発売された橋幸夫の54枚目のシングルである(SV-87)[1]。橋のリズム歌謡第1作にあたる。 c/wの「孤独のブルース」と共に橋主演の松竹映画『孤独』の主題歌になっている。同名のミュージックブックも制作されている(MBK3115)。

「恋をするなら」
橋幸夫 の シングル
B面 孤独のブルース
リリース
ジャンル 歌謡曲(リズム歌謡)
時間
レーベル ビクターレコード(SV-87)
作詞・作曲 佐伯孝夫(作詞)
吉田正(作・編曲)
ゴールドディスク
チャート最高順位
  • 月間1位(『平凡』第8回から連続4ヶ月)
  • 月間1位(『明星』第15回から連続4ヶ月)
橋幸夫 シングル 年表
東京五輪音頭
(1964年7月20日)
恋をするなら蘭太郎街道
(1964年10月20日)

概要

  • 1960年に『潮来笠』でデビューし、62年には『江梨子』や『いつでも夢を』をリリースして青春歌謡路線に進出した橋は、この年(64年)8月、サーフィンリズムの『恋をするなら』をリリースし、新たにリズム歌謡を開拓した。作詞は佐伯孝夫、作曲は吉田正で、橋の両恩師による制作である。
  • 楽曲制作のきっかけは、恩師の吉田が、36年にヨーロッパ、37年には米国の音楽事情の視察に出張し、サーフィンのリズムやエレキサウンドに触れたことである。特にロスでは子供までもがサーフィンのリズムで踊っているのを見て、吉田は「間もなく日本にもそういう時代が来る」と直感[2]、ここから、楽曲制作が始まった。
  • 橋は、恩師の吉田について「絶えず新しい楽器ものを探していたわけで…ここからテケテケテケ(エレキサウンド)が始まった」[3]としている。
  • 吉田の楽曲は、殆どが作詞先行で、橋の楽曲についても、従来、佐伯の詩に吉田が曲をつけるパターンであったが、初めてのサーフィンリズムの導入ということもあり、本曲はメロディー先行した[4]。特徴的な「A・I・E・O」について橋は、「詩が先にあった」と証言しており[5]、吉田がメロディの概要を佐伯に聞かせ、佐伯の詩ができあがってから吉田が最終的に楽曲に仕上げた。
  • 橋は、リズム歌謡は「曲だけでなく詩も新鮮でした。〈炎のように燃えようよ〉とストレートに来ましたから驚いた、〈A・I・E・O〉のフレーズもおもしろい」と回想している[6]。
  • 翌年7月末までの1年間でのセールスは87万枚に達し[7]、1966年までには公称100万枚を突破している[8]。『平凡』『明星』とも連続4ヶ月1位を獲得、この年の「第15回NHK紅白歌合戦」で橋は本楽曲を歌唱している。オリコンの発足により『平凡』『明星』のランキングは1971年には終了するが、連続4ヶ月にわたり月間1位を獲得した楽曲は本楽曲のみである[注 1]。
  • また本曲は「墓仔埔也敢去」など、台湾、香港、シンガポールでも現地の歌手によってカヴァーが発表された。特に台湾ではアイドル時代のテレサ・テン、葉啓田、近年では伍佰[注 2]、蔡依林によりカヴァーされている。
  • 楽曲発表の翌月にはリズム歌謡第2作の『ゼッケンNO.1スタートだ』、さらに11月には『チェッ・チェッ・チェッ -涙にさよならを-』を発表、前者はホットロッド、後者はサブロックのリズムとされている。なお橋は、翌年にもスイムリズムの『あの娘と僕(スイム・スイム・スイム)』を発表し、一連のリズム歌謡で、第7回日本レコード大賞企画賞を獲得している[9]。
  • c/wの「孤独のブルース」も佐伯、吉田による楽曲である。A面とは対照的な曲調である。橋は、チャリティショーなどのステージでこの曲をギターを弾きながら歌唱している[10]。
  • この年の橋のシングルリリースは前年に続き15枚に達した(翌年も15枚)[11]。

収録曲

  1. 恋をするなら
    作詞:佐伯孝夫、作・編曲:吉田正
  2. 孤独のブルース
    作詞:佐伯孝夫、作・編曲:吉田正

収録アルバム

  • 『橋幸夫ベストヒット』(2015年7月10日)BHST153
  • 『橋幸夫 ザ・ベスト』(2012年7月25日) VICL-6390
  • 『橋幸夫ベスト~盆ダンス~』(2005年11月23日)VICL-61820
  • 『橋幸夫スーパーベスト』(2005年11月11日)ASB-1018
  • 『SWIM! SWIM! SWIM!』(2005年7月21日)VICL-61713
  • 『元祖!リズム歌謡』(2005年6月29日)VICL-61686
  • 『橋幸夫全曲集 』(2003年11月26日)VICL-61251
  • 『橋幸夫が選んだ橋幸夫ベスト40曲』(2000年10月4日)VICL-60641~2
  • 『<TWIN BEST>』(1998年11月6日)VICL-41033~4
    ......その他

関連作品

映画「孤独」

  • 本作を主題歌とする『孤独』(松竹大船)が橋幸夫、桑野みゆき主演で制作され、1964年8月1日に公開された。カラー、シネマスコープサイズで上映時間は1時間33分[12]。
  • ものがたりは、大学のボクシングチャンピオンを狙う芦田浩二役に橋が、腹違いの兄を憎む渚穹子役に桑野みゆきが扮し、二人にからむ。ある日沖で泳いでいた穹子が鮫に襲われたことから、物語は思わぬ展開を見せる。

ミュージックブック「恋をするなら」

  • 楽曲のヒットを受け、ミュージックブック「恋をするなら」が制作され、11月日本ビクター出版より発売された(MBK3115)
  • 主な内容は以下のとおりで、片面ソノシートが3枚付属している。
    巻頭カラーグラビア
    爆発する新しい魅力
    歌詞紹介(2曲)
    幸ちゃんとの会話
    歌詞紹介(2曲)
    幸ちゃん民謡を吹き込む
    映画紹介「21才を賭けた『孤独』」
    グラビア
    歌詞紹介(2曲)
    すばらしいステージ
    橋幸夫ポケットメモ

カバー

台湾

一吻定情(訳詞:李潔心)
  • 鄺玉玲(1966年、大中華レコードより(DCH Records)発売)
  • テレサ・テン(1968年、宇宙レコードより発売)
  • 鍾叮噹(1968年発売)GS風アレンジ。
  • 黃菱(1967年、EMI Regal Recordings発売)
  • 孫一華(1968年、美亞レコードより(Mayar Records)発売)
  • 雪華(孫一華)(1966年、東昇唱片 (Tongsheng Records))※おそらく最古の音源。
墓仔埔也敢去(訳詞:郭大誠)
  • 葉啓田
  • 吳勇濱
  • 蔡依林
  • 伍佰

香港

春心動 (粤語訳詞:花月)
  • 崔妙芝 (1969年発売)ロック風歌謡アレンジ。
我為你心痴 (粤語訳詞:蘇翁)
  • 杜平 (1969年発売、EMI Pathe Records発売)
啊咿噢 (中國語訳詞:?)
  • 張萊萊 (1969年発売、天聲レコードより(Tien Shing Records)発売)
嬉皮之歌 (中國語訳詞:珊梅)
  • 魏平澳 (1970年、EMI Angel Records発売) 中國語映画ᐸ雙喜臨門ᐳ挿入歌
関老三 (粤語訳詞:花月)
  • 黃子華 (1999年発売)

シンガポール

Koio Surunara (恋をするなら)
戀情纏住我心房(訳詞:?)
  • 黄清元(黃清元)

脚注

注釈

  1. 『平凡』『明星』の両誌で揃って連続3ヶ月一位を獲得した楽曲は、橋の「チェッ・チェッ・チェッ -涙にさよならを-」と舟木一夫「あゝ青春の胸の血は」の2曲がある。尚、ランキングが発足するのは1963年であり、橋が「潮来笠」でデビューした時(1960年)の記録はない。
  2. 台湾映画チェン・ユーシュン監督熱帯魚 (映画)の挿入歌として使われた。

出典

  1. 「シングルレコード・ディスコグラフィティ」橋幸夫・小野善太郎共著『橋幸夫歌謡魂』ISBN 4-948735-16-7 ワイズ出版(東京)1993/6 168-209頁参照
  2. 『生命ある限り-吉田正・私の履歴書』日立市民文化事業団(茨城)2001/3 139頁
  3. 橋幸夫・小野善太郎共著『橋幸夫歌謡魂』ISBN 4-948735-16-7 ワイズ出版(東京)1993/6 49頁
  4. ビクターエンタテインメント『吉田正大全集~1948-1997』1997/9 解説書22頁その他参照
  5. 橋幸夫・小野善太郎共著『橋幸夫歌謡魂』前掲 50頁
  6. 橋幸夫著『シオクルカサ(潮来笠)の不思議な世界:エピソードで綴る波乱の歌手伝説』ISBN 978-4-87969-106-4 日刊現代(東京)2007/4 64頁
  7. 『別冊近代映画』1965年91臨時増刊号 通巻152号 115頁
  8. 安倍寧『音楽界実力派』音楽之友社、1966年、108頁。NDLJP:2509233/60
  9. 金子勇『吉田正 誰よりも君を愛す』ISBN 978-4-623-05623-1 ミネルヴァ書房(京都) 2010/1 337頁
  10. 日本ビクター出版『恋をするなら』1964年11月刊行 17頁
  11. 前掲書「シングルレコード・ディスコグラフィティ」参照
  12. 橋幸夫・小野善太郎共著『橋幸夫歌謡魂』前掲 268頁

関連項目

  • 松重豊 - 自分が初めて買ってもらったレコードとして同曲を挙げている。
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