探偵物語 (1983年の映画)
『探偵物語』(たんていものがたり)は、赤川次郎の小説。1983年に映画化され、1984年および2018年にテレビドラマ化された。
本項では小説を原作とした映像作品についても述べる。もともと映画化を前提に書かれたメディアミックス作品であり、主人公・直美はその主演・薬師丸ひろ子に当て書きされたものである[1]。
ストーリー
富豪の令嬢である女子大生の直美は、5日後に父のいるアメリカ合衆国への移住を控えていた。ボディガード兼監視役として雇われた私立探偵・辻山が直美の前に現れ、はじめは疎んじていた直美は、やがて辻山に好意を持つようになる。
そんな中、辻山の元妻のクラブ歌手・幸子(さちこ)が辻山のアパートに駆け込んでくる。幸子の現在の恋人でクラブ支配人の和也が、ともに訪れたラブホテルの浴室で突然刺殺体となったと言うのだった。状況証拠から容疑者となった幸子は警察や和也の生家・国崎組に追われる身となっていた。ニュースで幸子の事件を知った直美は、辻山と幸子を自邸にかくまい、トリックの解明と真犯人探しのために奔走する。
小説
| 探偵物語 | ||
|---|---|---|
| 著者 | 赤川次郎 | |
| 発行日 |
1982年11月25日(単行本) 1984年4月1日(文庫本) | |
| 発行元 | 角川書店 | |
| 国 |
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| 言語 | 日本語 | |
| コード | ISBN 978-4-04-149720-3(文庫本) | |
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1982年に新書判のカドカワノベルズから書き下ろし作品として刊行され、後述の映画公開後の1984年に文庫化された(角川文庫)。
映画
| 探偵物語 | |
|---|---|
| 監督 | 根岸吉太郎 |
| 脚本 | 鎌田敏夫 |
| 原作 | 赤川次郎 |
| 製作 | 角川春樹 |
| 出演者 |
薬師丸ひろ子 松田優作 |
| 音楽 | 加藤和彦 |
| 主題歌 | 薬師丸ひろ子「探偵物語」 |
| 撮影 | 仙元誠三 |
| 編集 | 鈴木晄 |
| 製作会社 | 角川春樹事務所 |
| 配給 | 東映洋画 |
| 公開 |
|
| 上映時間 | 111分 |
| 製作国 |
|
| 言語 | 日本語 |
| 興行収入 | 51億円 |
| 配給収入 | 28億円 |
『探偵物語』(たんていものがたり)は、1983年に公開された日本映画。薬師丸ひろ子の主演映画第3作。アイドル絶頂期に大学受験で休業していた薬師丸の復帰作である。封切り時の同時上映作品は『時をかける少女』。
相手役である松田優作との身長差30センチや、当時の清純派アイドル女優としては極めて異例であるディープ・キスシーンなどで話題を呼んだ[2]。主題歌を除く劇伴・挿入歌などの作曲を加藤和彦が担当した。
キャスト(映画)
直美の主な関係者
- 長谷沼君江
- 演 - 岸田今日子
- 新井家の家政婦。直美のことを「お嬢様」と呼んで丁寧な物腰で接するが、時には母親のように意見することもある。彼女の父と男女の仲にある模様。
- 永井裕
- 演 - 北詰友樹
- 直美が所属するサークルの先輩。オートバイを持っている。ゼミの同級生進藤正子と男女関係にあるが、直美には単なるゼミ仲間と偽り関係を隠している。予てから直美に気があり、彼女がアメリカに行ったまま帰らないかもしれないと知って、送別会代わりにデートに誘い、夕食の後一緒にホテルに入った。
- 進藤正子
- 演 - 坂上味和
- 永井の彼女で、彼の部屋へ通い部屋の家事をしている。永井が金持ちの娘が好きだと思い、金を稼ぐためにナイトクラブでバニーガールをしながら客相手に売春している。
秀一の主な関係者
組の人たち
- 国崎剛造
- 演 - 藤田進
- 暴力団の組長で和也の父。高齢だが岡野も恐れる威厳のある人物。岡野たちに命じて息子を殺した犯人を探させる。
- 岡野
- 演 - 財津一郎
- 暴力団員のまとめ役。和也殺しの容疑がかかった幸子が失踪したため、手下とともに居場所を突き止めようとする。秀一や直美が幸子を匿っていると知り、手荒いやり方で追い詰める。
- 和田
- 演 - ストロング金剛
- 暴力団員。岡野の手下。力が強く行動が荒々しい。ただし、手下の組員が直美に向けて銃を発砲した時は、「街なかで撃つな!」と叱っている。
- 佐藤
- 演 - 山西道広
- 暴力団員。岡野の手下。幸子の居場所を聞き出すため、秀一が勤める赤川探偵社の事務員の女性を脅す。
その他
- 赤川晶
- 演 - 荒井注
- 赤川探偵社の代表。秀一の上司。秀一の居場所を聞きに来た岡野たちに脅される。
- 高峰刑事
- 演 - 蟹江敬三
- 殺人の容疑で指名手配された幸子と犯人隠匿罪の罪で秀一を逮捕する。
- ラブホテルのマネージャー
- 演 - 三谷昇
- 和也が殺されたラブホテルのフロントで働く。ホテルに暴力団員たちが来たため、警察に通報する。
- 警官
- 演 - 林家木久蔵
- 直美が秀一と初めて会った時にトラブルになったため、交番で二人に事情を聞く。
- アパートの住人
- 演 - 榎木兵衛
- 秀一が住むアパートの隣の部屋の住人。秀一たちがアパートに貼り込んだ岡野から逃げるために手助けとなる。
- 直美を誘う男
- 演 - 加藤善博
- 33歳で秀一と同世代の男性。ディスコで一人でいた直美を口説いて外に連れ出し、ラブホテルに誘う。
- 若い男
- 演 - 清水昭博
- 黒背広の男
- 演 - 草薙良一、清水宏、庄司三郎、檀喧太、南雲佑介
- その他
- 演 - 大川陽子、桑田和美、太田真由美、高山成夫、斉藤建夫、島貫晃、若狭広海、西村英子、飯島大介、昌子英理奈、吉田功
スタッフ(映画)
- 製作 - 角川春樹
- 監督 - 根岸吉太郎
- 脚本 - 鎌田敏夫(実際は荒井晴彦という情報あり[3])
- 原作 - 赤川次郎
- プロデューサー - 黒澤満、長谷川安弘、紫垣達郎
- 撮影 - 仙元誠三
- 照明 - 渡辺三雄
- 美術 - 徳田博
- 録音 - 橋本文雄
- 編集 - 鈴木晄
- 助監督 - 一倉治雄
- 音楽 - 加藤和彦(編曲:清水信之、音楽プロデューサー:高桑忠男、石川光)
- 主題歌 - 薬師丸ひろ子「探偵物語」(作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一、編曲:井上鑑)
- 挿入歌
- 音響効果 - 小島良雄(東洋音響)
- 現像 - 東映化学
- 製作協力 - セントラル・アーツ、ディレクターズ・カンパニー
- 配給 - 東映洋画
- 製作 - 角川春樹事務所
脚本
脚本は角川春樹が鎌田敏夫を指名し完成したが[4]、根岸吉太郎監督が「これでは使えない」と文句をつけて、親しい荒井晴彦と高田純に脚本の手直しを要求[4]。このトラブルで映画の完成が大幅に遅れた[4]。泣く子と地頭には勝てないとすぐに諦める監督が多い中[4]、映画界の"ドン"にのし上がった角川春樹に敢然と"反旗"を翻した根岸を映画関係者は称賛した[4]。
配給
薬師丸の休養後のカムバック作で大ヒットは間違いなく、東映と東宝の激しい配給権争いが映画関係者の間で話題を呼んだが[1][7]、『セーラー服と機関銃』の配給実績が買われ、東映(東映洋画)になった[1]。
プロモーション
前作『セーラー服と機関銃』の大阪での舞台挨拶で人が集まり過ぎて上映中止になったことを踏まえ[8]、多くの人が集まっても問題の起こらない野球場を使用して『探偵物語』のキャンペーンを実施した[9]。大阪は1983年6月25日大阪球場[8]。薬師丸率いる野球チームのヒロコーズが草野球をし、持ち歌3曲を披露するミニ・コンサートも行われた[9][6]。背番号8940(やくしまる)をつけた薬師丸は1イニング限定で投手として守り、順不同でバッターボックスにも立った[10]。全国7か所で行われた試合の相手チームはジャパンアクションクラブ(東京・後楽園球場)、毎日放送アナウンサーズ[6]および吉本興業チーム(大阪)、西鉄ライオンズOB(福岡)、地元マスコミ・チーム(名古屋)など[9][10]。
興行成績・評価
第1回ゴールデングロス賞優秀銀賞、マネーメイキングスター賞を受賞した。
音楽を担当した加藤和彦は、根岸吉太郎監督の仕事ぶりには自分と近いものがあるとし、この作品もとくに終盤の15分間はフランス映画のようで、圧巻の出来と評している[11]。
ビデオグラム
下記以外にも、松田優作DVD-BOX等に収録されている。
- 探偵物語(DVD)(2000年12月22日、角川エンタテインメント、KABD-88)
- 探偵物語 Blu-ray(Blu-ray Disc)(2009年10月23日、角川エンタテインメント、DAXA-1129)[14]
- 探偵物語 デジタル・リマスター版(DVD)(2009年10月23日、角川エンタテインメント、DABA-0647)[14]
- 探偵物語 ブルーレイ(Blu-ray Disc)(2012年9月28日、角川映画、DAXA-4273)[15]
- 探偵物語 角川映画 THE BEST(DVD)(2016年1月29日、KADOKAWA、DABA-91111)[16]
サウンドトラック
- 『探偵物語 オリジナル・サウンドトラック』(加藤和彦 / 薬師丸ひろ子)(1983年7月16日、EASTWORLD / 東芝EMI、LP:WTP-90250、CT:ZH28-1350、CD:CA35-1036)
書籍
- 『探偵物語 カドカワフィルムストーリー』(角川文庫 / 1984年11月発行 / ISBN 4041595045)
- 映画のストーリーをスチル写真により再現した文庫。
テレビドラマ
1984年版
| 探偵物語 | |
|---|---|
| ジャンル | テレビドラマ |
| 原作 | 赤川次郎 |
| 脚本 | 中村勝行 |
| 演出 | 高橋伴明 |
| 出演者 |
渡辺典子 柄本明 馬渕晴子 風祭ゆき |
| 製作 | |
| 制作 | TBS |
| 放送 | |
| 放送国・地域 | |
| 放送期間 | 1984年1月8日 - 1月29日 |
| 放送時間 | 日曜日20:00 - 20:54 |
| 放送枠 | 日曜ファミリードラマ |
| 放送分 | 54分 |
| 回数 | 4 |
1984年1月8日から1月29日までTBS系列の「日曜ファミリードラマ」枠で毎週日曜日20:00 - 20:54(JST)に放送された日本のテレビドラマ。全4話。主演は渡辺典子。
キャスト(1984年版)
スタッフ(1984年版)
2018年版
| 探偵物語 | |
|---|---|
| ジャンル | テレビドラマ |
| 原作 | 赤川次郎 |
| 脚本 | 黒岩勉 |
| 演出 | 筧昌也 |
| 出演者 |
斎藤工 二階堂ふみ 夏木マリ 吹越満 |
| 製作 | |
| 制作 | テレビ朝日 |
| 放送 | |
| 放送国・地域 | |
| 放送期間 | 2018年4月8日 |
| 放送時間 | 日曜日21:00 - 23:05 |
| 放送枠 | 日曜プライム |
| 放送分 | 125分 |
| 回数 | 1 |
| 公式サイト | |
2018年4月8日、テレビ朝日の「日曜プライム」枠(日曜日21:00 - 23:05、JST)の第1弾作品として放送された日本のテレビドラマ。主演は斎藤工と二階堂ふみ[17]。
キャスト(2018年版)
脚注
出典
- 『キネマ旬報』1983年(昭和58年)1月下旬号, p. 178.
- “熟女にアイドルに大モテ松田優作 - 松田優作 過去ニュース”. nikkansports.com. 日刊スポーツ新聞社 (1983年2月11日). 2023年10月5日閲覧。
- 中川右介「第七章 頂点-1983年」『角川映画 1976-1986 日本を変えた10年』角川書店、188頁。ISBN 4-047-31905-8。
- 「芸能ゴシップ」『噂の眞相』1983年6月号、噂の眞相、91頁。
- 「人気ドラマ&CFにみる東京ロケ地マップ」『週刊明星』1988年3月3日号、集英社、52-56頁。
- 『プレイガイドジャーナル』1983年8月号, p. 24.
- 高橋英一・西沢正史・脇田巧彦・黒井和男「映画・トピック・ジャーナル 人気絶頂の薬師丸ひろ子のカムバック作をめぐって東映と東宝が激突!!」『キネマ旬報』1982年(昭和57年)8月下旬号、キネマ旬報社、1982年、173頁。
- 『プレイガイドジャーナル』1983年4月号, p. 24.
- 遠藤茂行(インタビュアー:壬生智裕)「時代を彩った「角川映画」とは何だったのか? 宣伝マンが振り返る40年の歴史 - 映画界のキーパーソンに直撃」『東洋経済オンライン』、東洋経済新報社、3頁、2016年7月30日。2023年10月5日閲覧。
- 遠藤茂行(インタビュアー:壬生智裕)「時代を彩った「角川映画」とは何だったのか? 宣伝マンが振り返る40年の歴史 - 映画界のキーパーソンに直撃」『東洋経済オンライン』、東洋経済新報社、4頁、2016年7月30日。2023年10月5日閲覧。
- 『STUDIO VOICE』vol.95、流行通信、1983年10月、29頁。
- 1983年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟
- “「フラガール」受賞にホッ…アカデミー賞の権威保った”. Zakzak. (2007年2月19日). オリジナルの2017年8月29日時点におけるアーカイブ。 2017年8月29日閲覧。
- 山崎健太郎 (2009年8月18日). “没後20年記念で、松田優作の映画4作品がBlu-ray化”. AV Watch. インプレス. 2023年10月5日閲覧。
- 山崎健太郎 (2012年7月6日). “戦国自衛隊」や「七日間戦争」など角川映画20本BD化”. AV Watch. インプレス. 2023年10月5日閲覧。
- “角川映画40周年記念、「犬神家」「セーラー服」など30タイトルの廉価版DVD発売”. 映画ナタリー. ナターシャ (2016年1月28日). 2016年8月15日閲覧。
- “探偵物語:テレビドラマとして34年ぶりに映像化 斎藤工、二階堂ふみが主演”. MANTANWEB(まんたんウェブ). MANTAN (2018年2月23日). 2018年2月23日閲覧。
- “安藤裕子が薬師丸ひろ子のヒット曲をカバー、ドラマ「探偵物語」の主題歌に”. 音楽ナタリー (ナターシャ). (2018年3月23日) 2018年3月23日閲覧。
参考文献
- 「邦画新作情報 薬師丸ひろ子の復帰作を撮る根岸吉太郎監督」『キネマ旬報』1983年(昭和58年)1月下旬号、キネマ旬報社、1983年、178頁。
- 「CINE・RANDOM」『プレイガイドジャーナル』1983年4月号、プレイガイドジャーナル社、24頁。
- 「映画NEWS」『プレイガイドジャーナル』1983年8月号、プレイガイドジャーナル社、23頁。
外部リンク
- 探偵物語 角川映画 THE BEST - 角川シネマコレクション
- 探偵物語(1983) - allcinema
- 探偵物語(1983) - KINENOTE
- 探偵物語(1983) - MOVIE WALKER PRESS
- 探偵物語(1983) - 映画.com
- Tantei monogatari - IMDb(英語)
- 1984年のテレビドラマ
- TBS日曜8時枠の連続ドラマ
- 赤川次郎原作のテレビドラマ
- 日本のサスペンスドラマ
- 日本の恋愛ドラマ
- 2018年のテレビドラマ
- 日曜プライム
- 赤川次郎原作のテレビドラマ
- 日本の恋愛ドラマ
- MMJのテレビドラマ
- 探偵を主人公としたテレビドラマ