雀 (小説)
あらすじ
津軽に来てからひとつきほど経った頃、「私」は五所川原でキンシを30本ばかりと清酒を一升買い、金木町行きの列車に乗った。「や、修治」と呼ぶ者がいた。旧友の加藤慶四郎君であった。慶四郎君は白衣で胸に傷痍軍人の徽章をつけていた。
慶四郎君は「私」と小学校が同クラスであった。東京のK大学に入り、そのまま東京の中学校の教師をしていたということは風の便りに聞いていた。兵隊に3年とられ、病気でたおれ、療養先の伊東温泉で終戦を迎え、本日生家に戻るところだという。妻子は招集と同時にこちらの家に疎開させていた。
「私」は清酒を無理矢理彼に押し付け、3日後に慶四郎君の家を訪ねる。彼は清酒には少しも手をつけずに「私」を待っていた。
伊東温泉の療養所のすじむかいに小さな射的場があって、その店にツネちゃんという娘さんがいた。はたちくらいで、母親はなく、父親は療養所の小使いをしていた。その頃、関西弁の若い色男の兵隊がツネちゃんをどうしたのこうしたのという評判があった。
慶四郎君がツネちゃんに疎開しないのかと尋ねると、ツネちゃんは「あなたたちと一緒よ。死んだって焼けたって、かまやしないじゃないの」と言った。この射的場で一ばんむずかしいのは、ブリキ細工の雀が時計の振子のように左右に動いているのを鉛の弾で撃つ「雀撃ち」ということになっている。妙に淋しくなった慶四郎君は「雀でも撃って見ようかな」と言って空気銃を取りあげた。
脚注
注釈
出典
- 『太宰治全集 第8巻』筑摩書房、1990年8月25日、402-403頁。解題(山内祥史)より。
- 『太宰治全集 8』ちくま文庫、1989年4月25日、533頁。解題(関井光男)より。
- 冬の花火 (中央公論社): 1947|書誌詳細|国立国会図書館サーチ
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