Max (ストリーミングサービス)

Maxは、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーが所有・運営する、アメリカの定額制ビデオ・オン・デマンド・ストリーミングサービス。HBO MaxとDiscovery+の要素を統合し、HBO Maxの後継として機能する。Discovery+は低コストの単独のサービスとして継続する。2023年4月12日に発表され、同年5月23日に開始された[1]

ワーナー・ブラザース・ディスカバリー > Max (ストリーミングサービス)
Max
URL max.com
言語 英語
タイプ ビデオ・オン・デマンド
設立 2023年4月12日 (2023-04-12)
前身
本国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
事業地域 アメリカ合衆国、ラテンアメリカ、カリブ海諸国、ヨーロッパの一部
運営者 ワーナー・ブラザース・ディスカバリー
主要人物
業種 Mass media
登録 Required
開始 2023年5月23日 (2023-05-23)
現在の状態 Active

HBO Max

前身となるHBO Maxは、ワーナーメディアHBOプレミアムTVサービスをベースにしており、ワーナーメディアの全番組に加え、ワーナーメディアの各所から提供されている追加のオリジナル番組や、ライブラリコンテンツ、さらにはワーナーメディアがストリーミング権を購入したサードパーティのコンテンツプロバイダーから提供されている様々なコンテンツが含まれている。

料金は月額14.99ドル[2][3]。2015年に開始した動画配信サービス「HBO Now」の加入者は自動的に本サービスの会員へ移行する[3]。広告つきで月額9.99ドルの低価格会員制度を2021年6月に開始予定である[4]

AT&Tによると、HBO Maxは2020年6月末までに410万人の加入者を獲得しており、そのうち110万人はHBO有料テレビの契約を通じて無料でアクセスできるようになっている[5][6]

2022年4月にワーナーメディアディスカバリー社が合併してワーナー・ブラザース・ディスカバリーが設立されて以来、HBO Maxは、統合された会社の2つの旗艦ストリーミングサービスの1つで、もう1つはDiscovery+(主にDiscoveryブランドのファクトチュアル番組に焦点を当てた)。2023年4月12日、Discovery+のコンテンツを取り入れたサービスのリニューアルが発表され、同年5月23日に「Max」としてサービスが開始された[7]。通常は2chLPCM、ドルビーデジタルあたりまでの音声出力にしか対応しておらず、ドルビーアトモス音源、および4K画質で配信を視聴する場合は通常よりも高価な定額プランに入る必要がある。

歴史

設立とローンチ

ワーナーメディアは2018年10月10日[注釈 1]、自社のエンターテインメントブランドのコンテンツをフィーチャーしたオーバーザトップのストリーミングサービスを2019年後半に開始すると発表した[8]。同サービスの当初の計画では、2019年後半のローンチで3つの層を用意するとしていた[9]。 ワーナーメディアの親会社であるAT&Tの会長兼CEOであるランドール・L・スティーブンソンは、2019年5月中旬、HBOブランドを使用し、HBOのケーブル加入者がストリーミングサービスにアクセスできるようになるため、ケーブル事業者と提携することを示唆していた。ベータ版は2019年第4四半期に、フルローンチは2020年第1四半期になると予想されていた[10]

オッター・メディアは2019年5月、直販開発のエグゼクティブ・バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めていたブラッド・ベントレーが半年後に退任のため、ストリーミングサービスを引き継ぐためにワーナー・ブラザースからワーナーメディア・エンターテイメントに移籍した。アンディ・フォーセルは、オッターの最高執行責任者(COO)からベントレーの後任としてエグゼクティブ・バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーに異動したが、オッターのCEOであるトニー・ゴンカルブス氏は開発を指揮することになる[11]

2019年7月9日[注釈 1]、ワーナーメディアは、同サービスが「HBO Max」として、2020年春にサービスを開始することを発表し、リース・ウィザースプーンの「ハロー・サンシャイン社とグレッグ・バーランティが同サービスの制作契約を結んだ(「Max」のモニカは、1980年代半ばから接尾語の名前で交互に識別され、2008年から2011年までブランディングで目立つように使用されているHBOの姉妹リニア有料TVサービス「Cinemax」と共有されている[12][13]。2019年10月29日には、HBO Maxが2020年5月に正式サービスを開始することが発表された[14]

2020年1月8日、AT&Tは、ディレクTVなどのAT&T傘下のテレビプロバイダーの加入者専用チャンネルで、一部オリジナル番組を制作していたAudienceを5月22日にサンセット化し、最終的にはHBO Maxのバーカーチャンネルに移行すると発表した[15]。ワーナー・ブラザースとHBO Maxは2020年2月5日、ワーナー・マックスの映画レーベルを発表し[16]、2020年からストリーミングサービス向けに年間8本から10本の中堅映画を制作することになった。2020年4月20日、ワーナーメディアはHBO Maxのサービス開始日を5月27日と発表した[17]

アメリカ国外では2021年6月からラテンアメリカを始めとする39の国と地域でサービスを開始した。同年秋から北欧スペインで、2022年からそれ以外のヨーロッパ各国でも順次開始する予定となっている[18][19]。なお、イギリスについてはSKYコムキャストグループ)との間で独占配給契約を結んでいるため、2025年まで独自に同国内でサービスを展開する予定はないとしている[19][20]

Discovery+との将来的な統合とリストラ

2021年5月、ワーナーメディアはディスカバリーチャンネルなどを運営しているディスカバリーと経営統合することを発表した[21]。これに伴い、ディスカバリーはHBO Maxを同社が運営している同業の定額制動画配信サービスであるDiscovery+との間でサービス統合を検討していることを2022年3月14日に発表[22]。ワーナー・ブラザース・ディスカバリーは2つのサービスを2023年夏に統合することを2022年8月3日に正式発表した[23][24]。その後、同年11月に統合の時期を2023年春に前倒しすることを明らかにした[25]

2022年4月に経営統合し、新体制となったワーナー・ブラザース・ディスカバリーの方針により、これから制作・配信予定だったHBO Max向けコンテンツの見直しを行っており、同年5月には『Wonder Twins(原題)』、同年8月には『Scoob!: Holiday Haunt(原題)』[注釈 2]と『バットガール(原題)』の制作・配信がそれぞれ中止となった[26]。また、同年8月にはHBO Maxのオリジナル作品を含む一部の映画やアニメーションなどを削除したほか、既に配信権を獲得している作品についても放棄する予定であることがバラエティなどから報じられた[27][28]

後述のMax移行後も2023年11月に、節税などの都合から『Coyote vs. Acme』の配信を取り止めている[29][30]

Discovery+と統合、「Max」へ

2023年4月12日、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーは同年5月23日にDiscovery+を統合した上で、名称を「Max」にすることを発表した。現行のHBO Maxで提供しているコンテンツに加え、Discovery+で配信している料理番組やリアリティショーなどが加わる形になるとしている。なお、サービス統合後もDiscovery+のサービスは引き続き継続される[31][32]

2024年5月8日、ワーナーはウォルト・ディズニー・カンパニーとの間で協業を行い、同年夏頃からMaxとDisney+Huluのバンドルプランを共同で提供することを発表した[33][34]

管理

HBO Maxは、当時ロバート・グリーンブラットが社長を務めていたワーナーメディアのエンターテインメント部門の下に設立された。TBSTNTTruTVなど、同社の広告付きエンターテイメントチャンネルのほとんどを含むワーナーメディア・エンターテインメント・ネットワークスの社長であるケヴィン・ライリーは、HBO Maxのチーフ・コンテンツ・オフィサーに任命され、HBO Maxの独占的なオリジナル番組とライブラリコンテンツの責任者となった。アンディ・フォーセルはHBO Maxのエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼ゼネラル・マネージャーに任命されたが、開発を率いるオッター・メディアのCEOトニー・ゴンカルブスの下にいる。HBOのプログラミング・プレジデントであるケイシー・ブロイスは、HBOのコアサービスの監督を引き継いだが、当初はマックス・エクスクルーシブ・プログラミングには関与していなかった[12]

2020年8月7日、ワーナーメディアは新社長ジェイソン・キラーのもとで大規模なリストラを発表し、同氏は消費者向けダイレクト・トゥー・コンシューマー・サービスに向けて「この大きな変革の瞬間に寄り添う」と表現した。その結果、グリーンブラットとライリーが共に退社し、ワーナーメディア・エンターテインメントは解散、番組制作業務はワーナー・ブラザースと統合され、同スタジオのアン・サルノフCEOの下、新たなスタジオ&ネットワークグループとなった。ブロイスは、HBOとHBO Maxの番組制作を全面的に監督することになり、ライリーのそれまでの職務はサルノフに報告することになった。フォルセルは新たにHBO Maxの運営事業部門の責任者となり、カイラーに直接報告した[35]

番組

ワーナーメディアは、サービス開始時に10,000時間のコンテンツを提供すると述べている。その中には、HBOの名を冠したオリジナルシリーズ、ドキュメンタリー、スペシャルなどの初回放送コンテンツやライブラリーコンテンツ、およびTBS、カートゥーン ネットワークルーニー・テューンズなどといった、同社の他のブランドやネットワークが制作したコンテンツ、HBO Maxのオリジナルコンテンツが含まれる[3][36][37][38]。ワーナーメディアは、姉妹会社のワーナー・ブラザース・ピクチャーズニュー・ライン・シネマDCコミックスAdult Swimを始め、ユニバーサル・ピクチャーズA24などのスタジオから調達したHBOの既存の有料テレビ放映権を含む2,000本以上の映画が利用可能になるとしている[3][39][40]

この他にセサミストリート[注釈 3]サウスパーク[注釈 4]フレンズ[注釈 5]スタジオジブリ[注釈 6]Crunchyroll[注釈 7]など、ワーナーメディア以外の制作会社から配給権を獲得した映画・テレビ番組についても配信する[2][45][46][47]

HBOの既存のストリーミング・プラットフォームであるHBO GoやHBO Nowと同様に(ただし、Apple TV+Amazonビデオ・チャンネルのプラットフォームとは対照的に)、HBO MaxにはHBOのリニア・ケーブル・チャンネルのフィードは含まれず[48]、また、ワーナーメディアがHBO Maxに向けて番組投資を再配分するのと同時にオリジナル・プログラミングの取り組みを終了するCinemaxのコンテンツ(オリジナル・プログラミングを含む)も含まれないと予想されている[49](Cinemaxは映画コンテンツをHBOのリニアチャンネルと共有しているため、統合されたライブラリの映画の大部分は異なるウィンドウで両方のサービスで見ることができるが、映画は必ずしもHBO MaxとCinemaxの両方で同時に見ることができるわけではない)。AT&Tの会長兼CEOであるランドール・L・スティーブンソは、将来的にターナースポーツのライブコンテンツを追加することを否定していない(TNTでのNBA、TBSでのメジャーリーグベースボールNCAAマーチマッドネスなど)[50]

新型コロナウイルスの影響により、アメリカの主要都市の映画館が閉鎖されていることから、ワーナー・ブラザース・ピクチャーズは2020年10月9日に予定していた『魔女がいっぱい』の劇場公開を断念し、本サービスでの独占配信に切り替えられ、同年12月25日に予定していた『ワンダーウーマン 1984』は劇場公開と同時に本サービスでも配信する措置が取られた[51][52]。更に同月には『ゴジラvsコング』や『マトリックス レザレクションズ』、『モータル・コンバット』など、翌年(2021年)に予定している17本の映画も『ワンダーウーマン 1984』と同様に劇場公開と同時に追加料金なしで31日間本サービスでも配信することをワーナーから発表された[53][54][55]。これらの決定にはワーナーと同様の理由で配信に切り替えられたウォルト・ディズニー・カンパニーの『ムーラン』と同じく、映画界から多くの反発が挙がる事態となった[56][57]

ワーナーは2021年8月に行われたAT&Tの収支報告において、HBO Maxの独占作品として、2022年に10本以上の映画を製作することを発表した。また、ワーナーを含むアメリカの大手映画会社4社[注釈 8]シネマコンプレックスチェーンとの間で締結した契約に基づき、大作映画については公開から45日間は劇場独占とし、それ以降はHBO Maxでも配信を行うことを明らかにした[58][59]

2021年12月15日に配信された『ロン 僕のポンコツ・ボット』(20世紀アニメーション制作)以降、ウォルト・ディズニーグループである20世紀スタジオ(旧・20世紀フォックス)の作品はディズニー傘下の定額制動画配信サービスであるDisney+やHuluと共に本サービスでも配信される。これはディズニーによる21世紀フォックスの買収前に20世紀フォックスがHBOとの間でフォックス作品の優先放映契約を結んでいることに伴うもので、この措置は2022年末まで行われる予定である[60][61]

2023年8月、傘下のニュース専門放送局であるCNNはMaxに組み込む形でCNN Maxをベータ版として同年9月27日から開始することを発表した[62]。2024年現在、CNNは既存の制作番組、および一つの生配信番組を提供している。

配信地域

アメリカ

HBO Maxと直接契約する方法に加えて、ウォルト・ディズニー・カンパニーAmazon.comとの提携により、HuluやAmazon Prime Videoを経由して契約することも可能である[63][64]。なお、Amazon Prime Videoとは2021年に一度提携を終了したが、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーは2022年12月にAmazon.comとの間で提携を再度締結したため、同サービス経由で契約することが出来るようになった[64][65]

日本

2023年現在、日本ではリージョンロックがかかり視聴が不可能となっている。視聴する場合はVPNを経由する必要がある。そうでない場合、「この地域では視聴できません」を英語で表記した警告画面がmax.com上で表示されるためアカウントの管理画面も開けなくなる。

本サービスにて配信された一部のオリジナル番組はスーパー!ドラマTVWOWOWといった衛星放送専門チャンネルにて放送されているが、カートゥーン ネットワークセサミストリート関連は放映されていない[66][67][68]

日本でのHBO Maxのサービス展開は先に日本に進出していたHuluが日本制作コンテンツの少なさから苦戦し、事業自体を日本テレビに売却し、事実上日本から撤退したことなどを踏まえ、既に多数の日本制作コンテンツを保有している他社との共同展開を模索[69]。2021年3月30日に動画配信サービスのU-NEXTがワーナーメディアとパートナーシップ契約を締結し、同年4月1日からHBOとHBO Maxの作品を同サービスにて順次独占配信すると発表した[注釈 9][72][73]

HBO Max単独での展開は2022年時点で未定ではあるが、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーは2024年中期にアジア太平洋地域に進出する計画であることを2022年8月に発表している[23]

利用可能デバイス

サービス開始時点ではInternet Explorer 11SafariなどのウェブブラウザAndroidiOS搭載のスマートフォンタブレット端末、Android TVApple TVなどのSTB端末、Xbox OnePlayStation 4ゲーム機に対応している。なお、サービス開始時点ではAmazon Fire TVFireタブレットなどのAmazon製のデバイスとRokuには対応していなかったが[3]、Amazon製のデバイスは2020年11月、Rokuは同年12月にそれぞれ対応した[74][75]

脚注

注釈

  1. 現地時間。
  2. 2020年に公開された『弱虫スクービーの大冒険』の続編。
  3. セサミワークショップ制作。シーズン39あたりからのほぼ全話、およびシーズン1のみ視聴が可能。
  4. コメディ・セントラルパラマウント・グローバルグループ)制作。ただし、閲覧制限がかかった6話分を除く全話はインターネット上でも地域制限なく無料で視聴可能である。Paramount+独自配信作品は視聴できない。
  5. NBCテレビNBCユニバーサルグループ)制作。
  6. 火垂るの墓』はスタジオジブリが原作の出版権並びに著作権を保有していないため(新潮社と原作者の野坂昭如が保有・管理)、除外となっている[41][42][43]。また、全作品が日本語音声版も別枠で配信されている。ただし一部作品の日本語音声版は英語字幕が映像に刷り込まれている場合もある。
  7. サービス開始時点ではAT&Tの傘下であったが、2020年12月にソニーグループのファニメーションに売却した[44]
  8. ウォルト・ディズニー・カンパニー、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントパラマウント・ピクチャーズ、ワーナー・ブラザース・ピクチャーズの4社。
  9. 但し、映画作品についてはU-NEXTの意向で独占配信の対象に含まれない。また、『ゲーム・オブ・スローンズ』のように、都度課金での配信になる作品もある[70][71]

出典

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