SI組立単位

SI組立単位(エスアイくみたてたんい、: SI derived unit)または単に「組立単位」は、国際単位系 (SI) において基本単位冪乗の積と定義されている。

組立単位の中には固有の名称を持つ 22 の SI単位がある。7つのSI基本単位(以下、「基本単位」と呼ぶ。)とこの22個の組立単位は、SI単位の中核となっている[1]。他のSI単位は全て、この 29個の単位のいくつかとSI接頭語との組み合わせである。

SI組立単位の一例

世の中に存在するは限りなくあるので、SI組立単位も限りなくあることになる[2]国際単位系国際文書に掲げられているSI組立単位(#固有の名称と記号を持つ22個のSI単位以外の組立単位)は例示に過ぎず、法定計量単位ではない単位も含まれている。

一貫性のある組立単位

組立単位は、基本単位の冪乗の積であるが、この積の係数が 1 のとき、その組立単位は「一貫性のある組立単位」と呼ばれる。SIの基本単位と 一貫性のある組立単位は、一貫性のある集合を形成し、これを「一貫性のあるSI単位」と呼ぶ[1]

SI組立単位

下記に、国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版 産業技術総合研究所 計量標準総合センター「2.3.4 組立単位」表4~表6で挙げられているSI組立単位を列挙し、更に参考としてその他の組立単位を示す。表5と表6については、世の中に存在するは限りなくあり、すべてを挙げることは不可能であるので、いくつかの例が挙げられている。

固有の名称と記号を持つ22個のSI単位

いくつかのSI組立単位には、利便性の観点から固有の名称と記号が与えられている[3]。固有の名称を持つSI組立単位は、下記に示す22個である。国際単位系国際文書の表4に掲げられている[3]。下方の4つの単位は、健康保護の観点から特別に固有の名称を与えられたものである。

22個のSI組立単位のうち、カタール(kat)は、法定計量単位ではない(法定計量単位の欄が「」となっている)[4]

1 K の温度差は 1 °C の温度差と等しいが、絶対温度に関しては、273.15 K の差を考慮しなければならない。「セルシウス度」は、温度差を表すときのみ一貫性がある[5]

これらの単位のうち、ラジアン(rad)、ステラジアン(sr)、ルーメン(lm)、ルクス(lx)、カタール(kat) の5個の単位は人名に由来しないので、その記号は、小文字で始める。残りの17個の単位は人名に由来するので、その記号は大文字で始める。

なお、単位記号(例えばニュートンの N )の場合とは異なり、単位の名称を英語で綴る場合は、文頭の場合もしくは表題のように大文字で書き始めるものを除き、newton のように、すべて小文字で書き始めるセルシウス度 (degree Celsius)についても例外ではなく、degree を小文字で始め、その修飾語である Celsius は2語目であり、かつ人名に由来するため大文字の C で始める[6]

表4 固有の名称と記号を持つ22個のSI単位
組立量単位の固有の名称基本単位のみによる表現他のSI単位も用いた表現SIへの導入年法定計量単位
平面角ラジアン (radian)rad = m/m 1960
立体角ステラジアン (steradian)sr = m2/m2 1960
周波数ヘルツ (hertz)Hz = s−1 1948
ニュートン (newton)N = kgms−2 1948
圧力応力パスカル (pascal)Pa = kgm−1s−2N/m2[注 1]1971
エネルギー仕事熱量ジュール (joule)J = kgm2s−2Nm1948
仕事率放射束ワット (watt)W = kgm2s−3J/s1948
電荷クーロン (coulomb)C = As 1948
電位差ボルト (volt)V = kgm2s−3A−1W/A1948
静電容量ファラド (farad)F = kg−1m−2s4A2C/V1948
電気抵抗オーム (ohm)Ω = kgm2s−3A−2 V/A1948
コンダクタンスジーメンス (siemens)S = kg−1m−2s3A2A/V1971
磁束ウェーバ (weber)Wb = kgm2s−2A−1Vs1960
磁束密度テスラ (tesla)T = kgs−2A−1Wb/m21960
インダクタンスヘンリー (henry)H = kgm2s−2A−2Wb/A1948
セルシウス温度セルシウス度 (degree Celsius)°C = K 1948
光束ルーメン (lumen)lm = cdsrcdsr1948
照度ルクス (lux)lx = cdsrm−2lm/m21948
放射性核種の放射能ベクレル (becquerel)Bq = s−1 1975
吸収線量カーマグレイ (gray)Gy = m2s−2J/kg1975
線量当量シーベルト (sievert)Sv = m2s−2J/kg1979
酵素活性カタール (katal)kat = mols−1 1999

基本単位を用いて表現された一貫性のある組立単位の例

国際単位系国際文書の表5に掲げられている[7]

この表のうち、法定計量単位の欄が「」となっている組立単位は法定計量単位ではない[8]

表5 基本単位を用いて表現された一貫性のある組立単位の例
組立量量の典型的な記号名称基本単位のみによる表現法定計量単位
面積A平方メートルm2
体積V立方メートルm3
速さ速度vメートル毎秒m/s
加速度aメートル毎秒毎秒m/s2
波数σ毎メートルm−1
密度、質量密度ρキログラム毎立方メートルkg/m3
面密度ρAキログラム毎平方メートルkg/m2
比体積v立方メートル毎キログラムm3/kg
電流密度jアンペア毎平方メートルA/m2
磁界強度[9]Hアンペア毎メートルA/m
物質量濃度cモル毎立方メートルmol/m3
質量濃度ρ, γキログラム毎立方メートルkg/m3
輝度Lvカンデラ毎平方メートルcd/m2

名称および記号の中に固有の名称と記号を持つ一貫性のあるSI組立単位が含まれている、一貫性のあるSI組立単位の例

国際単位系国際文書の表6に掲げられている[10]

固有の名称を持つSI組立単位(22個)は、SI基本単位や他のSI組立単位と組み合わせて他の組立量を表すために用いることができる。

この表のうち、法定計量単位の欄が「」となっている組立単位は法定計量単位ではない[8]

表6 名称および記号の中に固有の名称と記号を持つ一貫性のあるSI組立単位が含まれている、一貫性のあるSI組立単位の例
組立量一貫性のある組立単位の名称記号基本単位のみによる表現法定計量単位
粘度パスカル秒Paskgm−1s−1
力のモーメントニュートンメートルNmkgm2s−2
表面張力ニュートン毎メートルN/mkgs−2
角速度角周波数ラジアン毎秒rad/ss−1
角加速度ラジアン毎秒毎秒rad/s2s−2
熱流密度放射照度ワット毎平方メートルW/m2kgs−3
熱容量エントロピージュール毎ケルビンJ/Kkgm2s−2K−1
比熱容量比エントロピージュール毎キログラム毎ケルビンJ/(kgK)m2s−2K−1
比エネルギージュール毎キログラムJ/kgm2s−2
熱伝導率ワット毎メートル毎ケルビンW/(mK)kgms−3K−1
エネルギー密度ジュール毎立方メートルJ/m3kgm−1s−2
電界の強さボルト毎メートルV/mkgms−3A−1
電荷密度クーロン毎立方メートルC/m3Asm−3
表面電荷密度クーロン毎平方メートルC/m2Asm−2
電束密度、電気変位クーロン毎平方メートルC/m2Asm−2
誘電率ファラド毎メートルF/mkg−1m−3s4A2
透磁率ヘンリー毎メートルH/mkgms−2A−2
モルエネルギージュール毎モルJ/molkgm2s−2mol−1
モルエントロピー、モル熱容量ジュール毎モル毎ケルビンJ/(molK)kgm2s−2mol−1K−1
照射線量X線およびγ線クーロン毎キログラムC/kgAskg−1
吸収線量率グレイ毎秒Gy/sm2s−3
放射強度ワット毎ステラジアンW/srkgm2s−3
放射輝度ワット毎平方メートル毎ステラジアンW/(m2sr)kgs−3
酵素活性濃度カタール毎立方メートルkat/m3mols−1m−3

その他の組立単位の例

以下の一貫性のある組立単位は、SI文書第9版(2019)には掲げられていない。参考として列挙したものである。

この表のうち、法定計量単位の欄が「」となっている組立単位は法定計量単位ではない。

表 その他の組立単位の例
組立量名称記号SI基本単位による表し方法定計量単位
動粘度平方メートル毎秒m2/s 
質量吸収係数平方メートル毎キログラムm2/kg 
質量モル濃度モル毎キログラムmol/kg 
モル体積立方メートル毎モルm3/mol 
拡散率平方メートル毎秒m2/s 
質量流量密度キログラム毎平方メートル毎秒kg/(m2s) 
導電率ジーメンス毎メートルS/mkg−1m−3s3A2
モル導電率ジーメンス平方メートル毎モルSm2/molkg−1s3A2mol−1

補助単位の廃止

ラジアンステラジアンは、かつては補助単位に位置づけられていたが、1995年国際度量衡総会(CGPM)において、補助単位という区分は廃止すること、この2つの単位は無次元の組立単位として解釈することが決議された[11]。この決議に基づき、1998年のSI国際文書第7版から、補助単位のカテゴリーは廃止され、ラジアンステラジアンは組立単位に分類された。

脚注

注釈

  1. この表記は国際単位系国際文書第9版のVer.1.08には記載されていなかった。2022年12月に改訂されたVer.2.01において記載された。

出典

  1. 国際単位系(SI)第9版(2019) p.105
  2. 国際単位系(SI)第9版(2019) p.107
  3. 国際単位系(SI)第9版(2019) p.106
  4. 資料4(12) 2005年度第1回計量行政審議会、p.21 計量法に定めがなくSI単位に例示のある組立単位、2005年7月2
  5. 国際単位系(SI)第9版(2019) p.110
  6. 国際単位系(SI)第9版(2019) p.117
  7. 国際単位系(SI)第9版(2019) p.108
  8. 資料4(12) 2005年度第1回計量行政審議会、p.21 計量法に定めがなくSI単位に例示のある組立単位、2005年7月26日
  9. 計量法の物象の状態の量は、「磁界の強さ」
  10. 国際単位系(SI)第9版(2019) p.109
  11. 国際単位系(SI)第9版(2019) p.147

関連項目

参考文献

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