アキテーヌ級駆逐艦

アキテーヌ級駆逐艦フランス語: Frégates classe Aquitaine)は、フランス海軍が運用する駆逐艦の艦級。仏伊共同で進められてきた多任務フリゲート(FREMM)計画に基づいて、フランス海軍向けとして設計・建造されたものである。

アキテーヌ級駆逐艦
基本情報
艦種 フリゲート (駆逐艦)
運用者  フランス海軍
 エジプト海軍
 モロッコ海軍
建造期間 2007年 - 2022年
就役期間 2013年 - 就役中
建造数 10隻
前級 ジョルジュ・レイグ級 (対潜型)
フォルバン級 (防空型)
次級 (最新)
要目
基準排水量 5,200トン
満載排水量 6,100トン
全長 142.00 m
最大幅 19.40 m
吃水 5.4 m
機関方式 CODLOG方式
主機
推進器
出力
  • ガスタービン: 43,520 hp
  • 電気推進: 5,766 hp
最大速力 27.5ノット
航続距離 6,000海里 (15kt巡航時)
兵装
搭載機 NFH90 哨戒ヘリコプター×1機
C4ISTAR SETIS戦術情報処理装置
レーダー
  • ヘラクレス 多機能型
  • NA-25XP 砲射撃指揮用
  • スキャンター2001 航海用
ソナー
電子戦
対抗手段
  • SIGEN電波探知妨害装置[1]
  • NGDS 12連装デコイ発射機×2基
  • SLAT 対魚雷システム

来歴

当初の計画では、対潜型FASM: Frégate d'Action Anti-Sous-Marin)8隻、対地攻撃型(FAVT: Frégate d'Action Vers la Terre)9隻の計17隻の建造が予定されていたが、ミサイル駆逐艦として建造が進められていたフォルバン級駆逐艦のうちカサール級駆逐艦の更新分が本級に振り替えられて、防空型FREDA: Frégates de défense aériennes)2隻が追加された。2013年現在では、対潜型9隻と防空型2隻が建造される計画とされている。まず対潜型8隻が2005年11月16日に発注され、これらは2003年度から2008年度の計画に盛り込まれた[2]

なお、この防空型は対地攻撃能力も備えているとされており、また船体構造を一部変更した拡大型であるFREMM-ERとして建造される可能性もある[3]

設計

本級は、レーダー・光波・音波などあらゆる領域についてシグネチャーの低減を企図したステルス艦として設計されている。レーダー断面積(RCS)低減のため、船体外壁には7〜11度の傾斜が付されており、搭載艇などは開閉式のシャッターによって覆われている。これは、先行して配備された、より小型のステルス艦であるラファイエット級フリゲートでも採用された手法であるが、本級ではさらにRCSは低減された[3]

また主機関をCODLOG方式としたことも、水中放射雑音の低減によるステルス性の向上に役だっている。本級では、巡航時(15ノット以下)にはディーゼル・エレクトリック方式による電気推進で、高速時にはフィアット-ゼネラル・エレクトリックLM2500 T4ガスタービンエンジンによる機械駆動で推進器を駆動する方式とされている。また、艦橋直下の艦底には、曳船の支援なしで出入港できるようアジマススラスターが設置されているが、これは非常推進器としても使用可能であり、6〜7ノットでの航行が可能である[3]

装備

C4ISR

本級はシステム艦として統合されており、その中核となる戦術情報処理装置としてはSETIS(Ship Enhanced Tactical Information System)が採用されている[4]。メインセンサーとなるのはSバンドの回転型多機能レーダーであるヘラクレスで、これは艦橋構造物上方に設置されている。なお、防空型においては、空中線部を4面固定式としたシー・ファイア500型に変更する計画がある。また電子攻撃を受けている場合や電波管制(EMCON)状況を想定した電子光学センサーとして、回転式のヴァンピールや固定式のアルテミスも装備されている[2][3]

水測機器としては、5キロヘルツ級の低周波ソナーであるTMS-4110CLをバウ・ソナーとして装備するほか、艦尾からは曳航式のUMS-4229 CAPTASを展開できる[2][3]

武器システム

艦橋構造物直前の前甲板には、本級の武器システムの中核となるシルヴァーVLS 4基(計32セル)が装備されている。このうち2基(16セル)は底が比較的浅いA43型で、アスター15個艦防空ミサイルの運用に用いられる。一方、残り2基は底が深いA70型で、以前はSCALPナヴァルと称されていたMdCN巡航ミサイルの運用に用いられる。また防空型においては、これらは全て、アスター30艦隊防空ミサイルの運用を想定したA50型に変更される計画である[2]

なお、対水上火力としてはエグゾセMM40(ブロック2または3)艦対艦ミサイルが採用されており、これは4連装発射筒2基に収容されて、後檣直前の中部甲板両舷に搭載しているが、ステルス性保持のため、排気口以外は外壁内に隠されている[2]

主砲としては、フォルバン級と同じオート・メラーラ社製コンパット76mm単装速射砲が、VLS直前の艦首甲板に設置されている。砲射撃指揮装置としてはNA-25XPが採用されており、レドームに収容されてヘラクレス直前の艦橋構造物上に設置されている[2]

同型艦一覧

運用者 設計 # 艦名 建造所 起工 進水 就役
 フランス海軍 対潜 D 650 アキテーヌ
Aquitaine
DCNS 2007年
3月16日
2010年
4月29日
2015年
12月2日
D 652 プロヴァンス
Provence
2010年
12月15日
2013年
9月18日
2016年
6月9日
D 653 ラングドック
Languedoc
2011年
11月30日
2014年
7月12日
2017年
7月4日
D 654 オーヴェルニュ
Auvergne
2012年
8月
2015年
9月2日
2018年
2月14日
D 655 ブルターニュ
Bretagne
2013年 2016年
9月16日
2019年
2月20日
D 651 ノルマンディー
Normandie
2014年 2018年
2月1日
2020年
6月3日
対空 D 656 アルザス
Alsace
2016年
6月
2019年
4月18日
2021年
11月22日
D 657 ロレーヌ
Lorraine
2019年
5月
2020年
11月13日
2022年
11月16日
 エジプト海軍 対潜 FFG-1001 タヒヤ・ミスル[注 1]
Tahya Misr
2009年
10月8日
2012年
10月18日
2016年
3月17日
 モロッコ海軍 701 ムハンマド6世
Mohamed VI
2008年 2011年
9月14日
2014年
1月30日

脚注

注釈

  1. 元来はフランス海軍向けの「ノルマンディー」として建造されていたが、2015年2月の決定に基づいてエジプトに売却された[1]

出典

  1. Saunders 2015, p. 257.
  2. Wertheim 2013, pp. 204–205.
  3. 多田 2013.
  4. DCNS (2012年10月). FREMM Aquitaine - DCNS (PDF) (英語). 2012年11月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年6月10日閲覧。

参考文献

  • Saunders, Stephen (2015). Jane's Fighting Ships 2015-2016. Janes Information Group. ISBN 978-0710631435
  • Wertheim, Eric (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World (16th ed.). Naval Institute Press. ISBN 978-1591149545
  • 多田, 智彦「アキテーヌ級FF (特集 世界の新型水上戦闘艦)」『世界の艦船』第782号、海人社、2013年8月、77-103頁、NAID 40019721131

外部リンク

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