グループセックス

グループセックスとは、3人以上でおこなう性行為のこと[注 1]

異性間の行為に限らず、サークル・ジャークのように男性の集団による行為も、また集団的オナニー行為のように接合を伴わない性行為も含み、さらに、時代や地域によっては社会的に公認された三人婚などの複婚を前提とした行為も含まれた広い概念である[注 1]

乱交をグループセックスと同義とする見方もあるが、例えば、グループセックスの一形態とされる集団で場を共有するスワッピング行為であっても、相手が限られている場合は、乱交には当たらないとする見方もある[1]

呼称

  • ローマ帝国初期の皇帝たちの伝記である『皇帝伝De vita Caesarum)』を残したスエトニウスは、「スピントリア(Spintria)」という言葉で、 ティベリウス帝がカプリ島でおこなった集団的性行為を表現した[2]。これは、皇帝の命令で集められた少年少女たちを3人1組で交わらせ、老いた皇帝がこれを眺めるといったものであった[3]
  • 日本においては、「グループセックス」の表記を1980年代から書籍で用いている例が散見される[4][5][6]。また、それ以降も性風俗業やその関連書籍、ニュース記事、作品タイトルなどにおいて、3人でおこなう場合を3P、4人でおこなう場合を4P、5人でおこなう場合を5P、6人でおこなう場合を6Pなどと、行為に関わる人数に「P(play)」を加えて略記している例が散見される[7][8][9][10][11][12][13][14][15][16][17][18][19][20]

さまざまな形態

スウィンガー・パーティー

英語でスウィンガー・パーティー(swinger party)ないしスウィンガーズ・パーティー(swingers party)と称されるスワッピング・パーティーでは、信頼し合った関係で結ばれた複数の個人ないし、カップルたちが、娯楽ないし社交活動として、パートナーを交換するなどしながら性行為をおこなう[21]

こうしたパーティでは、さまざまなグループセックスの営みが展開することもある。パートナーたちは、挿入を伴う性器の接合を含む「フル・スワップ(full swap)」をおこなうこともあるし、もっぱら挿入を伴う性器の接合をおこなわない性行為に終始する「ソフト・スワップ(soft swap)」を選択することもできる。新たにスワッピングに参加するカップルは、フル・スワップを快く受け入れられるようになるまで、ソフト・スワップを選ぶことが多く、また個人的理由からもっぱらソフト・スワップに留まるカップルも多い[22]。他のカップルが性行為をおこなっている近くで、通常のカップルがふたりだけで性行為をする形態は、「ソフト・スウィンギング(soft swinging)」と称される[23]。定義からすれば、これはその行為自体が「グループセックス」とは言い難く、露出の一形態である。

乱交

乱交(オージー、orgy)は、参加者が自由に、他の参加者に見える場所で制約なく性行為ないしグループセックスをおこなう集まりであり、特にブンガブンガ・パーティーなどという場合は、参加者はプールホットタブなどの中で水中での性行為(アクアフィリア、溺水性愛)をおこなう[24]

デイジーチェーン

異性愛両性愛同性愛を問わず、3人以上がオーラルセックスによって数珠繋ぎとなり円環を成す形態。4人以上の場合に限ってこの表現を用いるべきだとする立場もある[25]

保健衛生

あらゆる性行為がそうであるように、グループセックスにともなうリスクは具体的にどのような行為がおこなわれるかによって異なってくるものであるが、多数の相手と交渉をもつことは性感染症(STIs)に晒されるリスクを高める。

1980年代半ば以降、特にアメリカ合衆国などでは、性感染症、とりわけヒト免疫不全ウイルス(HIV)の拡散の温床となっているとして、法的規制を通してゲイ有料発展場を閉鎖しようとするロビー活動が盛んに行われている[26][27]社会学者スティーヴン・O・マレイは、「発展場に通うことが後天性免疫不全症候群(AIDS)に感染するリスク要因であることを示す証拠は何も提示されていない(there was never any evidence presented that going to bathhouses was a risk-factor for contracting AIDS)」と指摘している[28]。他の諸国では、性感染症の拡散のおそれから、個室をもった浴場の閉鎖を進められ、他方では、あらゆる性行為が公開の場で行われ、監視役が安全な行為だけが行われるよう見張っているようなセックス・クラブが容認されるようになっている[29]

こうした動きを支持する側は、グループセックスがおこなわれる場所では、コンドームデンタルダムゴム手袋ローション、その他のより安全性の高い性行為のために必要なものが備えられていることが多い、と指摘している。こうした浴場/発展場は、より安全なセックスについての情報を得られる重要な場所であり、パンフレットが用意されていたり、安全なセックスを呼びかけるポスターが、公共部分だけでなく、しばしば部屋ごとに掲出されており、コンドームやローションが無料で提供され、また多くの場合、その場所では安全な性行為しかしないことを客に誓約させている[30][31][32][33]

脚注

注釈

  1. ジョー・イーディー (Jo Eadie) 編『セクシュアリティ基本用語事典 (SEXUALITY: The Essential Glossary)』(原著2004年、日本語訳2006年)は、「グループ・セックス Group sex」について独自の定義は与えておらず、「サークル・オナニー Circle jerk」、「デイジー・チェーン Daisy chain」、「三角(三人)関係 Ménage à trois」、「セックス・パーティー Sex parties」、「トライアド Triad」を参照するよう指示している。これらは、Wikipedia 日本語版/英語版ではそれぞれ「サークル・ジャーク/en:Circle jerk」、「デイジーチェーン (性行為)/en:Group sex#Daisy chain」、「三人婚/en:Ménage à trois」、「乱交#人間の乱交パーティー/en:Group sex#Types of sex party」、「トライアド(曖昧さ回避ページ)に関連する記述はない/en:Triad (relationship)は、en:Ménage à troisへの転送」といった記述に相当する。

出典

  1. 富田隆「14 衝動買いはやめましょう」『びっくりするほど本音がわかる! 男と女の恋愛心理テスト』SUMIDA出版、2017年1月27日。"さらに、スワッピング(夫婦交換)についても、乱交に近いと思われがちですが、限られた相手との場合は、乱交とはまったく性質の異なるものといえます。"。
  2. Forberg, Friedrich Karl (1963). Manual of classical erotology (De figuris Veneris). Medical Press of New York. p. 233
  3. 大橋絵理「アウルスの欲望 : フローベールの『ヘロディアス』」『Stella』第28号、九州大学フランス語フランス文学研究会、2009年12月18日、82頁。 NAID 120002014991
  4. 諸君, 第 12 巻、第 6~8 号”. 文藝春秋 (1980年). 2019年6月15日閲覧。
  5. ことば・文化・教育: アングロサクソン文明の周辺”. 大修館書店 (1982年7月). 2019年6月15日閲覧。
  6. 婦人公論, 第 69 巻、第 5~6 号”. 中央公論社 (1984年). 2019年6月15日閲覧。
  7. 3P の実態やその魅力・体位などについて体験した人から話を聞きました”. シンデレラグループ (2018年6月29日). 2019年6月15日閲覧。
  8. 性欲の科学: なぜ男は「素人」に興奮し、女は「男同士」に萌えるのか”. Cccメディアハウス (2012年2月10日). 2019年6月15日閲覧。
  9. 抱けるナンパ術: 出会いからベッドへいたるアルファ男の心得”. パンローリング (2015年5月16日). 2019年6月15日閲覧。
  10. ラブホ代わりから貧困層、闇稼業まで…レンタルルームはなぜ流行る”. ダイヤモンド社 (2016年7月30日). 2019年6月15日閲覧。
  11. エイサップ・ロッキー、13歳でセックス三昧&乱交パーティー専用の特注ベッド作る…衝撃発言の連続”. オウトグラフ プロダクション (2018年10月18日). 2019年6月15日閲覧。
  12. 夢の中で4Pセックスをせがまれ続けた男がペニスを切断! バッテリー液を飲み、イチモツを握り締め絶叫…背後に魔女か?”. TOCANA (2019年4月18日). 2019年6月15日閲覧。
  13. 「リトル・ミックス」ペリー・エドワーズ、酔うとキス魔に!? メンバーとキスしたというエピソードを暴露”. tvgroove (2019年5月30日). 2019年6月15日閲覧。
  14. アラサー男子に起きたエッチな事件聞いてみた♡先輩がセフレ、歯ブラシで浮気バレ他”. andGIRL (2019年6月13日). 2019年6月15日閲覧。
  15. ハードな気分の夜のお供に…女1人×男4人の5Pセックスが激しすぎる!!/女性向けAV”. messy (2017年9月12日). 2019年6月15日閲覧。
  16. 6Pで両耳・両乳首・アソコを同時愛撫されイク”. messy (2018年8月14日). 2019年6月15日閲覧。
  17. "3P"の検索結果”. FANZA. 2019年6月15日閲覧。
  18. "4P"の検索結果”. FANZA. 2019年6月15日閲覧。
  19. "5P"の検索結果”. FANZA. 2019年6月15日閲覧。
  20. "6P"の検索結果”. FANZA. 2019年6月15日閲覧。
  21. Bergstrand, Curtis; Blevins Williams, Jennifer (2000-10-10). “Today's Alternative Marriage Styles: The Case of Swingers”. Electronic Journal of Human Sexuality 3. http://www.ejhs.org/volume3/swing/body.htm 2010年1月24日閲覧。.
  22. Wojick, Helen (2011年9月). What is a Swinger?”. The Swinger Blog. 2012年4月15日閲覧。
  23. SWINGERS DEFINITIONS - Swinger words that begin with a S”. 2016年9月16日閲覧。
  24. Barbie Latza Nadeau (2017年7月14日). Silvio Berlusconis Bunga Bunga Parties”. 2019年6月13日閲覧。
  25. theswinginglife.com”. 2012年2月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年9月16日閲覧。
  26. Gross, Jane (1985年10月14日). “Bathhouses reflect AIDS concerns”. The New York Times. https://www.nytimes.com/1985/10/14/nyregion/bathhouses-reflect-aids-concerns.html 2006年12月26日閲覧. "At the St. Marks Baths, for the price of a locker or a room, patrons now get a free condom, enclosed in a package that bears the legend the contents of this envelope could save your life."
  27. (Woods & Binson 2003)
  28. (Murray 1996)
  29. Woods, William J.; Diane Binson (2003). Gay Bathhouses and Public Health Policy. Haworth Press. ISBN 1-56023-273-0. https://books.google.com/books?id=t2MsjlZT1LcC 2008年7月10日閲覧。
  30. Westerfelt, Alex (2005年8月). Bathhouse Norms: What goes on in the Bathhouse?”. Healthy Living. 2012年2月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年7月10日閲覧。
  31. Bernstein, Sharon (2004年3月23日). Rising Rate of HIV Infection Renews Bathhouse Debate”. Los Angeles Times. 2008年7月10日閲覧。
  32. “NHS to hold STI testing in gay sauna”. Pink News. (2007年10月16日). https://www.pinknews.co.uk/2007/10/15/nhs-to-hold-sti-testing-in-gay-sauna/ 2009年10月21日閲覧。
  33. “QX journal article”. QX Magazine London (QX) (758): 44. (2009-09-17). オリジナルの2009-11-26時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20091126013815/http://viewer.zmags.com/showmag.php?mid=rqqwpg#/page44 2009年10月25日閲覧。

参考文献

  • ジョー・イーディー(編著)『セクシュアリティ基本用語事典』明石書店、2006年、383頁。

関連項目

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