ジャワ原人

ジャワ原人(ジャワげんじん)とは、ウジェーヌ・デュボワ1891年にオランダ領であったインドネシアジャワ島トリニールで発見した化石人類に対する通称である。年代は 170 - 180万年前ごろと推定されていたが、最新の研究では130万年前ごろとされている。

ホモ・エレクトス・エレクトス
生息年代: 更新世
ジャワ原人の頭蓋骨の復元
地質時代
更新世
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 霊長目 Primate
亜目 : 直鼻猿亜目 Haplorrhini
階級なし : 真猿亜目 Simiiformes
下目 : 狭鼻下目 Catarrhini
上科 : ヒト上科 Hominoidea
: ヒト科 Hominidae
亜科 : ヒト亜科 Homininae
: ヒト族 Hominini
亜族 : ヒト亜族 Hominina
: ヒト属 Homo
: ホモ・エレクトス H. erectus
亜種 : ホモ・エレクトス・エレクトス H. e. erectus
学名
Homo erectus erectus

かつては Pithecanthropus erectusピテカントロプス・エレクトス)の学名で呼ばれていたが、2012年現在はヒト属に分類され、Homo erectusホモ・エレクトス)の亜種の一つ Homo erectus erectus(ホモ・エレクトス・エレクトス)と位置付けられている。

オーストラリア先住民などに進化したとする研究者もいたが、現生人類の直接の祖先はアフリカに生息していたホモ・エレクトスの別の亜種(または独立種ホモ・エルガステル[注釈 1]であって、アジアにいた北京原人やジャワ原人は直接の祖先ではないとする意見が支配的である。

発見の経緯

19世紀後半、ドイツの生物学者ヘッケルは、東南アジア方面で人類の進化が起こったことを主張し、ピテカントロプスという学名も用意していた[1]。ほとんどの学者は無視したが、アムステルダム大学解剖学講師だったデュボアはこの説を信じ、ピテカントロプスを見付けるため軍医に転職しインドネシアに渡って発掘を行なった[2]。その結果、1891年[3]脳頭骨大腿骨を発見し、Pithecanthropus erectusピテカントロプス・エレクトス)の学名を与えた[4]。しかし保守的な学者の多くは否定的であった[5]1920年代になって北京原人が発見されるに及び、当時わかっていた最古の人類の一員として認められた。その後も、第二次世界大戦をはさんで何体分かの化石が発見されたが、多くは脳頭骨で、下顎などがわずかに出土したに過ぎない。だが1971年に顔面(上顔部)の大部分が残った頭骨が見つかり、ジャワ原人の特徴解明に大きな成果があった。

特徴

脳頭骨は小さく、容量も900 cc程度[6]と推定された。対照的に眼窩上隆起は大きく、現代人のように丸く膨らまないで低く倒れたように傾斜するなど、原始的な特徴が多いが、大腿骨はまっすぐで長く、現代人によく似ていた。そのため、両者は別の時代に由来するのではないかと疑われたこともあった。顔面は幅広く平坦で、ヨーロッパの同時期の原人(ホモ・ハイデルベルゲンシス)は顔幅が小さいなど、はっきりとした違いが見られる。

ピテカントロプス・エレクトスはピテクス(サル)+アントロプス(ヒト)であり、直立する猿人を意味するので、かつては「直立猿人」と呼ばれたこともある。また、ホモ・エレクトスは直立するヒトを意味する。

その他

インドネシアフローレス島で発見されたホモ・フローレシエンシス(約1万2000年前まで生息していたと推定され、小型のヒト属の新種とする説もある)については論争が続いている。ホモ・フローレシエンシスをホモ・エレクトスの子孫とする説もある。

化石はオランダのライデンにある国立自然史博物館に保管されている。

またガンドンで発掘されたソロ人は、ジャワ原人の子孫である可能性が高い。ワイデンライヒウォルポフらは、現代のアボリジニとソロ人が酷似した写真を提示している。

脚注

注釈

  1. ホモ・ハイデルベルゲンシスについてはここでは考慮していない。

出典

  1. 犬塚則久. 「退化」の進化学. 講談社. p. 156
  2. コパン 2002, pp. 110–112.
  3. コパン 2002, p. 112.
  4. "In 1894, Dubois named the species Pithecanthropus erectus..."Homo erectus”. Smithsonian Institution. 2015年12月20日閲覧。
  5. コパン 2002, pp. 113–114.
  6. コパン 2002, p. 114.

参考文献

  • イヴ・コパン、馬場悠男,奈良貴史『ルーシーの膝 : 人類進化のシナリオ』紀伊國国屋書店、2002年。ISBN 4314009101。

関連項目

外部リンク

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