ダウニング街11番地

ダウニング街11番地(ダウニングがいじゅういちばんち、: 11 Downing Street)は、イギリス財務大臣(慣例として第二大蔵卿を兼任)が居住する官邸の所在地であり、隣の10番地にある首相官邸とともに1682年に着工、1684年に竣工した。イギリスではナンバー11Number 11)と呼ばれることが多い。

ダウニング街11番地
正面玄関
ダウニング街11番地の位置(シティ・オブ・ウェストミンスター内)
ダウニング街11番地
ウェストミンスターにおける位置
概要
建築様式 ジョージアン様式
自治体 ロンドンシティ・オブ・ウェストミンスターダウニング街
イギリスの旗 イギリス
入居者 リシ・スナック
着工 1682年 (1682)
完成 1684年 (1684)
設計・建設
建築家 クリストファー・レン
ウェブサイト
https://www.number10.gov.uk/
指定建築物 – 等級 I
登録コード1356989[1]

ダウニング街11番地に入居した最初の財務大臣はヘンリー・ペティ=フィッツモーリス卿(在任:1806年 - 1807年、後の第3代ランズダウン侯爵)だったが、ダウニング街11番地が財務大臣の公式官邸になったのは1828年のことだった[2]

2016年以降の首相テリーザ・メイ(在任:2016年 - 2019年)とボリス・ジョンソン(在任:2019年 - 2022年)は11番地の居住スペースが10番地より大きいことを理由に10番地ではなく11番地に入居したが[3]、2022年に就任した首相リズ・トラスリシ・スナクは10番地に入居した[4][5]

概要

ダウニング街10番地、2017年撮影。

ナンバー11は石炭、レンガ造りのジョージアン様式の建物であり、セント・ジェームズ・パークホース・ガーズ・パレードを見下ろせる位置にある。ダウニング街から見ると、左から順にナンバー12、11、10になっている。

ナンバー11の右側は19世紀初より首相(および第一大蔵卿)官邸として使用されている10番地(ナンバー10)であり、左側の12番地(ナンバー12)は公式には与党院内幹事の官邸であるが、2020年1月に首相報道官室(Prime Minister's Press Office)が庶民院から移転し、与党院内幹事の官邸は9番地(ナンバー9)に移動された。9番地は枢密院司法委員会が、連合王国最高裁判所発足を控えた2009年8月にミドルセックス・ギルドホールに移転するまで入居し、2016年7月から2020年1月まで欧州連合離脱省が置かれていた。

これらの官邸は度重なる改築が行われ、現代では11番地の建物から(一旦ダウニング街に出ずに)10番地の建物に入ることができる。また、ホワイトホールにある内閣府庁舎の後ろともつながっている。

ナンバー11は初代準男爵サー・ジョージ・ダウニングが1682年から1684年まで建設した建物の1つだった。その後、1723年頃から1735年頃まで改築され、1766年頃から1775年までケントン・コーズが外観を上塗りして、1825年から1826年にはサー・ジョン・ソーンによるダイニングルームの改装が行われた[1]。1960年から1964年まではレイモンド・エリスによる大規模改装が行われた[6]

なお、「11」は番地(地番)ではなく住居番号である(日本における「a丁目b番地c号」の「c号」に相当する)。よって、本来は「番地」のつかない「ダウニング街11」となる。

入居者

財務大臣フィリップ・ハモンドとアメリカ財務長官ジェイコブ・ルーがダウニング街11番地の玄関前で握手する様子、2016年7月14日。

18世紀の時点では財務大臣との関連が薄く、ホイッグ党政権期の1724年から1731年にはトーリー党第4代オーラリー伯爵チャールズ・ボイルが入居しており、1797年から1805年までは庶民院議員ジョン・エリオット(1804年にエリオット男爵位を継承、1815年にセント・ジャーマンズ伯爵に叙爵)が入居した[7]。その後、ヘンリー・ペティ=フィッツモーリス卿(1806年から1807年までの財務大臣)がナンバー11に入居した最初の財務大臣になるが[2]、後任のスペンサー・パーシヴァル(1807年から1812年までの財務大臣、1809年から1812年まで首相を兼任)は1807年にナンバー11に入居した後、同年にナンバー10に移り、以降1827年まで財務省秘書官が相次いで入居した(具体的には1807年から1809年までウィリアム・ハスキソンが、1811年から1823年までチャールズ・アーバスノットが、1824年から1827年までスティーブン・ラムボルド・ラッシントンが入居した[7])。

1827年に財務大臣ジョン・チャールズ・ヘリーズが入居した後[7]、1828年にナンバー11が財務大臣の公式官邸に指定され[2]、以降1834年までヘンリー・ゴールバーンオールトラップ子爵ジョン・スペンサーといった財務大臣が入居した[7]。その後の入居者は第6代準男爵サー・ジョージ・クラーク財務省政務次官、1835年入居)、エドワード・ジョン・スタンリー(財務省政務次官、1837年入居)、トマス・スプリング・ライス(財務大臣、1838年から1839年まで入居)、フランシス・ソーンヒル・ベアリング(財務大臣、1839年から1841年まで入居)、ヘンリー・ゴールバーン(財務大臣、1841年から1846年まで入居)、第3代準男爵サー・チャールズ・ウッド(財務大臣、1847年から1852年まで入居)だったが、ウッドの後任であるベンジャミン・ディズレーリはナンバー11に入居しなかった[7]。その後、ナンバー11に入居した次の財務大臣はウィリアム・ヴァーノン・ハーコート(1892年就任)であり、以降1931年までの大半の時期に財務大臣か、それ以外の閣僚が入居した(たとえば、1905年から1908年までは内務大臣ハーバート・グラッドストーンが、1924年の第1次マクドナルド内閣には王璽尚書ジョン・ロバート・クラインスが入居した[7])。

1997年に首相に就任したトニー・ブレアは妻と数人の子女と住んでいたため、ナンバー10ではなく居住スペースのより大きいナンバー11に入居した[8]。ブレア内閣の財務大臣ゴードン・ブラウンは1997年時点では未婚だったが、2007年にブラウンが首相に就任した時点では結婚しており、ナンバー11に入居した(のちナンバー10に移った)。

2010年イギリス総選挙の後、財務大臣に就任したジョージ・オズボーンがナンバー11に入居せず、ノッティング・ヒルの自宅に住んだため、首相に就任したデイヴィッド・キャメロンはナンバー11に入居した[9]。2011年8月初、オズボーンはナンバー10に入居した。

キャメロンの後任であるテリーザ・メイも就任時にナンバー11に入居しており[10]、メイの後任であるボリス・ジョンソンも同様にナンバー11に入居している[3]。一方で2022年に就任したリズ・トラスリシ・スナクはナンバー10に入居した[4][5]

脚注

出典

  1. Historic England (14 January 1970). "11, DOWNING STREET SW1 (Grade I) (1356989)". National Heritage List for England (英語). 2020年8月12日閲覧
  2. "History of Number 11 Downing Street" (英語). UK Government. 2020年8月12日閲覧
  3. Buchan, Lizzy (29 July 2019). "Boris Johnson and girlfriend take bigger Downing Street flat, leaving smaller one for Javid family". The Independent (英語). 2020年8月12日閲覧
  4. Browning, Oliver (26 October 2022). "Moving van parked outside Downing Street as Liz Truss departs No 10". The Independent (英語). 2023年12月3日閲覧
  5. "Living in Downing Street: Rishi Sunak and family move back in". BBC News (英語). 26 October 2022. 2023年12月3日閲覧
  6. The Architect and Building News, 25 December 1963
  7. Cox, Montagu H; Forrest, G Topham, eds. (1931). "No. 11, Downing Street". Survey of London (英語). Vol. 14. London. pp. 142–153.
  8. "10 Downing Street Today" (英語). 2007年6月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月12日閲覧
  9. "George Osborne spurns Downing Street to remain a Notting Hill Tory". The Daily Telegraph (英語). 26 June 2010. 2020年8月12日閲覧
  10. "BBC Radio 4 – Gardeners' Question Time – 10 Surprising facts about Number 10 Downing Street". BBC (英語). 2020年8月12日閲覧
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