バレーメトロ100形電車

この項目では、アメリカ合衆国アリゾナ州の州都・フェニックスのライトレールであるバレーメトロレール(Valley Metro Rail)で使用される車両のうち、日本の近畿車輛が製造した車両について解説する。これらの車両はバレーメトロレールの開通に合わせて導入が実施されている[1][3][4]。

バレーメトロ100形電車
バレーメトロの近畿車輛製車両
(2008年撮影)
基本情報
運用者 バレーメトロ
製造所 近畿車輛
製造年 2008年
製造数 50両(101 - 150)
運用開始 2008年
投入先 バレーメトロレール
主要諸元
編成 3車体連接車、両運転台
(B車 - C車 - A車)
軌間 1,435 mm
電気方式 直流750 V
(架空電車線方式)
最高運転速度 88 km/h
設計最高速度 93 km/h
起動加速度 1.34 m/s2
減速度(常用) 1.34 m/s2
車両定員 着席66人
車両重量 46.339 t
全長 27,889 mm
全幅 2,650 mm
全高 3,670 mm
車体高 2,463 mm
床面高さ 795 mm(高床部分)
365 mm(低床部分)
(低床70 %)
車輪径 660 mm
固定軸距 1,900 mm(動力台車)
1,800 mm(付随台車)
台車中心間距離 10,363 mm
主電動機 三相誘導電動機
主電動機出力 140 kw
歯車比 6.63
出力 560 kw
制御装置 VVVFインバータ制御方式(IGBT素子)
制動装置 回生・発電併用電気指令式油圧ブレーキ
備考 主要数値は[1][2][3][4]に基づく。

概要

バレーメトロレールは、アリゾナ州の州都・フェニックス市内や周辺都市間の交通事情の改善を目的として計画や建設が進められ、2008年12月27日から営業運転を開始したライトレール路線である。この開業に備えた最初の車両として、日本の近畿車輛は2003年に運営組織のバレーメトロとの間に36両+オプション14両分の電車を製造する契約を結んだ。これに基づき生産されたのが100形である[1][5][3][4]。

両運転台式の3車体連接車で、車内全体の70 %がバリアフリーに適した低床構造になっている(部分超低床電車)。車体の外板素材には繊維強化プラスチック(FRP)製パネルが用いられており、鋼製の骨組みに接着取り付けされている。これにより、事故により車体が損傷した際の修繕が容易になっている他、パネル間や側窓の隙間や段差を最小限に抑え、全体に一体感を持たせた滑らかな車体デザインが実現している。このFRPは正面部分や床下部分の覆い(側スカート)、車内のカバー(キセ)、鴨居にも使われている。また、側面および乗降扉には大型のガラスが採用され、開放感や展望性の向上が図られている[1][4][6]。

安全対策として、正面部分には衝突時の衝撃を緩和するエネルギー吸収構造が用いられており、下部にはアンチクライマーカバーや連結器を収納したバンパーカバーが設置されている。また、アンチクライマーカバーの先端や上部両側にはカメラが搭載されており、運転席から各部の安全確認が可能である[2][4][6]。

車内の前後車体(A車、B車)の動力台車が設置された箇所は床上高さが795 mmの高床構造になっており、乗降扉の方を向いた2人掛けのクロスシートが設置されている。また、低床部分には車椅子が収納可能なフリースペースが2箇所づつ設けられている。一方、中間車体(C車)にはロングシートが設置されている他、両端には自転車が設置可能なスペースが存在する。車内の各部に設置されている握り棒は上部で壁側に湾曲しており、車内全体を広く見せるよう図られている[2][4]。

開業に合わせてオプション分を含めた50両(101 - 150)が導入され、製造はバレーメトロの車両工場で実施された。2022年現在も、増備車として導入が続くシーメンス製のS700形と共に全車が営業運転に使われており、2両編成による連結運転を主体とした運用が実施されている[7][5][8][6][9][10]。

脚注

注釈

    出典

    1. “鉄道車両/海外”. 近畿車輛. 2023年5月15日閲覧。
    2. “Phoenix, AZ - Valley Metro Rail Technical Data”. Kinki Sharyo. 2023年5月15日閲覧。
    3. 新堀裕之 2008, p. 12.
    4. 新堀裕之 2008, p. 13.
    5. “Rail System Fact Sheet”. Valley Metro. 2023年5月15日閲覧。
    6. “Подвижной состав компании Kinki Sharyo в США”. Железные дороги мира 5: 62-63. (2010). https://zdmira.com/images/pdf/_dm2010-05_60-63.pdf 2023年5月15日閲覧。.
    7. Keith Barrow (2016年1月13日). “Phoenix Valley Metro launches LRV tender”. International Railway Journal. 2023年5月15日閲覧。
    8. 大場章好 2008, p. 29.
    9. “First Siemens equipment enters Phoenix-area light rail service”. Trains (2022年1月11日). 2023年5月15日閲覧。
    10. Jörg Martini (2020年10月13日). “Another 14 Light Rail Vehicles for Phoenix”. Urban Transport Magazine. 2023年5月15日閲覧。

    参考資料

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