マイナ保険証

マイナ保険証(マイナほけんしょう)とは、マイナンバーカードを自身の健康保険証として利用し、保険医療機関において保険資格確認を可能とすること。患者医療機関施術所等において保険診療を受けることができる。

患者が提示したマイナ保険証は、カードリーダーを通して「オンライン資格確認等システム」へ保険資格を照会する[1]。本記事ではオンライン資格確認等システムについても合わせて記述する。

概要

2021年3月4日から、従来の健康保険証に加え、マイナンバーカードを健康保険証として利用可能になった[2][3]。「マイナ保険証」と称される[4][5][6]

マイナ保険証・オンライン資格確認システムを軸に、厚生労働省は「医療DX令和ビジョン2030」として以下の全体像を描く[7]

  1. 救急・医療・介護現場の切れ目ない情報共有 - 意識不明時の本人の検査歴・処方歴の確認。入退院時の医療機関間の情報共有
  2. 医療機関・自治体サービスの効率化・負担軽減 - 医療機関における誤記の防止や紙の受給者証の廃止
  3. 健康管理、疾病予防、適切な受診等のサポート - 予診票・接種券のデジタル化。健診情報の利活用
  4. 公衆衛生、医学・産業の振興に資する二次利用 - 研究開発への利活用

保険医療機関

2023年4月1日以降、保険医療機関に対してオンライン資格確認の導入およびマイナ保険証用カードリーダーの設置が義務付けられた(一部の例外[8]を除く)。

被保険者

2024年12月1日を以て従来の健康保険証は新規発行を停止し、翌12月2日からはマイナ保険証へ一本化される[注 1][9]。マイナ保険証の未取得者へは #資格確認書 が発行される。

名称の経緯

マイナ保険証について、当初、厚生労働省は「マイナンバーカードの健康保険証利用」[2][10]と呼んでいたが、2023年5月からのマイナンバーデータの誤登録問題の中でメディアによって「マイナ保険証」の言葉が頻繁に使われるようになり、8月4日、岸田文雄首相記者会見冒頭発言で「マイナ保険証」が用いられ[11]、続く8月8日、デジタル庁内のマイナンバー情報総点検本部が公式な文書で初めて「マイナ保険証」という呼称を用いた[12]。その後、厚生労働省も「マイナ保険証」を用い始めている[4]健康保険法では、第3条第13項にて「電子資格確認」という名称で定義されている[注 2]

マイナ保険証のシステム概要

マイナ保険証は、マイナンバーカードを用いて顔認証または設定した4桁の暗証番号の入力後、ICチップ内の利用者証明用電子証明書を利用して、「オンライン資格確認等システム」へ患者の保険資格を確認するもの(つまり、健康保険証と同等に扱うことができる)[2][13]。カードやICチップ自体に医療情報等は格納されていない[注 3]。資格確認プロセスにおいてマイナンバー(個人番号)は使用しない[14][注 4][注 5]

国民の全ての保険資格情報は「オンライン資格確認等システム」社会保険診療報酬支払基金国民健康保険中央会が運営)で管理され、医療機関の端末から同システムへ資格情報を照会している。従来の健康保険証では、転職(所属する健保の変更)・結婚(改姓)・引越し(所属する国保の変更)の際に保険証の再発行が必要となり、その待ち期間が発生した。マイナ保険証では、変更届けから5日以内のオンライン資格確認等システムへの登録が法令で義務化されており[15][16]、早期に保険証を医療機関・薬局で利用可能となることが期待される。

マイナ保険証利用時は、受診者本人がカードリーダーへマイナンバーカードをかざし、ICチップに格納された利用者証明用電子証明書などを読みとらせる。マイナンバー(個人番号)自体は使わず、暗証番号、顔認証、職員の目視のいずれかで本人確認を行なった上で、利用者証明用電子証明書を用いて「オンライン資格確認等システム」で保険資格を照会する[2][13]。顔認証には、顔認証付きカードリーダーで撮影した顔画像とマイナンバーカードのICチップに格納されている券面アプリケーションの顔画像情報が使用・照合される[2][13]

マイナ保険証利用の流れ

  • 事前作業
    • 保険者 - 被保険者情報をオンライン資格確認等システムへ登録する。マイナ保険証の登録・利用有無に関わらず、全ての被保険者情報が登録される。保険者は被保険者や雇用主の届出を受けてから5日以内にシステムへ登録することが法令で義務付けられている[15][16]
    • 利用者 - マイナ保険証利用開始手続きを実施(マイナポータル、セブン銀行ATM[17]、医療機関設置の顔認証付きカードリーダー[13]にて)。オンライン資格確認等システムへ利⽤者証明⽤電⼦証明書のシリアル番号と個⼈単位被保険者番号が登録、ひも付けられる[18]
  • 医療機関での利用時
    1. 顔認証付きカードリーダーへかざす - カードリーダーが、かざされたマイナンバーカードの券面から照合番号Bに該当する情報をOCR技術にて読み取り(ビニールケース等に入れたままでは読み取りエラーになることがある)、券面APを呼び出す[19][20]
    2. 顔認証実施 - 券面APから得た顔写真画像情報と、端末のカメラから得た顔情報を照合・認証する。別の手段として暗証番号(数字4桁)による認証も可能。または医療機関職員の目視確認にて認証する方法も存在する[20]
    3. 電子証明書呼び出し - 顔認証、暗証番号(数字4桁)、または医療機関の目視確認モードによって認証された後に、カード内の利用者証明用電子証明書を呼び出す
    4. 保険資格確認 - 電子証明書を用いてオンライン資格確認等システムへ、患者の保険資格情報を照会する(照会時にマイナンバーは使用しない)[14][注 4][注 5]

システム障害時の取り扱い

2023年7月10日、厚生労働省は、システム障害・通信障害・機器障害・データ不備等によってオンラインによる保険資格確認が出来ない場合の取り扱い通知を発信した[21]。通知では下記のとおり、いずれにおいても患者に医療費の10割負担を求めないルールを示した。通知後、患者に瑕疵が無い状況で10割負担を求められることは無い[22][23]

  1. マイナポータルにアクセス可能な場合はマイナポータルにて患者の負担割合を確認し、請求すること
  2. 再診等、医療機関側に患者の過去の保険資格履歴が存在し、そこから変更無い旨を本人から確認できた場合は、その内容に従って請求すること
  3. マイナポータルで確認できず、医療機関に過去の保険資格履歴も無い場合は「被保険者資格申立書」の記入を求め、患者が申し立てた自己負担分の支払を求める
  4. 今後、オンライン資格確認等システムへのデータ登録状況を本人へ通知するよう、システムを改修する

災害発生時の取り扱い

災害発生時、被災者は(従来型かマイナ保険証かを問わず)保険証の提示不要で医療機関を受診することができる[24]。これは災害救助法に基づく[25][26]。その上で、2024年1月3日、デジタル庁[27]と河野太郎デジタル大臣[28]は、マイナポータルの医療情報照会によってお薬手帳が無くても自身の正確な薬剤処方歴を医師らと共有できるメリットを挙げた。

また医療機関側はオンライン資格確認システムにて、マイナ保険証による患者同意が得られなくても、その他の方法で患者の同意を得て #診療情報等の閲覧 が可能となる。災害時医療情報閲覧機能と呼ばれる[29]能登半島地震 (2024年)では、1月中旬までに約1万2千件[30]、2月1日までに約2万2千件が使用され、避難者の服薬継続等に役立っている[31][32]。2月26日時点で約2万9600件[33]

なお、避難所等において日本赤十字社の救護班、日本医師会災害医療チーム (JMAT)、災害派遣医療チーム (DMAT) らによって行われた医療は患者負担は無い(保険診療ではない)。費用は災害救助法に基づき都道府県または国が全額負担する[34]

マイナ保険証利用登録解除の取扱い

マイナ保険証の利用登録を解除したい場合は、保険者へ申請する。健康保険組合の被保険者は所属する健康保険組合へ、国民健康保険・後期高齢者医療保険の被保険者は自治体窓口へ申請する。保険者は申請者へ資格確認書を交付すると共に、オンライン資格確認システムへ利用解除の登録を行なう[30]

仕様の改善

顔認証カードリーダーの操作において、薬剤情報等の提供同意を毎回実施することが煩雑であるとの意見から、包括同意を取り入れる。2024年夏に改善予定[33]

オンライン資格確認の形態

マイナ保険証およびオンライン資格確認には、用途に応じて数種類のバリエーションが存在する。

顔認証カードリーダー

病院・診療所・薬局に設置される最も一般的なもの。#マイナ保険証利用の流れ のとおり、マイナンバーカードを挿入して利用する。

診療情報等の閲覧同意は1回限りであり、原則として患者は来院の都度、カード読み取りと同意の選択を行なう必要がある[35][36]。利便性向上の取り組みとして、マイナポータルで同意の意向を事前登録可能とすること、医療機関単位で包括的な同意設定を可能とすること等のシステム改修が計画されている[33]。これによって毎回の同意選択操作がスキップされる。2024年夏リリース予定。

居宅同意取得型

訪問診療、訪問看護に関しては、患者の成りすましリスクが低いことから、1回のみの同意で可とする「居宅同意取得型」が採用される[37]

また、発熱外来や入院時など、窓口を経由しない(顔認証カードリーダーに接しない)場合においても居宅同意取得型を用いることが可能[30][38]

資格確認限定型

柔道整復師あん摩マッサージ指圧師はり師きゅう師施術所では健康保険による療養費支給が認められている。それら施術所のため、受診者の保険資格のみを確認可能とし診療情報等は照会不可の「資格確認限定型」が採用される[39]

助産所特定健診・特定保健指導を行う健診実施機関でも保険資格を確認する必要があり、「資格確認限定型」が導入される[40]

診療情報等の閲覧

医師薬剤師は、患者の同意を前提に、薬剤処方情報、診療情報、特定健診情報が一定期間遡及して確認可能となる。これら情報の閲覧は患者の同意を要し[2]、同意なき場合は閲覧不可である。院内で閲覧可能な者は医師・薬剤師等、有資格者に限定される[41]

薬剤処方情報と診療情報は、原則として医療機関が審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金または各都道府県の国民健康保険団体連合会)へ提出したレセプトに基づいている。月次サイクルで運用されており、当月1ヶ月間の薬剤処方情報・診療情報を閲覧できるのは翌月11日頃である。マイナポータルで本人も同じ内容を照会することができる[42]。電子処方箋で処方された薬剤情報は即時閲覧可能[43]

あくまでも保険診療の内容を閲覧・照会するシステムであり、保険適用外の自由診療分は掲出されない。またレセプトを電子請求していない医療機関の情報は反映が遅延する[44]

マイナ保険証での医療情報照会可能期間

マイナ保険証およびマイナポータルを用いた各種医療情報の照会可能期間は下表のとおり。2023年9月7日開催の厚生労働省社会保障審議会医療保険部会第167回会議にて、照会可能期間の延長が提起されている[45]

マイナ保険証での医療情報照会可能期間
照会可能期間 延長検討 根拠等
保険資格情報 2020年10月以降、10年間 民法消滅時効が10年のため
医療費 2021年11月以降、3年間 5年間へ延長 過年度の確定申告(更正の請求・修正申告・訂正申告)が5年間可能なため
特定健診 2021年1月以降、5年間 特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準(平成19年厚生労働省令第157号)での保存義務が5年であるため[注 6]
薬剤処方 2021年10月以降、3年間 5年間へ延長 医師法等での診療録の保存義務が5年であるため[注 7]
診療情報 2022年6月以降、3年間 5年間へ延長

マイナポータルを用いた情報活用

診療歴、薬剤処方歴、医療費情報、健診情報等は、本人の同意を得た上で、マイナポータルを介して行政や民間サービスで利活用が可能。

診療歴、薬剤処方歴はPHRアプリやお薬手帳アプリ[46]、医療費情報はe-Tax、健診情報はPHRアプリや生命保険加入時の情報提供などに使用可能である。

その他医療分野での使われ方

限度額適用認定証

日本の公的医療保険には高額療養費制度があり、所得と年齢に応じて自己負担額の上限が設けられている(自己負担限度額)。原則的には一旦通常の医療費を支払い、後から高額療養費の還付を受けるものだが[47]、医療機関窓口で当初から自己負担限度額までの支払いで済ませることも可能である。この適用を受けるためには、従来は自身が所属する保険者に対し限度額適用認定証の発行を請求し、それを医療機関へ提示する必要があった[48]

医療機関でマイナ保険証を提示し限度額適用に同意する旨の操作をすることで、患者の適用区分がオンラインで照会され、限度額適用認定証の提示なしで自己負担限度額以上の支払いが免除される[49]

電子処方箋

病院診療所から調剤薬局へ提示する処方箋を電子化するもの[50]。2023年1月26日開始[51]。“紙” による処方箋が不要になると共に、マイナポータルでも薬剤処方歴を即時に確認可能となる。

導入状況

2023年6月2日、内閣官房主催の「医療DX推進本部」の第2回会議にて「医療DXの推進に関する工程表」を決定。そこでは2024年度中(2025年3月まで)に、オンライン資格確認を導入した概ねすべての医療機関・薬局に電子処方箋を導入することを掲げている。

2024年2月9日、厚生科学審議会令和5年度第1回医薬品医療機器制度部会」にて、1月28日時点の電子処方箋導入状況が示された[52]。電子処方箋を導入しているのは医療機関全体の6%[53]。そのほとんどが薬局であり、病院での導入は全国で32機関に留まっている[54]。3月6日、厚生労働省「令和5年度全国薬務主管課長会議」にて、2月4日時点の電子処方箋運用開始率の明細が公表された[55]。病院における運用開始率は0.4%だった[56]

電子署名

電子処方箋の発行には医師・薬剤師自身の電子署名が必要。従来は保健医療福祉分野公開鍵基盤 (Healthcare Public Key Infrastructure, HPKI) が発行する「HPKIカード」が必要であったが、2023年12月から医師・薬剤師自身のマイナンバーカードで電子署名可能となった[57][58][59]

医師・薬剤師の電子署名は必ずしも物理カードを要するものではなく、クラウド型の鍵管理機関を用いたカードレス署名(セカンド電子証明書)も存在する[60]。マイナンバーカードの電子証明書もカードレス署名に対応させる方針[61]

救急業務での利用

救急医療において、マイナンバーカードおよびオンライン資格確認を用いて、傷病者の既往歴等を確認することが計画されている[62]。2022年8月4日、消防庁の「救急業務のあり方に関する検討会」[63]で検討が始まった。同年10月から12月までの2ヶ月間、全国6箇所の消防本部で実証実験が行なわれた[64][65]。2024年度末までに全国展開目指す。12月15日、厚生労働省の「健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報利活用ワーキンググループ」でも検討を開始[66]。緊急時には本人の同意を不要とする運用が検討されている[67]

11月8日、本件のためにシステムを導入する方針を固め、2023年度補正予算へ盛り込むことが報じられた[68]。11月10日、消防庁は2023年度補正予算へ「マイナンバーカードを活用した救急業務の迅速化・円滑化に向けたシステム構築」として3.7億円を計上した[69]。左記予算を用いて、2024年5月から47消防本部の約500隊で実証事業を行なう計画[70][71][72]。上掲の2022年10月から12月の実証実験ではマイナ保険証の所持者が少なく、十分な検証結果が得られなかった[73]。2024年3月12日、消防庁が実証事業の対象を発表。67消防本部・660隊[74][75][76]

2025年度中の本格運用開始を目指す[77]

医療費助成・予防接種・母子保健での利用

医療費助成制度(国の公費助成(難病医療、障害者医療等)、自治体条例に基づく助成(こども医療助成、ひとり親助成等))、予防接種、母子保健(妊婦健康診査乳幼児健康診査)について、受給者証・接種券・受診券にマイナンバーカードを用いるもの。2023年より自治体単位で順次開始している。

また、こども家庭庁において、乳幼児の健康診断で必要な問診票や受診票に関し、マイナンバーカードを活用しデジタル化する取り組みを進めている[78]

医療費助成でのマイナンバーカード利用の経緯

  • 2023年
    • 3月30日 - 内閣府規制改革推進会議「医療・介護・感染症対策ワーキング・グループ」の第8回会議にて、公費負担医療情報をマイナンバーカードへ集約する方針を発表[79][80]
    • 9月29日 - デジタル庁より、16の自治体で先行実施すると発表[81][82][83][84]
    • 12月26日 - 2024年度は400程度の自治体へ展開することを計画している旨を発表[85]
  • 2024年
    • 3月8日 - デジタル庁が先行100自治体について公募を開始[86][87]。10月頃リリース予定
    • 3月26日 - 開始済みの自治体および医療機関名をデジタル庁ホームページにて公表[88]

生活保護の医療扶助

生活保護受給者の医療扶助についても、マイナンバーカードを利用したオンライン資格確認が用いられている[89]。2024年2月13日から検証運用[90]、同年3月1日から本格運用を開始した[91]福祉事務所から紙で発行されている医療券をオンライン化するもの[92]。いわゆる「頻回受診」の防止にも効果があるとされている[93]

診察券での利用

病院・診療所の診察券をマイナンバーカードと一体化させる取り組み。2023年度補正予算にて医療機関へのシステム改修補助金が計上された[94]

難病法軽症者への登録者証

難病法に基づく医療費助成を受ける者に対しては「受給者証」が交付されるが、軽症者は特に証明するものが存在しなかった。2022年12月10日、第210回国会にて改正難病法が可決成立[95][96]。2024年4月から軽症者へ「登録者証」が発行される[97]。登録者証は、原則としてマイナンバーカードと一体化する[98]

診療報酬

マイナ保険証・オンライン資格確認の導入に伴い、利用の有無によって診療報酬に違いが生じる。

2022年4月1日、診療報酬に「電子的保健医療情報活用加算」が創設された[99]。この制度はマイナ保険証を使用するとかえって負担が増すとの批判を受け、9月末を以て廃止。

2022年10月1日、上掲の「電子的保健医療情報活用加算」を廃止し、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」を創設[100]。2023年4月1日、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」を改定[101][102]。12月31日までの時限措置でマイナ保険証不使用時の加算を増加した。

期間 特例加算名称 マイナ保険証使用時 マイナ保険証不使用
初診 再診 調剤 初診 再診 調剤
2022年4月1日~9月末[99] 電子的保健医療情報活用加算 7点 4点 3点(月1回) 3点 なし 1点(3ヶ月に1回)
2022年10月1日~2023年3月末[100] 医療情報・システム基盤整備体制充実加算 2点 なし 1点(6ヶ月に1回) 4点 なし 3点(6ヶ月に1回)
2023年4月1日~12月末[102][103] 6点 2点 4点(6ヶ月に1回)
2024年1月1日~5月末 4点 なし 3点(6ヶ月に1回)
2024年6月1日~[104] 医療情報取得加算 1点 1点 3点 2点

2024年6月からの「医療情報取得加算」は、従来の施設基準(オンライン資格確認の体制を有していること)の他、具体的に当該患者に係る診療情報を医師・薬剤師らが取得した場合に加算を得ることができる[105]

その他の予算措置

2023年度(令和5年度)補正予算において、マイナ保険証利用促進支援として217億円が計上された。2023年10月のマイナ保険証利用率を基準として、2024年1~11月の利用率が上昇した医療機関に対し、その増加率に応じて支援金を支給する[106][107]。また、一定の利用数のある医療機関・薬局に対し顔認証カードリーダーの増設支援、診察券や医療費助成の受給者証等もマイナンバーカードと一体化するための医療機関側のシステム改修費支援等も計上されている[108]

厚生労働省は2024年5月から7月を「マイナ保険証利用促進集中取組月間」[109][110]と位置付け、同期間内にマイナ保険証の利用率が上昇した医療機関に対し、上記の予算から一時金を支給する[111][112][113]

マイナ保険証の取得困難者対策

患者の保険資格が確認できない事態を回避するため、各施策が検討されている。

資格確認書

マイナ保険証を持たない者も保険診療を受けることが出来るよう「資格確認書」を発行する。原則は本人からの申請によって交付されるものだが、申請が無くても保険者側から職権で交付するプッシュ型交付[114]が行なわれる方針。これは「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律」附則第15条に基づく[注 8]

2023年7月4日、山口那津男公明党代表が記者会見にて政府へ要望[115][116]。7月5日、衆議院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会」の閉会中審査において、公明党輿水恵一議員からの質問に対し伊佐進一厚生労働副大臣(公明党)が資格確認書のプッシュ型交付について言及したが[117][118]、7月7日、加藤勝信厚生労働大臣は、伊佐副大臣の答弁は法律の規定を説明しただけだと述べた[119]。8月4日、岸田文雄首相が記者会見において、資格確認書をプッシュ型で交付する方針を表明した[注 9]。8月8日の第2回マイナンバー情報総点検本部の資料では、条文どおり[注 8]プッシュ型交付は「当分の間」と記載されており、恒久措置ではない旨がうかがえる[注 10]

経過措置(猶予期間)

従来の健康保険証廃止後も継続利用が可能な経過措置(猶予期間)について、2023年2月時点[120]では「廃止後、最長1年(先に保険証の有効期限が到来したらその有効期限まで)」としていた。これは所持する保険証の有効期限によっては、猶予期間が早期に終了してしまうとの批判があった[121]。2023年7月14日、有効期限が到来しても廃止後、一律1年間は有効と見なす方針が示された[122][123]。但し、転職や引っ越し等により加入する保険が変わり、現行の保険証が失効した場合は、新しい保険証は発行されず猶予期間が終了する[124]

資格情報のお知らせ

保険証の新規発行停止後、新規に保険資格を得た者や、高齢者で自己負担割合の改定があった者に対して「資格情報のお知らせ」を交付する[125]。2023年8月8日、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会第3回会議で示された。マイナ保険証を持つ者(資格確認書が無い者)がオンライン資格確認の義務化対象外の医療機関で受診するケースでの使用が想定されている[126]

保険資格情報のPDF保存機能

2023年12月12日、マイナンバー情報総点検本部第5回会議にて「マイナ保険証の過渡期の対応(デジタルとアナログの併用)」として、マイナポータルで得た保険資格情報をPDF化し端末へ保存する機能が示された[127]。2024年春提供予定。2024年2月9日、デジタル庁は同機能の提供を開始した[128]。マイナンバーカードのICチップ不良やカードリーダー障害時に、マイナンバーカードと合わせて提示することで応急的に利用可能である[129][130]。オンライン資格確認義務化非対象の医療機関でも「資格情報のお知らせ」の代わりとして利用可能[131][132]

また、学校行事における修学旅行・合宿等では、本人のマイナンバーカード所持が原則としつつ、本PDFで代替し保険診療を受けることも可能[133][134]

医療機関での使用ケースマトリックス

医療機関での使用ケースマトリックス
オンライン資格確認対象医療機関 オンライン資格確認義務化非対象の医療機関
マイナ保険証所持者 マイナ保険証 「マイナンバーカード」と「資格情報のお知らせ、または、保険資格情報のPDFデータ」
マイナ保険証を持たない者 資格確認書 資格確認書

マイナ保険証の経緯

  • 2011年6月30日:民主党菅直人内閣 (第2次改造)のもとで政府・与党社会保障改革検討本部が、「社会保障・税番号大綱」を決定[135]。この中で、医療・介護サービスの質の向上に資するものとして、個人番号(マイナンバー)を記載した1枚のICカードへ、年金手帳・医療保険証・介護保険証等を一元化する方針が示された[注 11]
  • 2014年6月14日:第2次安倍内閣にて「世界最先端IT国家創造宣言」(2014年版)を閣議決定[136]。マイナンバーカードと健康保険証等の一体化/一元化を表明した[注 12]
  • 2015年
    • 5月20日:高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部配下の新戦略推進専門調査会「第9回マイナンバー等分科会」にてマイナンバー制度利活用推進ロードマップ案[137]が示され、「個人番号カードを健康保険証として利用」の開始を2018年4月目処と表した。
    • 6月30日:第3次安倍内閣にて「日本再興戦略改訂2015」[138]および「世界最先端IT国家創造宣言」(2015年版)[136]を閣議決定。2017年7月以降早期に、オンライン資格確認システムの整備とマイナンバーカードを健康保険証として利用することを明記した。運用は「2018年度から段階的開始、2020年までに本格運用を目指す」とした[注 13][注 14]
    • 12月10日、厚生労働省「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」が最終報告書を取りまとめた[139]。以下の整理を行なった[注 15]
      1. 質の高い医療・介護サービスの提供、国民自らの健康管理等のための情報の取得、公的保険制度の運営体制の効率化等を推進するため、オンライン資格確認が必要
      2. 資格確認方法(健康保険証)として、ICカードの二重投資は避け、マイナンバーカードを使うことが合理的である
      3. 時期は、2018年度から段階的に導入し、2020年までに本格運用する(6月の閣議決定2文書(上掲)と同じ)
  • 2017年5月30日:第3次安倍内閣 (第2次改造)にて「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(2017年版)を閣議決定。マイナンバーカードの健康保険証としての利用の時期は2015年の閣議決定2文書(上掲)と変わらず、2018年度から段階的開始、2020年から本格運用とした[注 16]
  • 2018年6月15日:第4次安倍内閣にて「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太の方針2018)および「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(2018年版)[136]を閣議決定。導入時期に関して、両文書とも段階的導入の記載は削除され、本格運用時期も従来の「2020年」から「2020年度」(2021年3月)へ、3ヶ月後ろ倒した[注 17][注 18]
  • 2019年
  • 2020年8月7日:マイナポータルから健康保険証利用の事前申し込み開始[145][146][147]
  • 2021年
  • 2022年
  • 2023年
    • 1月26日:電子処方箋の運用開始[51][50]
    • 2月17日:「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会」(第2回)の中間取りまとめ[120]にて、以下2点が発表された。
      1. 何らかの事情でマイナンバーカードを利用出来ない者のために有効期間1年[注 23]の「資格確認書」を発行する(有効期間については7月28日の大臣会見にて「法律上の規定は無い」として1年より長期とする可能性を示し[注 24]、8月4日に首相会見で最長5年とする旨が述べられた[注 25]
      2. 2024年秋の健康保険証廃止後、最長1年間は有効とみなす経過措置を設ける
    • 4月:医療機関に対し、オンライン資格確認の導入(いわゆるマイナ保険証の導入)を義務化。但し、機器の納入状況、設置するエンジニアの不足などを考慮し、2023年9月末まで猶予措置あり[156]
    • 6月1日:健康保険法施行規則他の関連省令を改正。保険者(国保・健保等)に対し、以下2点を法令として義務化した(5月31日公布、6月1日施行)[15][16]
      1. 保険者は被保険者からマイナンバーを得ること
      2. 保険者は届出を受けてから5日以内にシステムへ登録すること
    • 6月2日:「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律」が可決、成立[157][158]。6月9日公布[159]。保険資格確認を「マイナ保険証」へ一本化し、医療保険各法から保険証発行に関する記述が削除[注 26]、資格確認書の発行が新設された[注 27]。[公布日から1年6ヶ月以内(2024年12月8日まで[160])に施行]
    • 8月4日:岸田文雄首相が記者会見を実施。マイナ保険証に関して以下2点を表明した[11]
      1. マイナ保険証を利用しない者へ、資格確認書をプッシュ型で交付する[注 9]
      2. 資格確認書の有効期限は、最大5年の中で保険者が決める[注 25]
    • 8月8日:「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会」の第3回会議を開催。「最終取りまとめ」が発表された。マイナンバーカード#マイナンバーカードの申請や交付が困難な者への対応#マイナ保険証の取得困難者対策 それぞれに書かれた内容が示された。
    • 12月22日:従来の健康保険証を廃止日(新規発行の停止日)を2024年12月2日とすることを閣議決定した[注 1][161]
    • 12月27日:「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」を公布[162]。2024年12月2日を以て従来の保険証の新規発行を停止することが、法的に確定した[9]
  • 2024年
    • 4月以降:訪問診療、訪問看護、オンライン診療でもオンライン資格確認(マイナ保険証)を利用可能とするよう対応[163]
    • 4月1日:訪問診療において「居宅同意取得型」でのオンライン資格確認(マイナ保険証)を開始[164][165]
    • 4月1日:柔道整復師あん摩マッサージ指圧師はり師きゅう師施術所(いわるゆ接骨院等)においてオンライン資格確認(マイナ保険証)を開始[166]。同年秋までに義務化[39]。これら施設でのオンライン資格確認(マイナ保険証)は「資格確認限定型」とし、医療機関のような診療歴・薬剤処方歴の閲覧はできない。
    • 4月1日:特定健診・特定保健指導を行う健診実施機関で、資格確認限定型によるオンライン資格確認(マイナ保険証)を導入開始[40][167]
    • 6月:訪問看護ステーションにおいて「居宅同意取得型」でのオンライン資格確認(マイナ保険証)を開始。同年秋までに義務化[37][168]
    • 7月:助産所で、資格確認限定型によるオンライン資格確認(マイナ保険証)を導入開始[40]
    • 7月:職域診療所で、オンライン資格確認(マイナ保険証)を導入開始。設置は任意[30]
    • 12月2日:従来の健康保険証を廃止(新規発行の停止)。但し1年間の経過措置有り[124]

効果・評価・反応

コスト削減効果

マイナ保険証の開始後、保険者は健康保険証の発行と回収の負担が無くなる。一方、マイナ保険証を利用しない被保険者に対しては資格確認書を送付する必要がある。両者を勘案したコスト削減効果について、2023年8月24日、厚生労働省は、マイナ保険証の利用登録率が65~70%の時、年間100億~108億円のコスト削減が見込めるとの試算を提示した[169][170]。この試算はランニングコストのみを取り上げたもの。医療機関へのカードリーダー設置やオンライン資格確認システム構築等のイニシャルコストは含まれていない。

国民健康保険被保険者証の交付方法は自治体によって異なるが、郵送する場合の費用は各市町村が一般会計で負担する。総務省による北海道地区の調査では、①簡易書留郵便、②特定記録郵便、③原則として普通郵便及び④窓口交付の4種類があった。北海道札幌市では簡易書留郵便では不在の場合に不便、簡易書留郵便とした場合に保険証更新の2年ごとに郵送経費が約 8,000万円必要となるとの理由から、原則として普通郵便による送付を採用した。しかし平成17年に郵便受けから被保険者証が多数盗まれ犯罪に利用される事件の発生を機に、希望者に対して簡易書留郵便による送付を開始している[171]。大阪府茨木市では「簡易書留郵便」で送付していたが日中不在者の事情を考慮するとともに、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、令和4年10月送付分から「特定記録郵便」に変更している[172]。一方、兵庫県尼崎市では保険証の簡易書留による郵送は被保険者から要望が多く、毎年財政当局に対して予算要求を行っているが、経費が数千万円かかるなど財源の問題があり実現していないと説明し、郵送コストに問題を抱えている[173]

レセプト返戻の減少

オンライン資格確認によって正確な保険資格情報が得られ、誤記返戻の削減が期待されている。2016年3月、厚生労働省は「医療保険制度における社会保障・税番号制度の活用に関する調査研究事業 報告書」を公表。保険診療の支払い実態を調査し、2014年度の1年間で保険医療機関から審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金または国民健康保険団体連合会)へ提出されたレセプトが約20億件、そのうち各種の不備による返戻が約500万件存在したと記載されている[注 28]。また資格過誤に関わる業務量として、保険者側の社会保険で年間約40万時間、国保・後期高齢で年間約98万時間。医療機関側は年間約98万時間、薬局で年間約77万時間が費やされていると推計している[注 29]

オンライン資格確認システムではレセプト振替機能がある。他の健康保険へ移った患者を、医療機関が過去の健康保険の状態で請求した場合、従来は返戻され医療機関から再提出が必要であった。レセプト振替は、これを自動的に新しい健康保険へ振り替えて請求する機能[174][175]

2023年7月26日、参議院地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員会」の閉会中審査において、加藤勝信厚生労働大臣は、オンライン資格確認の本格運用開始以降、医療機関の事務負担は軽減し、レセプト振替機能によって返戻が4割減少したと答弁した[注 30][176]。厚生労働省伊原和人保険局長も、年間600万件存在する返戻が数百万件規模で劇的に減ると答弁した[177]

不正利用の抑止

健康保険証の不正利用については、個別事案はあるものの、誤記ではない明確な(悪意のある)不正利用の全体像は明らかにされていない。従って不正抑止効果について、金額での試算は示されていない。

マイナ保険証の利用率

医療機関窓口でのマイナ保険証の利用率は、オンライン資格確認が義務化された2023年4月をピークに、以後は低迷している[178]。利用率の計算式は「マイナ保険証の利用数 ÷ オンライン資格確認の利用全件」である。河野太郎デジタル大臣は、分母にあたるオンライン資格確認の利用数が毎月増加し、マイナ保険証の利用の増加がそれに追いついていない(結果として利用率が低下した)と分析している[注 31]。利用者数の増加には、患者個人のメリットだけではなく医療DXによる国民負担の抑制等、二次的効果も伝える必要があると言われている[179]

2024年1月19日、社会保障審議会「医療保険部会」第174回会議にて、マイナ保険証の利用促進策が示された[30]#その他の予算措置 に記載の支援金に加え、窓口での声掛け方法の変更(「保険証をお持ちですか」から「マイナンバーカードをお持ちですか」へ変更する)、利用出来ない事案について地方厚生局が事実調査する方針などが挙げられている[180][181]

2024年2月4日、国家公務員共済組合の組合別(省庁別)のマイナ保険証利用率(2023年11月時点)が公表された[182]。厚生労働省本省が8.39%などと比較的高いものの、全体平均では4.36%であり、健康保険全体の平均値と大差ないことが判明した[183]

普及推進への取り組み

厚生労働省は、2024年3月21日、「マイナ保険証促進トークスクリプト」を公開[184]。3月22日には「マイナ保険証移行・電子処方箋導入への医療機関・薬局向けセミナー ~高利用率&支援金ゲットのメソッドをお伝えします~」[185]等の企画を開催している。

三師会

2023年10月5日、日本医師会日本歯科医師会日本薬剤師会三師会、および健康保険組合連合会は、厚生労働省と合同で『マイナ保険証、1度使ってみませんか』キャンペーンを開始した[4][5][6]

その他団体

全国保険医団体連合会(および傘下の各都道府県保険医協会)、全日本民主医療機関連合会は、再三に渡りマイナ保険証に反対する声明を発信している[186]。また、立憲民主党日本共産党社会民主党の国会議員[187]荻原博子[188]と共に反対運動を展開している。また2023年2月22日、東京都保険医協会らはオンライン資格確認義務不存在確認等請求訴訟を行なった[189][190]

世論調査等

2023年6月21日、中央社会保険医療協議会診療報酬改定結果検証部会」にて、マイナ保険証に関する意識調査結果が公表された[191]。ここではマイナ保険証のメリットの認知度が低いことが示された[192][193]

2023年7月のNHK世論調査では、マイナ保険証への一本化(従来の健康保険証の廃止)について「予定どおり廃止すべき」「廃止を延期すべき」「廃止方針を撤回すべき」の3択で問い、中間の「廃止を延期すべき」の回答が最も多かった[194]。2023年12月に朝日新聞が実施した世論調査では「賛成」「反対」の2択で問い、全体平均では「反対」が多いものの年代別では18~29歳では「賛成」が大きく上回るなど、世代間・男女間で意見の差異が見受けられる[195]

事件・不祥事

マイナ保険証機能の誤有効化

  • 2022年8月18日に滋賀県栗東市役所で、マイナンバーカードの受領に訪れた市民がマイナンバーカードに保険証機能は不要であると伝えて保険証機能を申請していないにもかかわらず、市役所職員が保険証機能を付与して削除不可となる。厚生労働省は登録したマイナ保険証は削除できないとしている[196]
  • 2023年
    • 6月5日、厚生労働省は参議院地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員会」で、本人の意思を確認せずにマイナンバーカードを「マイナ保険証」として利用できるよう登録した事例が2023年2月1日から6月2日の間に5件あったと述べた[197][注 32]。いずれも例外として個別に利用登録を解除済み[200]。左記とは別に、6月8日、北海道札幌市[201][202]と栃木県塩谷町[203]が、希望しない市民に対しマイナ保険証機能を有効としていた事案を発表。6月16日、和歌山県和歌山市が誤有効化をを発表[204][205]。6月20日、富山県富山市と射水市が誤有効化を発表[206]。6月21日、埼玉県上尾市が誤有効化を発表[207]。6月22日、茨城県鹿嶋市が誤有効化を発表[208]、6月23日、石川県金沢市が誤有効化を発表[209]。7月4日、厚生労働省は6つの自治体から誤有効化解除の要望を受け例外的個別解除を行なったと発表[注 33]。7月5日、山形県鶴岡市が誤有効化を発表[212]。8月2日、宮城県名取市が誤有効化を発表[213]。8月10日、徳島県徳島市が誤有効化を発表[214]
    • 9月22日、厚生労働省は、前回発表(7月4日)以降9月22日までに、27自治体27件から誤有効化解除の要望を受け個別解除を行なったと発表[215][216]。個別解除は合計38件となった[217]
    • 12月20日、厚生労働省は同日までに11自治体15件の個別解除を行なったと発表[218]。個別解除は合計43自治体53件となった[219]

システム障害

  • 2022年11月30日、全国保険医団体連合会の調査で、マイナ保険証の運用を既に開始した医療機関の4割超が、マイナンバーカードの読み取り機が起動しないなどの不具合を経験していることが分かった[220]。不具合報告の多くは読み取り機の起動時に「ネットワークエラー」と表示される事象[221]。これは2022年11月8日配信のWindowsUpdate更新プログラム KB5019966 が原因と見られる[222][223]。KB5019966は様々な不具合を引き起こすことが伝えられている[224]。その後、読み取り機の各ベンダーから修正プログラムが配布され、不具合は終息した。
  • 2023年6月23日午前9時42分から9時55分の13分間、一部の医療機関において、従来の保険証による資格確認が不能となる事象が発生した。同時間帯もマイナ保険証を用いた資格確認は可能であった[225][226]

脚注

注釈

  1. 武見大臣会見概要 (令和5年12月22日(金)10:58-11:27 省内会見室)”. www.mhlw.go.jp. 厚生労働省 (2023年12月22日). 2023年12月28日閲覧。

    大臣:本日、マイナンバー法等の一部改正法の施行期日を定める政令が閣議決定され、保険者の準備に要する期間や窓口での円滑な対応等も考慮して、令和6年12月2日、月曜日とすることとしました。
  2. 健康保険法”. elaws.e-gov.go.jp. e-Gov法令検索. 2023年12月28日閲覧。

    (定義)
    第三条
    13 この法律において「電子資格確認」とは、保険医療機関等から療養を受けようとする者又は指定訪問看護事業者から指定訪問看護を受けようとする者が、保険者に対し、個人番号カードに記録された利用者証明用電子証明書を送信する方法その他の厚生労働省令で定める方法により、被保険者又は被扶養者の資格に係る情報の照会を行い、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により、保険者から回答を受けて当該情報を当該保険医療機関等又は指定訪問看護事業者に提供し、当該保険医療機関等又は指定訪問看護事業者から被保険者又は被扶養者であることの確認を受けることをいう。
  3. よくある質問:マイナンバーカードの健康保険証利用について”. www.digital.go.jp. デジタル庁. 2023年12月19日閲覧。

    Q8 マイナンバーカードを落とすと、ICチップに入っている税や年金、医療などのさまざまな情報が流出するので怖いです。

    A8 マイナンバーカードのICチップには、そもそも、税や年金、医療などに関する情報は記録されていません。
  4. もっと知りたい!カードの保険証利用のあれこれ!」『www.mhlw.go.jp』厚生労働省。2023年7月18日閲覧

    Q14.医療機関・薬局がマイナンバー(12桁の番号)を取り扱うのですか。

    A14.医療機関・薬局がマイナンバー(12桁の番号)を取り扱うことはありません。マイナンバー(12桁の番号)ではなく、マイナンバーカードのICチップ内の利用者証明用電子証明書を利用します。
  5. マイナンバーカードが健康保険証として利用できます! (pdf)」『デジタル庁』www.digital.go.jp、2021年10月20日。2023年7月3日閲覧

    マイナンバー(12桁の数字)は使いません!
    マイナンバーカードの健康保険証利用には、ICチップの中の「電子証明書」を使うため、マイナンバー(12桁の数字)は使われません。
  6. 特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準」『elaws.e-gov.go.jp』e-Gov法令検索。2023年9月9日閲覧

    (特定健康診査及び特定保健指導に関する記録の保存)
    第十条 保険者は、法第二十二条及び法第二十五条の規定により、特定健康診査及び特定保健指導に関する記録を電磁的方法(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。以下同じ。)により作成し、当該記録の作成の日の属する年度の翌年度から五年を経過するまでの期間又は加入者が他の保険者の加入者となった日の属する年度の翌年度の末日までの期間のうちいずれか短い期間、当該記録を保存しなければならない。
  7. 医師法」『elaws.e-gov.go.jp』e-Gov法令検索。2023年9月9日閲覧

    第二十四条 医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。
    2 前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、五年間これを保存しなければならない。
  8. 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律 (pdf)」『www.digital.go.jp』デジタル庁。2023年7月18日閲覧

    附則第十五条
    保険者は、必要があると認めるときは、当分の間、同項の規定にかかわらず、職権で、被保険者に対し、同項の厚生労働省令で定める事項を記載した書面を交付し、又は当該事項を同項に規定する電磁的方法により提供することができる。
  9. 令和5年8月4日 岸田内閣総理大臣記者会見 | 総理の演説・記者会見など」『www.kantei.go.jp』首相官邸ホームページ、2023年8月4日。2023年8月6日閲覧

    マイナ保険証を保有していない方全てに、申請によらず、資格確認書を交付することを行う。
  10. マイナンバー制度及びマイナンバーカードに関する政策パッケージ (pdf)」『www.digital.go.jp』マイナンバー情報総点検本部(第2回)|デジタル庁、2023年8月8日。2023年8月9日閲覧
    8ページ

    資格確認書について、当分の間、マイナンバーカードを取得していない方、マイナンバーカードの健康保険証利用登録をしていない方については、本人の申請によらず交付する運用とする。また、その有効期間は、5年以内で、各保険者が設定することとする。
  11. 社会保障・税番号大綱 (pdf)」『www.soumu.go.jp』政府・与党社会保障改革検討本部、2011年6月30日。2023年8月4日閲覧
    12ページ

    (7) 保険証機能を券面に「番号」を記載した1枚のICカードに一元化し、ICカードの提示により、年金手帳、医療保険証、介護保険証等を提示したものとみなすこととすることで、利用者の利便性の向上を図ることができる。
  12. 世界最先端IT国家創造宣言 平成26年6月24日 (PDF)」『www.kantei.go.jp』内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室。2022年3月11日時点のオリジナル (pdf)よりアーカイブ。2023年8月6日閲覧
    21ページ

    個人番号カードについては、そのICチップの空き領域や公的個人認証サービス等を活用し、健康保険証や国家公務員身分証明書など、公的サービスや国家資格等の資格の証明等に係るカード類の一体化/一元化(中略)により、広く普及を図る。
  13. 日本再興戦略改訂2015 本文(第二部及び第三部) (pdf)」『www.kantei.go.jp』日本経済再生本部。2023年6月30日閲覧
    101ページ

    (3)個人番号カードによる公的資格確認
    2017年7月以降早期に医療保険のオンライン資格確認システムを整備し、個人番号カードを健康保険証として利用すること

    145ページ

    (2)医療・介護等分野におけるICT化の徹底
    2017年7月以降早期に医療保険のオンライン資格確認システムを整備し、医療機関の窓口において個人番号カードを健康保険証として利用することを可能とし、医療等分野の情報連携の共通基盤を構築する。2018年度からオンライン資格確認の基盤も活用して医療等分野における番号の段階的運用を開始し、2020年までに本格運用を目指す。
  14. 世界最先端IT国家創造宣言(平成27年6月30日) (PDF)」『www.kantei.go.jp』内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室。2020年8月1日時点のオリジナル (pdf)よりアーカイブ。2023年7月1日閲覧
    26ページ

    個人番号カードの普及・利活用の促進
    2017年7月以降早期に医療保険のオンライン資格確認システムを整備し、個人番号カードを健康保険証として利用することを可能とする
  15. 医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会 報告書 (pdf)」『www.mhlw.go.jp』厚生労働省、2015年12月10日。2023年7月1日閲覧
    9ページ

    オンライン資格確認の仕組みは、導入の初期費用や運営コストを精査しつつ、ICカードの二重投資を避け、広く社会で利用される情報インフラを安全かつ効率的に活用する観点から、個人番号カードの公的個人認証を活用した仕組みを基本とすることが合理的である。

    マイナンバーの情報連携のインフラ(平成29年7月に稼働予定)を活用しながら、平成30年度から段階的に導入し、平成32年までに本格運用することを目指して、準備を進めていく必要がある。
  16. 世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略会議 (pdf)」『cio.go.jp』内閣官房 IT総合戦略室、2017年5月30日。2023年6月28日閲覧
    71ページ

    マイナンバー制度により構築される仕組みを活用し、マイナンバーカードの健康保険証としての利用を含めた医療保険のオンライン資格確認、医療等IDの導入を検討。平成30年度からの段階的運用開始、平成32年から本格運用を実現。
  17. 経済財政運営と改革の基本方針2018 ~少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現~ (pdf)」『www5.cao.go.jp』内閣府ホームページ、2018年6月15日。2023年7月3日閲覧
    65ページ

    マイナンバーカードについて、これを利用した医療保険のオンライン資格確認の2020年度からの本格運用
  18. 世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画 (平成30年6月15日) (PDF)」『www.kantei.go.jp』内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室、2018年6月15日。2020年8月5日時点のオリジナル (pdf)よりアーカイブ。2023年7月1日閲覧
    88ページ

    医療保険のオンライン資格確認の構築、医療等分野における識別子(ID)の導入
    マイナンバー制度により構築される仕組みを活用し、マイナンバーカードの健康保険証としての利用を含めた医療保険のオンライン資格確認について、利用環境の整備も視野に入れ、平成32年度の本格運用を目指す。
  19. インターネット版官報 令和2年4月30日 号外第90号」『kanpou.npb.go.jp』国立印刷局、2020年4月30日。2023年7月3日閲覧
    政令第百五十五号 医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令

    医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律附則第一条第四号に掲げる規定の施行期日は、令和二年十月一日とする。
  20. 経済財政運営と改革の基本方針 2019 ~「令和」新時代:「Society 5.0」への挑戦~ (pdf)」『www5.cao.go.jp』内閣府、2019年6月21日。2023年7月1日閲覧
    12ページ
    「マイナンバーカードを活用した新たな国民生活・経済政策インフラの構築」

    マイナンバーカードの健康保険証利用を進めるため、診療時における確実な本人確認と保険資格確認を可能とし、医療保険事務の効率化や患者の利便性の向上等を図り、2021年3月から本格運用する。
  21. 経済財政運営と改革の基本方針2022 本文 (pdf)」『www5.cao.go.jp』内閣府ホームページ、2022年6月7日。2023年6月17日閲覧
    32ページ

    オンライン資格確認について、保険医療機関・薬局に、2023年4月から導入を原則として義務付ける
    オンライン資格確認の導入状況等を踏まえ、保険証の原則廃止を目指す。

    なお脚注に「加入者から申請があれば保険証は交付される。」との記述があり、後の「資格確認書」創設へつながる。
  22. 河野大臣記者会見(令和4年10月13日)」『www.digital.go.jp』デジタル庁、2022年10月13日。2023年5月29日閲覧

    まずマイナンバーカードと健康保険証の一体化に向けた取組につきまして、これは以前に閣議決定もございますが、それを前倒しするということで訪問診療、あんま、鍼灸などにおいてマイナンバーカードに対応するための補正予算の要求を予定するとともに、マイナンバーカードの取得の徹底、カードの手続き・様式の見直し、この検討を行った上で、2024年度秋に現在の健康保険証の廃止を目指すということにいたします。
  23. マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会 中間とりまとめ | マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会(第2回) (pdf)」『www.digital.go.jp』デジタル庁、2023年2月17日。2023年5月29日閲覧

    5ページ
    資格確認書の有効期間は、1年を限度として各保険者が設定することとする。また、様式は国が定める。
  24. 加藤大臣会見概要(令和5年7月28日(金)10:39~10:52 省内会見室)」『www.mhlw.go.jp』厚生労働省、2023年7月28日。2023年7月31日閲覧

    資格確認書はマイナ保険証による受診ができない方を対象に、必要な保険診療が受けられるよう本人の申請に基づくなどして交付するものであるが、有効期限について法律上規定はありません。
    具体的な、その運用は省令に委任されております。この資格確認書、あるいはそれをどう運用していくのかについて、保険者等の関係者から様々なご指摘をいただいているところです。
    そうしたご指摘も踏まえ、検討を進めているところです。
  25. 令和5年8月4日 岸田内閣総理大臣記者会見 | 総理の演説・記者会見など」『www.kantei.go.jp』首相官邸ホームページ、2023年8月4日。2023年8月6日閲覧

    資格確認書の期限の話、有効期限の話は、基本的には、現在、健康保険証について、国民保険であれば、1年であったり、2年であったり、更新時期を迎えます。それから雇用者保険であるならば、期限は特段設けていない。こういった運用になっていると思います。この運用を念頭に資格確認書についても考えていくということであります。ですから、更新の時期については、5年を超えない期間において、それぞれの保険者が更新の時期を決めていく。
  26. 例として、国民健康保険法では下記の条文が削除された。

    第九条(届出等)
    2 世帯主は、市町村に対し、その世帯に属する全ての被保険者に係る被保険者証の交付を求めることができる。
  27. 例として、国民健康保険法では下記の条文が新設された。

    第九条(届出等)
    2 被保険者が電子資格確認を受けることができない状況にあるときは、世帯主は、市町村に対し、被保険者の資格に係る情報として厚生労働省令で定める事項を記載した書面の交付を求めることができる。この場合において、当該市町村は、速やかに世帯主に対して交付するものとする。
  28. 医療保険制度における社会保障・税番号制度の活用に関する調査研究事業 報告書(抄) (pdf)」『www.mhlw.go.jp』厚生労働省、2016年3月。2023年8月4日閲覧

    33ページ
    (b)レセプト受付件数
    支払基金及び国保連合会における受付件数の合計は、年間約20億件である。そのうち支払基金における受付件数は年間約9.8億件、国保連合会における受付件数は、年間10億件発生している。

    34ページ
    (c)受付件数における資格返戻件数(再審査請求分)の割合
    支払基金及び国保連合会において、年間で合計約20億件の受付件数に対して、資格返戻件数(再審査請求分)は年間で約500万件発生しており、その割合は0.27%である。
  29. 医療保険制度における社会保障・税番号制度の活用に関する調査研究事業 報告書(抄) (pdf)」『www.mhlw.go.jp』厚生労働省、2016年3月。2023年8月4日閲覧
    37ページから48ページ
    (3)資格過誤に関わる業務量の推計
  30. 第211回国会 参議院 地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員会 閉会後第1号 令和5年7月26日”. kokkai.ndl.go.jp. 国会会議録検索システム (2023年7月26日). 2024年2月10日閲覧。

    国務大臣(加藤勝信君)
     医療機関等によりレセプトを返戻することなく最新の保険者に自動的に振り替わる、いわゆるレセプト振替機能が備わったことで、返戻レセプトの件数は、オンライン資格確認の本格運用の開始前と比べて、直近の状況では約四割減少しているという効果が生じているところでございます。
     こうしたオンライン資格確認には、効率的な医療システムの実現といった観点から今申し上げたメリットがあり、オンライン資格確認を運用開始している医療機関や薬局からは、レセプトの返戻に関する事務負担を軽減することができたという声を頂戴しているところでございます。
  31. 河野大臣記者会見・マイナンバー情報総点検大臣会見(令和5年12月12日)”. www.digital.go.jp. デジタル庁 (2023年12月12日). 2023年12月28日閲覧。

    (問)マイナ保険証の利用率が低いことが指摘されていると思うのですけれども、来年の秋に向けてこの課題についてどのように乗り越えるのか、大臣のお考えをお聞かせください。

    (答)利用率と利用数とあると思っています。利用率はオンライン資格確認がかなり急速に伸びましたので、分母が大きくなったので、率は少し下がったというところはあると思いますが、利用数を増やしていかないといけないと思います。
  32. 厚生労働省の発表[198]によると、対象自治体は茨城県鹿嶋市、愛知県瀬戸市、三重県玉城町、大阪府河内長野市、和歌山県御坊市[199]
  33. 厚生労働省の発表[210]によると、対象自治体は山形県山形市[211]、福島県いわき市、富山県富山市[206]、大阪府堺市、愛知県名古屋市、福岡県大牟田市

出典

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関連項目

外部リンク

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