会津武家屋敷

会津武家屋敷(あいづぶけやしき)は、福島県会津若松市東山町石山にある、歴史をテーマとする野外博物館[1]会津藩家老であった西郷頼母の邸宅を中心に、復元または移築された歴史的建造物が建ち並ぶ[1][8][7]。運営主体は株式会社素対館(そついかん)[5][6]

会津武家屋敷
家老屋敷 中庭
家老屋敷 中庭
施設情報
テーマ 歴史[1][2]
キャッチコピー 歴史感動ミュージアム[3][4]
事業主体 株式会社素対館
管理運営 株式会社素対館[5][6]
面積 7,000[7]
開園 1975年(昭和50年)[8]
所在地 965-0813
福島県会津若松市東山町大字石山字院内1
位置 北緯37度29分06.7秒 東経139度57分13.2秒
公式サイト http://bukeyashiki.com/

歴史

1975年(昭和50年)に、会津の武士道精神を後世に伝えるべく、西郷頼母邸などを復元し開場した[8]。当時の運営会社は施設名と同じ会津武家屋敷で[9]、初代館長は高木厚保が務めた[10]。高木は若松ガスの社長で、会津若松商工会議所会頭も務めたことがあり、会津武家屋敷の建設などを通して、会津の観光にも影響を与えた[11]。翌1976年(昭和51年)5月4日には[12]、園内に移築された[3]旧中畑陣屋主屋が福島県の重要文化財(建造物)に指定された[12]。その後、会津武家屋敷は観光バスが必ず立ち寄るような定番の観光スポットとして定着した[13]

1987年(昭和62年)、河沼郡河東町(現・会津若松市)に「会津藩校日新館」を設置し、会津武家屋敷が運営を行った[9]。日新館は減価償却が終わった会津武家屋敷の黒字分で補填することで、運営が為された[13]。2000年(平成12年)5月、開館25周年記念として、西郷四郎像を建立した[14]。2003年(平成15年)、会津にゆかりのある作家・早乙女貢の特別展を開催した[15]

2005年(平成17年)4月、親会社の若松ガスが昭和シェル石油に営業譲渡されることが発表された[11][16]。若松ガスは、会津武家屋敷や日新館、東山温泉の旅館の経営不振を若松ガスが債務保証し、借り入れが増大したことが譲渡に至った理由と公表[16]、高木社長は「観光業をこれ以上進めていくのが難しかった」と会見で語った[11]。同年12月27日、新しい運営会社となる株式会社素対館が設立された[5][6]。素対館は会津中央病院を運営する一般財団法人温知会の関連会社である[17]。なお、日新館は会津若松の経済界が設立した新会社「有限会社会津武士道」に譲渡した[18]

2011年(平成23年)7月は、福島第一原子力発電所事故の影響で、入場者数が前年同月比64%減となった[19]。一方、2013年(平成25年)1月には大河ドラマ八重の桜』放送開始の影響で、入場者数が前年同月比5割増となった[20]。2020年(令和2年)4月18日から6月30日まで、感染防止のため休業した[8]

主な施設

総敷地面積7,000(≒23,140.5 m2)の中に復元された歴史的建造物が建ち並ぶ[7]。建物は民家作りを得意とした建築家の山本勝巳が手掛けたもので、山本の代表作の1つであった[21][22]。各施設には、QRコードを読み取れば音声案内を再生する「音声こんしぇるじゅ」が設置されている[2]。売店と食事処はバリアフリー対応であるが、歴史的建造物の建つゾーンは段差がある[4]

旧中畑陣屋
旧中畑陣屋
中畑村(現・西白河郡矢吹町中畑)にあった江戸時代の代官所を移築復元したもの[3]寄棟造で玄関に唐破風があり、内部は武家屋敷風(書院造[7])でありながら、茅葺屋根や土間などに庶民の住宅に使われる手法が使われている[3][7]
天保8年(1837年)に[3]5,000[2]旗本の松平軍次郎の代官所として建築され、明治維新後は住宅として使われていた[3]。会津武家屋敷の整備中に所有者の岡崎家から譲受し、移築した[3]福島県指定重要文化財[2][3][7](指定名称は「旧中畑陣屋主屋」[12])。
茶室
鶴ヶ城本丸にあった茶室「嶺南庵麟閣」(れいなんあんりんかく)を復元したもの[1]。本来の麟閣は、会津藩主・蒲生氏郷に招かれた千少庵千利休の息子)が造ったとされる茶室である[1]
藩米精米所
白河藩が使用していた、当時東北一の規模とされた精米所を移築復元したもの[2]。直径4 m水車を当時と同じく水力だけで回転させている[2]。現役時代は1日に16俵の精米が可能であったとされる[2]
会津くらしの歴史館
古代から江戸時代までの会津の暮らしについて展示を行う施設[3]
手作り体験館
赤べこ[1][3][4]起き上がり小法師の絵付け[3][4]ガラスの絵彫り[1][3]弓道など[3][4]の体験活動を提供する施設[1][3][4]
郷工房・古今
陶器・漆器、民芸品地酒伝統工芸品などの土産を販売する[2]。施設見学をせず、土産物を購入するために立ち寄る客もいる[2]
お食事処・九曜亭
こづゆ棒鱈煮・桜肉などの[3]会津の伝統料理[1][2][5][6][23]や、オリジナル料理を提供する[2]。メニューによっては、会津漆器に盛り付けて供される[2][3]
西郷四郎
西郷頼母の養子[3][23]、大技・山嵐を生み出した柔道家・西郷四郎の像[3][14]。台座を含めた像高は約4 mで、四郎が山嵐で対戦相手を投げる姿を像にしている[14]。武家屋敷入り口の表門前にある[3]
佐々木只三郎の墓
坂本龍馬を斬ったとされる、京都見廻組の佐々木只三郎の墓[23]。佐々木は会津の出身で、紀三井寺和歌山県和歌山市)から佐々木の古い墓石をもらった会津の有志が建てたものとされる[24]

家老屋敷

表玄関

1,700石を給されていた[7]西郷頼母の邸宅を復元した家老屋敷[1][7]は、敷地面積2,400坪(≒7,933.9 m2[3][23]建築面積280坪(≒925.6 m2)の建築物で[2][3][7][23]、会津武家屋敷最大の見どころである[7]。家老屋敷を再現した施設は、日本国内で珍しい存在である[23]。内部は歴史資料館となっている[3]。本来の西郷邸は鶴ヶ城(若松城)北追手門前にあった[8]

屋敷はケヤキヒノキスギ材で建てられた[2][4]。その内部は38室あり、328枚の畳を敷き詰め[2]、御成御殿から藩政の執務室、奥の間、台所、浴室まで忠実に再現している[7]。各々の部屋で武具・台所用品などを展示し、西郷の寝室であった「奥一の間」には妻子の人形がある[3]。最も格式高い「御成御殿」では、藩主・松平容保を西郷が迎え入れる様子を人形で再現している[3]

敷地には家財道具や武器を保管していた蔵を利用した「会津歴史資料館」[25]と、家臣の居宅があった片長屋を利用した「第二資料館」がある[3]。会津歴史資料館は特別展を開催する[3]。第二資料館は、藩校日新館什の掟に関する展示や、西郷の娘が自決する場面を再現した蝋人形、日本初の女子留学生である大山捨松の蝋人形などがある[3]

ロケ地

会津武家屋敷は、文化庁の「全国ロケーションデータベース」に収録されている[26]

利用案内

  • 営業時間:8時30分から17時まで[1][7]
    • 冬季(12月から3月まで)は9時から16時30分まで[1][7]
  • 定休日:12月から2月までの木曜日と金曜日(臨時営業あり)[2]
  • 入場料:大人850円、中高生550円、小学生450円[1][7]
  • 交通アクセス

会津若松の城下町から東山温泉へ向かう道中にある[7]。付近には、歴代会津藩主が眠る院内御廟や、新選組局長・近藤勇の墓など歴史資源が点在する[8]

脚注

  1. 会津武家屋敷”. 旅東北 - 東北の観光・旅行情報サイト. 東北観光推進機構. 2022年5月15日閲覧。
  2. 水島彩恵 (2021年9月7日). 【コロナ対策情報付き】会津武家屋敷の見どころを徹底紹介!激動・幕末会津の世界に浸る”. 東京ウォーカー(全国版). KADOKAWA. 2022年5月15日閲覧。
  3. 髙松夕佳 (2017年2月15日). 幕末の暮らしを体感するミュージアム。「会津武家屋敷」で会津人の心意気に触れる”. ぐるたび. ぐるなび. 2022年5月15日閲覧。
  4. 会津武家屋敷”. 会津若松観光ナビ. 会津若松観光ビューロー. 2022年5月15日閲覧。
  5. お取引先企業紹介コーナー/株式会社 素対館 会津武家屋敷”. 会津信用金庫. 2022年5月15日閲覧。
  6. 会津武家屋敷(観光施設)/会社データ”. ふくしまニュースリリース. 福島民報 (2010年4月19日). 2022年5月15日閲覧。
  7. 会津武家屋敷”. 会津物語. 一般社団法人ニッポニア・ニッポン. 2022年5月15日閲覧。
  8. 息づく歴史堪能して 会津武家屋敷”. 福島民友 (2020年7月28日). 2022年5月15日閲覧。
  9. "「日新館取得」先送り 会津若松・河東合併協、反対意見配慮"朝日新聞2005年1月19日付朝刊、福島版25ページ
  10. 「姿三四郎を追って 3 家老が求め養子縁組」朝日新聞2010年1月4日付朝刊、福島中会版29ページ
  11. 町田徳丈"若松ガス・若松ガス燃料機器 昭和シェル石油に営業譲渡 7月めど 「武家屋敷」不振など経営圧迫"毎日新聞2005年4月22日付朝刊、福島版19ページ
  12. 福島県 国・県指定等文化財一覧”. 福島県教育庁文化財課 (2021年6月1日). 2022年5月15日閲覧。
  13. 「若松ガス 会津拠点にユニーク構想次々」日本経済新聞1990年9月4日付朝刊、地方経済面東北B24ページ
  14. 窪田淳"「姿三四郎」のモデル・西郷四郎の銅像が完成 若松「会津武家屋敷」"毎日新聞2000年5月8日付朝刊、福島版
  15. 岩佐淳士「作家・早乙女貢さんの特別展開催 会津若松」毎日新聞2003年5月29日付朝刊、福島版19ページ
  16. 「若松ガス、昭和シェルに営業譲渡 観光事業不振で経営圧迫」朝日新聞2005年4月22日付朝刊、福島中会版31ページ
  17. 「日新館、時代劇の聖地に 映画撮影所の機能も」読売新聞2006年3月21日付朝刊、福島版35ページ
  18. 「日新館、再出発へ 新経営陣に千葉真一さん 映画制作にも活用 会津若松」朝日新聞2006年3月21日付朝刊、福島中会版35ページ
  19. 西村宏治・高橋昌宏"「支援を」個人客が下支え 6県夏祭り客数「例年並み」"朝日新聞2011年9月1日付朝刊、宮城版28ページ
  20. 乾達"「八重の桜」効果、震災前と比べ入場者が5割増 武士道精神を再評価も"毎日新聞2013年2月17日付朝刊、福島版23ページ
  21. 「山本勝巳氏」日本経済新聞1991年9月26日付朝刊、35ページ
  22. 「山本勝巳氏(建築家、俳優山本学、圭、亘さんの父)」読売新聞1991年9月26日付朝刊、東京版社会面31ページ
  23. 会津武家屋敷”. 八重が生まれた「時代」|八重のふるさと、福島県. 福島県観光交流局観光交流課. 2022年5月15日閲覧。
  24. 佐々木葉月「わが街の自慢の史跡・記念碑 佐々木只三郎の墓」朝日新聞2004年2月26日付朝刊、和歌山版2、29ページ
  25. 武家屋敷 場内詳細案内”. 会津武家屋敷. 2022年5月15日閲覧。
  26. 会津武家屋敷(福島県)”. 【ロケ地 検索】全国ロケーションデータベース. 文化庁. 2022年5月15日閲覧。
  27. 【ドラマ・西部警察(上)】PART3・9話 福島県内に名優の足跡 (2021年2月1日). 2022年5月15日閲覧。
  28. 「米国の撮影隊、江戸時代を撮る 会津若松で映画撮影」朝日新聞2002年10月22日付朝刊、福島版27ページ
  29. 町田徳丈「映画、TV用に江戸時代の歴史撮影 会津若松コミッションが協力」毎日新聞2002年10月25日付朝刊、福島版19ページ
  30. 「米のドキュメンタリー番組 会津の武家屋敷で収録」読売新聞2002年10月22日付朝刊、福島版30ページ
  31. ロケ実績/H21年ロケ実績”. 会津若松フィルムコミッション. 2022年5月15日閲覧。
  32. 古賀重樹"小泉尭史監督「蜩ノ記」を映画化 黒澤直伝張り詰めた現場"日本経済新聞2013年7月9日付夕刊、16ページ
  33. 「綾瀬さん まだまだ活躍 ロケ地5か所に看板」読売新聞2014年4月19日付朝刊、福島2、34ページ
  34. ロケ実績/令和2年ロケ実績”. 会津若松フィルムコミッション. 2022年5月15日閲覧。
  35. 会津武家屋敷は歴史感動ミュージアム”. 会津武家屋敷. 2022年5月15日閲覧。
  36. 「高速バスの終着 東山温泉へ延伸 いわき・郡山・若松線」朝日新聞2012年9月14日付朝刊、福島中会版25ページ
  37. 「高速バス「武家屋敷」発着も 郡山-会津若松 1日3往復 新幹線にも接続」読売新聞2012年9月20日付朝刊、福島2、28ページ

関連項目

外部リンク

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