安達太良山
安達太良山(あだたらやま)は、福島県中部にある活火山である。日本百名山、新日本百名山、花の百名山およびうつくしま百名山に選定されている。山頂には二等三角点「大関平」1699.6m が設置されている。別名は、岳山(だけやま)、安達太郎山。
| 安達太良山 | |
|---|---|
![]() 南東から 大玉村より撮影 | |
| 標高 | 最高峰 箕輪山 1,728[1] m |
| 所在地 |
福島県福島市・二本松市・郡山市 安達郡大玉村・耶麻郡猪苗代町 |
| 位置 | 北緯37度38分50秒 東経140度16分51秒[1] |
| 山系 | 奥羽山脈南部 |
| 種類 | 成層火山 (活火山ランクB) |
| 最新噴火 | 1900年 |
![]() 安達太良山 (福島県) ![]() 安達太良山 (日本) 安達太良山(箕輪山)の位置
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特徴
玄武岩-安山岩質の成層火山群で数万年前までは、マグマ噴出を繰り返す活動が活発な火山であったが徐々に沈静化。約2,400年前の噴火の際のマグマ噴出以降は、時折、マグマ水蒸気爆発を繰り返す程度となる。
火山活動
約80万年前の大規模な火砕流の噴出で始まったとされ[3]、その後溶岩流を噴出する活動に移行した[4]。藤縄明彦 (1980)[5] は、地質学的に活動を三期に分けた。
- 第1期
- 約45万年前から60万年前の鬼面山などの活動、約35万年前の前ヶ岳を中心とした活動。
- 第2期
- 活動が最も活発であった時期で、約25万年前に箕輪山から和尚山にかけての山体主要部を形成。この時期におけるマグマ噴出率は最大であって、1,000年あたり0.1km3と見積もられる[4]。
- 第3期
- 南北に連なる鬼面山、箕輪山、鉄山、安達太良山、和尚山の上部を形成。約12万年前以降から約8万年間の活動が平穏な期間をはさみ約3万年前からは、1万年から2万年間隔で小規模なマグマ噴出が繰り返された[3]。1万年前からは沼ノ平火口からのブルカノ式噴火を6回繰り返し、最新のマグマ噴出活動は約2,400年前であるが[4]、少量の堆積物を残すような活動は500年から1,500年間隔で生じている[3]。約2,400年前の活動では酸川流域に、沼ノ平火口壁崩壊に伴うラハール(火山泥流)堆積物を残している[3][6]。
有史以降
- 1899年(明治32年)
- 年初から沼ノ平火口で噴気活動が活発化し火焔現象を観測。
- 8月24日 水蒸気噴火。25日噴気孔縁を破壊し、灰や硫黄泥を噴出。
- 1900年(明治33年)7月17日 沼ノ平火口で中規模な水蒸気噴火。火山爆発指数:VEI2
噴出物総量1.1×106m3。低温の火砕サージ。沼ノ平に長径300m、短径150mの火口を生じた。火口の硫黄採掘所全壊。死者72名、負傷者10名。山林耕地被害。 - 1950年(昭和25年)2月25日 噴煙。噴煙高度50m。
- 1995年(平成7年) 火山性微動。
- 1996年(平成8年) 沼ノ平火口で泥水噴出。
- 1997年(平成9年) 9月 火山ガスにより死者4名。(安達太良山火山ガス遭難事故)
- 1998年 - 2003年(平成10年 - 15年) 地熱活動が活発化。
観光
沼ノ平周辺の荒涼とした火山の景観がみどころ。また、ガンコウラン(岩高蘭)、クロマメノキ(黒豆の木)などの高山植物を始めとし、ヤエハクサンシャクナゲ(八重白山石楠花)、サラサドウダン(更紗灯台)、レンゲツツジ(蓮華躑躅)などが咲き誇り、田中澄江著『花の百名山』の一座にも選ばれている。この火口を中心とする優れた景観と、そこに生育する高山植物等を保護するため、磐梯朝日国立公園に指定されている。
また周辺には、岳温泉、奥岳温泉、塩沢温泉、野地温泉、横向温泉、沼尻温泉など、多くの温泉場がある。冬期には、あだたら高原、塩沢、箕輪の各スキー場が運営される。緩やかな山体から山スキーのメッカとしても名高い。
絵画
東山魁夷『青響』は、安達太良山の登山口のひとつ「旧土湯峠」あたりのブナ林をモチーフにした作品。[8]
硫黄鉱山
西側斜面、現在の沼尻元湯温泉と呼ばれる野湯がある一帯では昭和40年代まで硫黄の採掘が行われていた。1900年の噴火では鉱山に火砕流が到達し、多くの死者を出している。採掘された硫黄の搬出のために磐梯急行電鉄が敷設され、その終点である沼尻駅へは、鉱山から索道で硫黄が輸送されていた。
登山

山頂部の溶岩ドームは「乳首」と呼ばれる


かつては火口を横切る登山道があったが、1997年の火山ガス事故発生以降は通行禁止となっている

小屋より湯川源流部を遡る鉄山への登山道があったが、こちらの道も火山ガス発生のため現在通行禁止となっている
全体として緩やかな山体で、夏期でも奥岳から薬師岳にスキー場のゴンドラリフトが運行されており、標高1300メートル付近までは難なく上れるため、初心者でも比較的登りやすい。主な登山口は、奥岳(二本松市)、塩沢温泉(二本松市)、野地温泉(福島市)、沼尻(猪苗代町)、石筵(郡山市)である。稜線付近は森林限界を超えているために樹木がほとんど無い為に身を隠せるような場所はなく、雷雲がやってきた際は非常に危険である。加えて、悪天候時は稜線付近に強風が吹き荒れる上に、目標物に乏しく視界不良時は立ち入りは避けた方がよい。
1997年に沼ノ平火口で登山者4名が有毒火山ガスのため死亡した。この事故以来沼ノ平コースとくろがね小屋〜鉄山コースは通行禁止となった。2020年現在も沼ノ平火口の周辺は火山ガスを噴出し続けている。
登山コース
- 奥岳登山口 - 勢至平 - くろがね小屋 - 峰の辻 - 安達太良本山
- 所要約3時間
- 奥岳登山口 - 薬師岳 - 五葉松平 - 安達太良本山
- 所要約2時間30分、奥岳 - 薬師岳はゴンドラ「あだたら山ロープウェイ」片道1,050円を使う
- 表登山口 - 仙女平 - 安達太良本山
- 所要約3時間30分
- 塩沢温泉登山口 - くろがね小屋 - 峰の辻 - 安達太良本山
- 所要約3時間30分、塩沢温泉 - くろがね小屋は渓谷沿いの道。冬季通行止
- 途中に滝(三階滝・八幡滝)や巨大な岩(屏風岩)などがあり、紅葉がとても美しい
- 途中、深い渓谷沿いの鎖場など危険な箇所あり
- かつて八幡滝から僧悟台までの登山道があったが現在は廃道
- 沼尻登山口 - 胎内岩 - 鉄山避難小屋 - 鉄山 - 安達太良本山
- 所要約3時間15分、硫黄川流域の荒涼とした風景と胎内岩の岩くぐりが楽しめる
- 沼尻登山口 - 障子ヶ岩 - 船明神山 - 安達太良本山
- 所要約3時間15分
- 野地温泉登山口 - 鬼面山 - 箕輪山 - 鉄山避難小屋 - 鉄山 - 安達太良本山
- 所要約4時間45分(縦走コース)
- 横向登山口 - 箕輪山 - 鉄山避難小屋 - 鉄山 - 安達太良本山
- 所要約3時間45分
- 銚子ヶ滝登山口 - 和尚山 - 安達太良本山
- 所要約4時間。途中、石筵川上流の渡渉があり水量の多い時期は要注意
参考画像
西方上空から見た安達太良山
安達太良山頂から見た船明神山
左奥は磐梯山、右奥は飯豊山
厳冬期の沼ノ平
脚注
注釈
- GNSS測量等の点検・補正調査による2014年4月1日の国土地理院『日本の山岳標高一覧-1003山-』における改定値。なお、旧版での標高は1,710m。
出典
- “日本の主な山岳標高(福島県)”. 国土地理院. 2011年11月15日閲覧。
- “標高値を改定する山岳一覧 資料2”. 国土地理院 2014年3月26日閲覧。
- 山元孝広、阪口圭一、テフラ層序からみた安達太良火山, 最近約25万年間の噴火活動 地質学雑誌 Vol.106 (2000) No.12 P865-882
- 安達太良山 気象庁
- 藤縄明彦、安達太良火山の地質と岩石 岩石鉱物鉱床学会誌 Vol.75 (1980) No.12 P385-395
- 今井英治ほか、安達太良山・酸川の複数のラハール堆積物に含まれる埋没林群の組成と年代 福島大学理工学群共生システム理工学類 共生のシステム : 磐梯朝日遷移プロジェクト 2014/3 14巻
- “火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山”. 気象庁. 2016年2月25日閲覧。
- 征, 大内. “テーマで歩く山の旅 #01 安達太良山×東山魁夷”. 山旅旅. 2020年10月12日閲覧。
参考文献
- 長谷川健、藤縄明彦、伊藤太久、磐梯・吾妻・安達太良:活火山ランクBの三火山 質学雑誌 Vol.117 (2011) No.Supplement p.S33-S48
- 安達太良山 気象庁
外部リンク
- 安達太良山 - 気象庁
- 安達太良山の火山観測データ 気象庁
- 日本活火山総覧(第4版)Web掲載版 安達太良山 (PDF) - 気象庁
- 日本の火山 安達太良山 - 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
- 安達太良山 - Global Volcanism Program, スミソニアン博物館
- 防災関連
- 吾妻山・安達太良山・磐梯山 火山防災副読本 防災科学技術研究所
- 吾妻山・安達太良山・磐梯山火山防災協議会
- 二本松市防災マップ 二本松市



