恋と国会

恋と国会』(こいとこっかい)は、西炯子による日本青年漫画国会を舞台に、地下アイドルという過去を持つ山田一斗と、世襲政治家海藤福太郎という、対照的な2人の新人議員の恋模様を描く[2]。『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)において、2018年から連載中。2019年に第1巻が出版され、第1巻には「第2巻は2021年夏頃発売予定」とアナウンスされていたが、現在は長期休載中であり、2巻以降も出版されていない。

恋と国会
ジャンル 青年漫画ラブコメディ、政治漫画
漫画
作者 西炯子
出版社 小学館
掲載誌 週刊ビッグコミックスピリッツ
レーベル ビッグコミックス
発表号 2018年49号 -
発表期間 2018年11月5日[1] -
巻数 既刊1巻(2019年11月29日現在)
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画
ポータル 漫画

あらすじ

内閣総理大臣経験者を父に持つ新人国会議員・海藤福太郎は、初登院の日、国会議事堂正門前で、かつて街角で自分とぶつかった女性と顔を合わせる。その女性は山田一斗といい、福太郎と同期当選の国会議員であった。

地下アイドルから政治家に転身した一斗は初日から常識外れの行動を見せ、それを見かねた福太郎は行きがかり上、彼女の面倒を見ることになる。

登場人物

山田 一斗(やまだ いっと)
本作の主人公[3]であるが、出自や自身を公認させた人物、いかなる選挙運動を行っていたのかが描かれておらず、謎の多い人物として扱っている。東京1区選出の女性衆議院議員で、所属政党は与党の「大国民党」。年齢は25歳。
政治家になる前は地下アイドルとして活動しており[4]、当時の仲間が日本社会に失望して自殺したことを機に、国民が日本を「まあまあいい国」と思えるようにしたいと政治の道を志した。性格は明るく[5]、まっすぐだが[3]、政治に関しては素人である[6]。国会議員となった後も、党首への投票が求められる首班指名で自身に投票するなど永田町の常識に囚われない言動を見せる[7]
海藤 福太郎(かいとう ふくたろう)
本作のもう1人の主人公[3]であり、基本的に彼の視点で描かれている。神奈川15区選出の男性衆議院議員で、所属政党は大国民党。年齢は25歳。政治家一族出身の三世議員で、内閣総理大臣経験者を父に持つ[8]。その出自ゆえに政界の裏も表も知り尽くしており[2]、不満を抱えつつも器用に政治家として振る舞っている[3]。一斗とは議員に当選する前から因縁があり、当選後も彼女の面倒を見ている[7]
剣崎 速人(けんざき はやと)
北海道6区選出の男性衆議院議員。所属政党は野党の「みんみん党」。年齢は29歳。司法試験医師国家試験に合格した経歴を持つ、キザな男。一斗や福太郎とは同じ選挙で初当選を飾った同期であり、型破りな一斗に興味を抱いたことがきっかけで、一斗や福太郎と交流を持つようになる。
大黒 栄介(おおぐろ えいすけ)
大国民党総裁であり、内閣総理大臣。自身の汚職疑惑で衆議院を解散、直後の総選挙で勝利を収める。
手嶋 賢介(てじま けんすけ)
大国民党幹事長。首班指名選挙での一斗の行動を注意した。
尾金 有人(おかね あると)
現職外務大臣。党の要職を歴任し、大国民党の最大派閥「尾金派」のトップに立ち、次期総裁候補と目される。

作風

本作は政治家の世界を舞台としたラブコメディであり、国会に関する情報を盛り込みつつストーリーが展開されている[9]。特に一斗は政界の事情に通じていないという設定のキャラクターであり、本作は彼女の目線で物語を追うことで、政治のいろはを学ぶことができるという仕組みになっている[10]。他方で、本作では世襲議員にもスポットが当てられており、彼らが抱える葛藤についても描写がなされている[11]

作者の西は主に少女漫画雑誌で作品を発表してきた漫画家であり[3]、本作にも少女漫画のメソッドが取り入れられている[注釈 1]。他方で、青年漫画雑誌の『週刊ビッグコミックスピリッツ』での連載ということを踏まえ、本作では政治家や政治家秘書経験者、ジャーナリストなど、多数の関係者に取材を行い、政治についてしっかり描写する方針がとられている[2]

一斗と福太郎のキャラクター設定については、まず庶民的なキャラクターとして一斗を創造し、その後、「『差』のある男女がつながっていくのが少女漫画のセオリー」という考えから、一斗と対照的なキャラクターとして福太郎を生み出したという[8]。一方で2人の所属政党は同じであり、かつその政党は作中世界において与党という位置づけである[7]。これは「権力の中枢に潜り込んでいかないと物事は変えられない」という考えに基づくものである[3]

制作背景

西によると、本作の原案は「女の子が総理大臣になる話」である[6]。西は「大人の恋愛マンガの旗手」という評価を受けていたが、一方で、女性が総理大臣になる物語を読みたいという思いも抱いており、そこから、どうせなら自分で描こうと思い至ったのだという[3]。掲載誌には当初、小学館の女性向け漫画雑誌『月刊フラワーズ』を考えていたが、政治を題材にした漫画は女子に避けられる、と反対に遭う[2]。そんな折に『週刊ビッグコミックスピリッツ』編集部から声を掛けられ[6]、同誌での連載に至った。

なお、掲載誌が当初の予定から変更されたことに伴い、本作は原案から「アプローチを少し変え」た作品となっている[6]。具体的には、原案では政治の要素は恋物語の「味付け」に過ぎなかったが、知己の編集者から「青年誌の読者は知識を得ることに価値を感じる」とアドバイスを受け、政治についてしっかりと描写した上で恋物語を描くという方針に切り替えたという[2]

書誌情報

  • 西炯子 『恋と国会』 小学館ビッグコミックス〉、既刊1巻(2019年11月29日現在)
    1. 2019年12月4日初版第1刷発行(2019年11月29日発売[小 1])、ISBN 978-4-09-860399-2

脚注

注釈

  1. 一例として、一斗と福太郎の初接触は「街角で出合い頭にぶつかる」というものであり、これは少女漫画の典型的な導入である[4]

出典

  1. 「娚の一生」「姉の結婚」の西炯子がスピリッツ初連載、恋愛×政治を描く”. コミックナタリー. ナターシャ (2018年11月5日). 2020年2月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月11日閲覧。
  2. 高柳哲人 (2020年1月18日). “「スピリッツ」連載で話題の国会ラブコメ、支持率上昇中…西炯子さん著「恋と国会」1巻”. スポーツ報知 (報知新聞社). オリジナルの2020年1月19日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200119204943/https://hochi.news/articles/20200113-OHT1T50058.html 2020年7月3日閲覧。
  3. 漫画家・西炯子氏、「政治に無関心な日本人は“ゆでガエル”」”. NEWSポストセブン. 小学館. p. 1 (2019年12月27日). 2020年2月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月11日閲覧。
  4. いしかわじゅん (2019年12月7日). “少女漫画で挑む「政治」”. 毎日新聞朝刊 (毎日新聞社): p. 17
  5. アリー・マントワネット (2019年12月6日). 『恋と国会 1』西炯子著 政治家だって人間なんだ”. 山陽新聞デジタル. 山陽新聞社. 2020年1月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年7月3日閲覧。
  6. 兵藤育子「西 炯子『恋と国会』1」『an・an』第51巻第5号、マガジンハウス、2020年2月5日、118頁。
  7. 松尾慈子 (2019年12月13日). 西炯子から目が離せない 「恋と国会」”. 朝日新聞デジタル. 漫画偏愛主義. 朝日新聞社. 2020年1月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年7月3日閲覧。
  8. 西炯子(インタビュアー:若林良)「「あくまでも庶民目線で 政治に“えっ”となる視点を忘れずにいたい」『恋と国会』西炯子(にし・けいこ)さんインタビュー」『選挙ドットコム』、2020年3月23日。 オリジナルの2020年4月11日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20200411011824/https://go2senkyo.com/articles/2020/03/23/50033.html2020年4月11日閲覧
  9. 「娚の一生」の西炯子が政界を舞台に正反対の若き男女描く「恋と国会」1巻”. コミックナタリー. ナターシャ (2019年11月29日). 2019年12月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月11日閲覧。
  10. kuu (2019年12月23日). 2020年になる前に読もう! 政治を憂うあなたにオススメの話題作『恋と国会』”. マンガ新聞. 2020年2月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月11日閲覧。
  11. 南信長 (2019年12月27日). 西炯子「恋と国会」 ふたりの新人議員と「永田町の常識」”. 好書好日. コミック・セレクト. 朝日新聞社. 2019年12月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月11日閲覧。

小学館公式サイト

以下の出典は『小学館公式サイト』内のページ。書誌情報の発売日の出典としている。

  1. 恋と国会 1”. 2020年2月11日閲覧。

外部リンク

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