瀬戸大橋線

瀬戸大橋線(せとおおはしせん)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)と四国旅客鉄道(JR四国)が運営する鉄道路線のうち、岡山県岡山市北区岡山駅から瀬戸大橋を通り香川県高松市高松駅に至る区間の愛称である[2]。以下の路線から構成されている。

瀬戸大橋線
シンボルマーク
宇野線区間を走行する快速「マリンライナー」(2021年2月)
宇野線区間を走行する快速「マリンライナー」(2021年2月)
基本情報
日本の旗 日本
所在地 岡山県香川県
起点 岡山駅
終点 高松駅
駅数 20駅
経由路線 宇野線本四備讃線予讃線
路線記号 M(宇野線・本四備讃線 岡山 - 児島間)
開業 1988年3月20日(暫定開業)[1]
全通 1988年4月10日(全面開業)[1]
所有者 西日本旅客鉄道
(岡山 - 茶屋町間)
日本高速道路保有・債務返済機構
(茶屋町 - 宇多津間)
四国旅客鉄道
(宇多津 - 高松間)
運営者 西日本旅客鉄道(第1種)
(岡山 - 児島間)
四国旅客鉄道(第1種)
(児島 - 高松間)
日本貨物鉄道(第2種)
路線諸元
路線距離 71.8 km
軌間 1,067 mm
線路数 単線複線(詳細は#路線データ参照)
電化方式 直流1,500 V 架空電車線方式
最高速度 130 km/h

旅客案内では、原則として本四備讃線に入る列車に対してのみ瀬戸大橋線の呼称が使用されているが[3]、茶屋町駅から岡山方は瀬戸大橋線系統が本線扱いとなっているため、2020年ダイヤ改正時点では同区間でのみの折り返し運転列車についても瀬戸大橋線として案内され、茶屋町駅から宇野方面に入る列車のみを「宇野みなと線(宇野線)」として案内している。

概要

経路図
凡例
KBHFa
0.0 岡山駅
LSTR
宇野線を参照
BHF
14.9 茶屋町駅
LSTR
本四備讃線を参照
BHF+GRZq
27.8 児島駅 JR西日本JR四国
LSTR
本四備讃線
BHF
45.9 宇多津駅
LSTR
予讃線を参照
KBHFe
71.8 高松駅
瀬戸大橋線(香川県坂出市宇多津町

1988年昭和63年)3月20日、瀬戸大橋博覧会開催により茶屋町駅 - 児島駅間が暫定開業した。そして同年4月10日に全面開業し、従来運航されていた宇高連絡船に代わって本州四国を結ぶ幹線鉄道として機能している。

岡山駅で山陽新幹線に連絡し、同駅と四国各地を結ぶ特急列車が多数運行されているほか、首都圏と四国を結ぶ寝台列車サンライズ瀬戸」も運行されている。優等列車以外では岡山 - 高松間の快速「マリンライナー」の設定もある。また日本貨物鉄道(JR貨物)による貨物列車の運行も行われている。

全区間が直流電化されている。ただし、岡山県の宇野線区間には一部単線の区間があり、これが列車増発や所要時間短縮のボトルネックとなっている。そのため、瀬戸大橋線の輸送改善のため宇野線内で部分複線化および、高速化が行われている。だが開通後に、瀬戸大橋の桁下の島民から、列車通過時の騒音公害を提起され社会問題となったため、環境影響評価書の80ホンを超えないよう、減速運転をすることで決着した[4]。なお香川県は1990年度より2年間をかけ、岡山駅 - 高松駅間のミニ新幹線化につき調査を実施したが、瀬戸大橋を中心に建設費が1,600億から1,800億円かかり、収支が楽観できないという結果が出たため、断念している[5]

全線がIC乗車カードICOCA」および「SHIKOKU ICOCA」のエリアに含まれている[6][7]。2020年12月末時点で全国のJR会社境界がある路線の中で唯一、会社間を跨いでICカードを利用出来る路線となっている。また道路部分の債務償還が思うように進まず、鉄道部分の乗車が好調だったことから、児島駅 - 宇多津駅間は「公平性の担保」として、1996年1月10日から加算運賃(2019年10月1日時点で110円[8])が設定され、2001年に鉄道部分の債務4,900億円の償還完了後からは、道路との瀬戸大橋共用部の維持費として支払われる「本四利用料」や軌道維持費の一部に充当されている[9]

なお、瀬戸大橋区間には保安上の理由から下窓上昇式窓の車両や、橋上で長時間の緊急停車を余儀なくされる事態を考慮して、トイレ非設置の車両は営業運転できない(例外として、一段上昇窓を持つJR四国のキハ58系の一部には乗り入れ対応車が存在した)。そのため現在JR西日本から乗り入れてくる115系も下段固定窓に改造した車両のみ乗り入れるよう運用が限定されており、当初の「瀬戸大橋ブーム」の際に臨時で乗り入れた165系・167系にも同様の改造がされ、117系も一段下降窓を装備する100番台限定で使用された。またJR四国側も開業当時の普通列車の主力車両だった121系電車は乗り入れできない。このため、当初は東日本旅客鉄道(JR東日本)で廃車になっていた111系、後に113系を購入したり、乗り入れに特化した6000系電車を導入しなければならなったりするといった事情が存在する。

路線データ

瀬戸大橋線・瀬戸大橋区間
マリンライナー最後尾より)
  • 管轄・路線距離(営業キロ
    • 西日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者):
      • 岡山駅 - 児島駅間 27.8km
    • 四国旅客鉄道(第一種鉄道事業者):
      • 児島駅 - 高松駅間 44.0km
    • 日本貨物鉄道(第二種鉄道事業者):
      • 岡山駅 - 高松駅間 71.8km
  • 軌間:1067mm
  • 駅数:20(起終点駅含む)
  • 複線区間:早島駅 - 久々原駅間、茶屋町駅 - 高松駅間
  • 電化区間:全線電化(直流1500V)
  • 閉塞方式:自動閉塞式
  • 最高速度:
    • 茶屋町駅 - 児島駅間、宇多津駅 - 高松駅間 130km/h
    • 児島駅 - 宇多津駅間 120km/h
    • 岡山駅 - 茶屋町駅間 100km/h
  • 運転指令所
    • 岡山駅 - 児島駅間 岡山総合指令所
    • 児島駅 - 高松駅間 高松指令所
  • 平均通過人員(JR西日本管轄 2013年度)[10]
    • 岡山 - 茶屋町間 3万9124人/日
    • 茶屋町 - 児島間 2万7044人/日
  • 輸送密度(JR四国管轄、2013年度)[11]
    • 児島 - 宇多津間 2万1716人/日

運行形態

優等列車

昼行特急列車として、岡山駅と松山方面とを結ぶ「しおかぜ」15往復、岡山駅と高知方面とを結ぶ「南風」14往復、岡山駅と徳島駅とを結ぶ「うずしお」2往復(岡山駅 - 宇多津駅間で「南風」と併結)が運転されている。

また夜行列車として東京駅 - 高松駅間の寝台特急「サンライズ瀬戸」が1往復運転されている。

快速「マリンライナー」

岡山駅 - 高松駅間で運転される快速列車。日中には毎時2本・30分間隔の運転を基本としている。宇野線区間では妹尾駅か早島駅のいずれか一方に必ず停車するが、朝・夜にはこの2駅双方とも停車する列車もある。また早朝・深夜には大元駅・備前西市駅に停車する列車もある。本四備讃線区間・予讃線区間(茶屋町駅 - 高松駅間)では、途中児島駅・坂出駅のみに停車するが、早朝・深夜の列車は本四備讃線区間内が各駅停車、予讃線内坂出駅 - 高松駅間でも一部の途中駅に停車する(駅一覧参照)。

本州内の快速

2020年3月14日のダイヤ改正より新設された快速列車。岡山駅 - 茶屋町駅間で、12時台と13時台にそれぞれ1往復ずつ運転される。岡山駅 - 妹尾駅間は各駅に停車し、妹尾駅 - 茶屋町駅間の途中駅は無停車となる。

普通

各駅に停車する普通列車は、岡山駅 - 児島駅間の列車のほか、茶屋町駅から宇野線宇野駅方面へ直通する列車も運転されている。運転間隔は岡山駅 - 児島駅間で1時間に1 - 2本である。11時台にはこれに加えて、岡山駅 - 備前西市駅間の区間運転が1往復運行される。なお、以前は宇多津駅から予讃線多度津駅方面へ直通する岡山駅 - 観音寺駅土讃線琴平駅間の列車が運転されていたが、2019年3月16日のダイヤ改正により廃止された[12]

観光列車

休日を中心に瀬戸大橋アンパンマントロッコが岡山駅 - 高松駅間、岡山駅 - 土讃線琴平駅間で各1往復運転されている。

2016年7月1日からはそれまで岡山駅 - 宇野線宇野駅間で運転されていたLa Malle de Bois(ラ・マル・ド・ボァ)が、あらたに岡山駅 - 高松駅間でも運転されることとなり、列車名「ラ・マルせとうち」として週1本運転されていた[13]。2017年春から岡山駅 - 琴平駅間に「ラ・マルことひら」も設定され[14]、同年秋からは岡山駅 - 高松駅間の「ラ・マルせとうち」に代わり、岡山駅 - 琴平駅間で「ラ・マルことひら」が祝日に運転されている[15][16]

貨物列車

利用状況

2009年10月22日に瀬戸大橋線の利用者が2億人に達した。瀬戸大橋線の年間利用者数は、1993年度にピークになった1,094万人から下がりはじめ[17]、1998年度の神戸淡路鳴門自動車道の開通や、2008年度の高速道路休日1,000円、2010年度には瀬戸中央自動車道の料金割引の影響により、過去最低の720万人にまで減少した[18]。その後は徐々に回復し、横ばい傾向がみられる。

瀬戸大橋線の年間輸送人員(単位:千人)[19][20][21]
年度198819891990199119921993199419951996199719981999
輸送人員10,9979,87910,24510,90610,68010,9409,91910,22510,16910,1519,4688,969
年度200020012002200320042005200620072008200920102011[22]
輸送人員8,6788,5188,2378,0567,8727,8938,0008,2838,0047,2747,1997,273
年度2012[23]2013[24]2014[25]2015[26]2016[27]2017[28]2018[29]2019[30]
輸送人員7,4777,5747,4717,7937,8937,9717,8147,640

駅一覧

予讃線内は、快速「マリンライナー」の停車駅および貨物駅のみを記載。これ以外の駅については「予讃線#駅一覧」を参照。

  • (貨):貨物専用駅
  • 停車駅
    • 普通・快速・快速「マリンライナー」 …●印の駅は全列車停車、◆印の駅は半数程度が停車、▲印の駅は早朝・ラッシュ時・深夜に一部停車、|印の駅は全列車通過、宇多津駅(‖印):ホームは経由せず同駅構内の短絡線を経由する
    • 特急…#優等列車に挙げられている各列車記事を参照
  • 線路 … ‖:複線区間、◇・|:単線区間(◇は列車交換可能)、∨:ここより下は単線、∧:ここより下は複線
  • 駅番号 … JR四国区間は2006年3月1日より予讃線の駅番号として導入。JR西日本区間は2020年9月より順次導入予定[31]。JR西日本では「駅ナンバー」の表現を使用しているが、便宜上当稿では「駅番号」に統一する。
運行事業者 路線名 駅番号 駅名 駅間
営業キロ
累計
営業キロ
普通 快速 マリンライナー 接続路線 線路 所在地
岡山
から
路線
起点
から
西日本旅客鉄道 宇野線 JR-M01 岡山駅 - 0.0   西日本旅客鉄道:■ 山陽新幹線 山陽本線(JR-S01,JR-W01)・ 赤穂線(JR-N01)[* 1] 伯備線(JR-V01)[* 1] 津山線 吉備線(桃太郎線:JR-U01)
岡山電気軌道東山本線岡山駅前停留場(H01,S01)
岡山県 岡山市 北区
JR-M02 大元駅 2.5 2.5    
JR-M03 備前西市駅 2.0 4.5     南区
JR-M04 妹尾駅 3.8 8.3    
JR-M05 備中箕島駅 1.9 10.2    
JR-M06 早島駅 1.7 11.9     都窪郡
早島町
JR-M07 久々原駅 1.3 13.2    
JR-M08 茶屋町駅 1.7 14.9 茶屋町
から

0.0
西日本旅客鉄道: 宇野線(宇野みなと線)(宇野方面:JR-L08) 倉敷市
本四備讃線
JR-M09 植松駅 2.9 17.8 2.9     岡山市
南区
JR-M10 木見駅 2.7 20.5 5.6     倉敷市
JR-M11 上の町駅 4.1 24.6 9.7    
JR-M12 児島駅 3.2 27.8 12.9
四国旅客鉄道
(この間で瀬戸大橋を渡り瀬戸内海を横断する)
Y09 宇多津駅 18.1 45.9 31.0 四国旅客鉄道:●Y 予讃線(多度津方面:Y09) 香川県 綾歌郡
宇多津町
予讃線 高松
から

25.9
Y08 坂出駅 4.6 50.5 21.3     四国旅客鉄道:●Y 予讃線(多度津方面:Y08) 坂出市
Y06 鴨川駅 4.7 55.2 16.6      
Y04 国分駅 4.7 59.9 11.9       高松市
Y03 端岡駅 2.4 62.3 9.5      
Y02 鬼無駅 3.4 65.7 6.1      
- (貨)高松貨物ターミナル駅 1.4 67.1 4.7      
Y00 高松駅 4.7 71.8 0.0     四国旅客鉄道:●T 高徳線(T28)
高松琴平電気鉄道琴平線高松築港駅(K00,N00)
  1. 赤穂線は山陽本線東岡山駅、伯備線は山陽本線倉敷駅が路線の起終点であるが、運転系統上は岡山駅を起終点とする。

脚注

  1. “JR7社14年のあゆみ”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 9. (2001年4月2日)
  2. 「営業線区」『データで見るJR西日本2023』 (PDF) - 西日本旅客鉄道、2023年10月7日閲覧
  3. JRおでかけネット(西日本旅客鉄道)の岡山駅のページでは、同駅から児島・四国方面へ向かう列車に対しては「瀬戸大橋線」、宇野方面への列車に対しては「宇野みなと線(宇野線)」の名称が使用されている。同様に、駅コミ(四国旅客鉄道)の高松駅のページでも、岡山方面に対しては「瀬戸大橋線」、観音寺方面に対しては「予讃線」が用いられている。
  4. 瀬戸大橋開通30年③橋脚の島 30年経って変化は… 瀬戸内放送、2022年9月23日閲覧
  5. 香川県議会会議録 1992.10.07:平成4年9月定例会(第3日) 平井城一知事の答弁 - 香川県議会
  6. ご利用可能エリア|ICOCA:JRおでかけネット - 西日本旅客鉄道
  7. ICOCAガイド ご利用可能エリア - 四国旅客鉄道
  8. 新しい運賃・料金のご案内 (PDF) - 四国旅客鉄道、2019年10月22日閲覧
  9. 瀬戸大橋線における加算運賃の状況について - 四国旅客鉄道(2011年11月6日閲覧)
  10. 「区間別平均通過人員および旅客運輸収入(平成25年度)」『データで見るJR西日本2014』 (PDF) - 西日本旅客鉄道、2015年2月25日閲覧
  11. 平成26年3月期連結決算について (PDF) - 四国旅客鉄道、2014年5月9日(2015年2月25日閲覧)
  12. 2019年春ダイヤ改正について (PDF) - 西日本旅客鉄道株式会社岡山支社 2018年12月14日
  13. 観光列車「La Malle de Bois(ラ・マル・ド・ボァ)」新たなステージへ!この夏、瀬戸大橋を渡り高松へ運行開始、瀬戸内海を周遊する旅を演出します。JR西日本2016年5月30日
  14. “ラ・マルことひら”運転 - 鉄道ファン・railf.jp 鉄道ニュース、2017年4月3日
  15. “ラ・マル・ことひら”運転 -鉄道ファン・railf.jp 鉄道ニュース、2017年11月24日
  16. 瀬戸内堪能の観光列車「ラ・マル・ド・ボァ」、琴平乗り入れ - 日本経済新聞、2017年6月20日
  17. “JR瀬戸大橋線の利用者数が2億人 高速千円で逆風の中”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2009年10月23日). オリジナルの2014年4月7日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140407065732/http://www.asahi.com/kansai/travel/news/OSK200910230020.html 2020年10月25日閲覧。
  18. 道路・過去最高、鉄道・過去最低に/瀬戸大橋利用 - 四国新聞 2011年5月8日
  19. 四国地方における運輸の動き20年 (PDF) - 四国運輸局
  20. 四国地方における運輸の動き(平成20年度及び平成20年度第4四半期) (PDF) - 四国運輸局
  21. 四国地方における運輸の動き(平成22年度及び第4四半期) (PDF) - 四国運輸局
  22. 四国地方における運輸の動き(平成23年度第4四半期及び平成23年度)
  23. 四国地方における運輸の動き(平成24年度第4四半期及び平成24年度)
  24. 四国地方における運輸の動き(平成25年度第5四半期及び平成25年度)
  25. 四国地方における運輸の動き(平成26年度第5四半期及び平成26年度)
  26. 四国地方における運輸の動き(平成27年度報) (PDF) - 四国運輸局
  27. 四国地方における運輸の動き(平成28年度報) (PDF) - 四国運輸局
  28. 四国地方における運輸の動き(平成29年度報) (PDF) - 四国運輸局
  29. 四国地方における運輸の動き(平成30年度報) (PDF) - 四国運輸局
  30. 四国地方における運輸の動き(平成30年度報) (PDF) - 四国運輸局
  31. 岡山・福山エリア 8路線82駅への「駅ナンバー」の導入について - 西日本旅客鉄道、2020年7月28日

関連項目

外部リンク

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