犬吠埼マリンパーク

犬吠埼マリンパーク(いぬぼうさきマリンパーク[2]、英語: Inubosaki Marine Park Aquarium[5])は、千葉県銚子市にかつて存在した水族館。博物館法上の「博物館相当施設」である[10]。日本動物園水族館協会(JAZA)には加盟していない[10]。2018年1月31日に閉館した。

犬吠埼マリンパーク
Inubosaki Marine Park Aquarium

外観(2015年5月5日撮影)
施設情報
正式名称 犬吠埼マリンパーク
専門分野 総合
事業主体 株式会社犬吠埼マリンパーク
管理運営 株式会社犬吠埼マリンパーク
頭数 2,500点[1]
種数 230種[1][2]
最大水槽容量 5t(イワシ水槽)[3]
来園者数 約12万人(2000年代初頭)[4]
主な飼育動物
開館 1954年7月13日[7]
閉鎖 2018年1月31日[8]
所在地 〒288-0012
千葉県銚子市犬吠埼9575-1
位置 北緯35度42分25.7秒 東経140度51分54.6秒
アクセス 銚子電気鉄道線犬吠駅から徒歩約10分[2][9]

建物と館内

館内の水槽展示

犬吠埼の岬の上、太平洋を見下ろす高台に位置しており[11]、外観はピンク色で[11]、内装はタイル張りであった[6]。1階は「オーシャンホール」の名で南米アマゾン川の淡水魚やゴマフアザラシ、アフリカのワニなどを展示し、銚子漁港で多く水揚げされるイワシの大水槽も備え[5]、2階の「ファンタジーコーナー」はエイ、カニ、サメなどを、最奥部の「洞窟水槽」ではミズダコや北の海の生物を展示し、[5]屋上は展望台になっていた[5]。

館内の恐竜は、コンピュータ制御で人の通過を感知して首を振ったり、霧状の水を噴射したりすることができ[12]、入り口には卵からかえった恐竜の子の像があり、館内展示室へは恐竜の足の間をくぐって入る構造であり[11]、『決定版 日本水族館紀行』では、こうした演出を犬吠埼の崖が白亜紀の層であり、「白亜紀を体感してもらおうという水族館側の心遣いである」と解説している[11]。ただし、この恐竜はジュラ紀後期に生息したディプロドクスであり[1][2][5]、恐竜が設置された1993年当時、新聞の取材に対し担当者は「最近の恐竜ブームに便乗できれば」とコメントしている[12]。

館内に食事処「海龍亭」があり、太平洋を眺望しながら食事ができ[13]、1997年時点ではレストラン「カリビアン」もあった[5]。土産物店では、銚子特産のヒゲタ醤油の「本膳」を使用した「しょうゆロールケーキ」というオリジナル商品を販売していた[14]。

歴史

1954年7月13日開館[7]。当時の名称は「銚子水族館」であり[15]、開設したのは銚子市で、運営は銚子市観光協会が行っていた[4]。

1963年に「京成マリンパーク犬吠埼水族館」となり[15]、当時の京成電鉄は千葉交通や銚子電気鉄道を傘下に収め、ホテルを建設するなど銚子の観光地化に乗り出しており、その一環として水族館を銚子市から譲渡された[16]。この頃、犬吠埼灯台が年間16万人余の観光客を集めていたのに対して、水族館の入館者数は9万人余だった[16]。1974年6月に鉄筋3階建ての施設として開館している[17]。当時、東京動物専門学校永世理事長の川原義郎(1926年 - 2012年11月)が開館に協力した事が知られている。

『千葉大百科事典』によると、1980年代には1億年前の化石を展示し、屋外の庭園は海浜植物園になっていたという[7]。当時は魚類を103種3000点余、その他の水族(軟体動物、節足動物、腔腸動物、棘皮動物)を36種約500点飼育していた[17]。

1984年に京成電鉄の撤退を受けて、水族館内にテナントとして出店していた富士食品が6億円で水族館を買収し、土地と建物を所有。犬吠埼マリンパークは富士食品出資の子会社となり、同社からの委託の形で運営することとなった[18]。館内のレストランと土産物店は富士食品の直営とした[18]。経営体制が変わって以降は毎年、銚子市内の幼稚園児や小学生らを無料招待することで社会貢献してきた[4]。1993年7月20日、全面改修の上、再開館した[12]。この時の改修で恐竜を設置し、6つのゾーンを新設、お土産館を併設した[12]。展示する生物も約350種約6,000点に拡充し、当時約20万人弱という入館者数の増加を図った[12]。2002年2月28日、親会社の富士食品が千葉地方裁判所八日市場支部に民事再生法の適用を申請し倒産[18]、負債総額は約10億円であった[4]。これに先立つ同年1月に、犬吠埼マリンパークの経営は富士食品から切り離されており、再生手続き開始の翌日には従来通り水族館の営業を続けることを会長が表明した[4]。富士食品は犬吠埼マリンパークから賃貸料収入を得て、20年計画で負債を返済することとなった[4]。

2011年3月11日の東日本大震災を境に、犬吠埼マリンパークも海沿いの施設であった事から津波を恐れる風評被害を受けて来観客数が大幅に落ち込み、最盛期では年間30万人の入場者も、4万 - 5万人で推移していた[19]。またかねてよりろ過装置の故障など建物・設備の老朽化も見られており、耐震工事や設備更新する資金繰りのめども立っていなかった[19]。2018年1月29日に閉館が発表され、2日後の31日に閉館となった[8]。

閉館後

建物前にはロープが張られ閉鎖されたが、展示動物だったバンドウイルカ1頭、フンボルトペンギン46羽のほか魚類や、両生類、爬虫類などは館内に残されていた。閉館後も元飼育スタッフが餌やりなど世話をし、千葉県庁は動物愛護法に基づく立ち入り調査を月1回程度行った[20]。2019年6月には犬吠埼マリンパーク株式会社が運営会社の代表取締役を変更(事業譲渡)したと報道された[21]。

運営会社(開館時)

富士食品株式会社と犬吠埼マリンパーク株式会社は同族経営で平林良吉の家族や親族で構成、経営されていた。

富士食品株式会社
  • 代表取締役 平林良吉
  • 取締役 平林弘充
  • 取締役 須見誠
  • 監査役 平林美恵子
犬吠埼マリンパーク株式会社
  • 代表取締役 平林良吉
  • 代表取締役 平林弘充
  • 取締役 平林美恵子
  • 取締役 須見誠
  • 監査役 平林克友

主な展示

フンボルトペンギンの展示

銚子市沖が寒流と暖流の衝突する海域であることから、寒流・暖流両方の海水魚を展示するとともに、淡水魚も飼育していた[1]。また爬虫類も飼育され[7]、小さな水族館ではあるものの各種の生物が揃っていた[6]。飼育動物の解説文は職員の手書きで作られていた[9]。漢字にルビを振って子供たちが読めるように配慮され、「ヒメツバメウオ ひし形の体」など特徴的な解説がなされていた[22]。イルカ・アザラシ・ペンギンは屋外で展示していた[11]。

飼育動物

イルカショー

イルカショー

イルカショーはマリンパーク最大の呼び物であった[1]。使用されていたプールが小型で[6]、プールと客席が近く、水面高く設定されており、イルカがジャンプすると水しぶきが客席の前列に降り注いだ[2][6][9][13]。

ショーは平日4回、休日5回開催されていたが、天候不順時は中止の判断が取られていた[13]。なお、2017年12月よりイルカの頭数減少と体調不良のため、イルカショーは中止されていた[26]。

営業時間とアクセス(開館時)

営業時間

公共交通機関

犬吠埼灯台から西へ約200メートルの場所にする[17]。

自動車

脚注

  1. 東京地図出版(2010):102ページ
  2. ぴあ株式会社(2013):71ページ
  3. “水族館―水と魚のファンタジー”. 日経新聞: 首都圏情報8ページ. (1989年1月21日)
  4. "犬吠埼マリンパーク「従来通り」営業継続 銚子市も支援検討"朝日新聞2002年3月2日付朝刊、千葉版35ページ
  5. アベスプランニング 編(1997):32ページ
  6. 中村・中村(2007):110ページ
  7. 千葉日報社 編(1982):62ページ
  8. “千葉の水族館「犬吠埼マリンパーク」閉館へ”. 日経新聞. (2018年1月29日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26279630Z20C18A1L71000/ 2018-01-30日閲覧。
  9. 辰巳出版(2012):102ページ
  10. “平成25年度第1回動植物園等公的機能推進方策のあり方検討会 議事次第”. 環境省 (2013年10月24日). 2015年6月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年6月6日閲覧。
  11. 島・阿部(2013):134ページ
  12. 「水族館にコンピューター制御の恐竜出現 犬吠埼マリンパーク」朝日新聞1993年7月21日付朝刊、千葉版
  13. 東京地図出版(2010):103ページ
  14. “H26推奨品ページ-犬吠埼マリンパーク”. 銚子商工会議所 (2014年). 2015年6月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年6月6日閲覧。
  15. 杉田 編(2014):カラー口絵「日本の水族館(1882〜2012年)」
  16. 青野・尾留川 編(1967):217ページ
  17. 人文社観光と旅編集部 編(1983):121ページ
  18. 「犬吠埼マリンパーク親会社の富士食品が倒産 民事再生を申請」朝日新聞2002年3月1日付朝刊、千葉版35ページ
  19. 突然の幕引きに惜しむ声 犬吠埼マリンパークあす閉館 千葉 産経新聞 2018年1月30日 7:55配信
  20. “水族館イルカ行き場なし/銚子、1月閉館 ペンギン46羽も”. 読売新聞 (2018年8月28日). 2018年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年9月3日閲覧。
  21. 産経ニュース(2019年8月1日)
  22. 島・阿部(2013):135ページ
  23. 杉坂ゆかり・辺見栄 (2013年7月). “日本の施設で飼育されているイルカたち―水族館はイルカの飼育に適しているか?―” (PDF). ヘルプアニマルズ. p. 18. 2015年6月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年6月6日閲覧。
  24. 「思いがけぬ誕生 犬吠埼マリンパークでイルカ出産」朝日新聞2005年7月13日付朝刊、千葉版35ページ
  25. 「名はマリン、見に来てね 銚子の水族館にイルカの赤ちゃん」朝日新聞2006年1月12日付朝刊、千葉版29ページ
  26. “千葉の水族館「2日後に閉館」発表 63年の歴史に幕…電撃発表に惜しむ声も”. 産経新聞 (2018年1月30日). 2021年2月18日閲覧。

参考文献

  • 青野壽郎・尾留川正平 責任編集『日本地誌第8巻 千葉県・神奈川県』二宮書店、1967年12月15日、574p.
  • アベスプランニング 編『全国水族館ガイド』陶磁郎BOOKS、双葉社、1997年3月30日、125p. ISBN 4-575-28689-3
  • 島泰三・阿部雄介『決定版 日本水族館紀行』木楽舎、2013年8月1日、238p. ISBN 978-4-86324-064-3
  • 人文社観光と旅編集部 編『郷土資料事典 観光と旅 千葉県』県別シリーズ12、人文社、1983年10月1日改訂新版、247p.
  • 千葉日報社 編『千葉大百科事典』千葉日報社、1982年3月20日、1070p.
  • 中村庸夫・中村武弘『水族館で遊ぶ 全国水族館ガイド104館完全紹介』実業之日本社、2007年4月9日、139p. ISBN 978-4-408-32337-4
  • 『いちばん楽しい水族館の歩き方』タツミムック、辰巳出版、2012年11月20日、111p. ISBN 978-4-7778-1064-2
  • 『見たい行きたい再発見 動物園 水族館ガイド 関東周辺』東京地図出版、2010年6月、127p. ISBN 978-4-8085-0980-4
  • 『見て、さわって、癒される水族館ぴあ』ぴあMOOK、ぴあ株式会社、2013年4月10日、130p. ISBN 978-4-8356-2182-1

関連項目

外部リンク

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