背任罪
背任罪(はいにんざい)とは、刑法に規定された犯罪類型の一つ。他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときに成立し、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処せられる(247条)。未遂も罰せられる(250条)。特別法としての特別背任罪もある[1]。
| 背任罪 | |
|---|---|
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| 法律・条文 | 刑法247条 |
| 保護法益 | 財産、信頼関係 |
| 主体 | 他人のためにその事務を処理するもの(身分犯) |
| 客体 | 財産上の利益(全体財産) |
| 実行行為 | 背任行為 |
| 主観 | 目的犯 |
| 結果 | 必要 |
| 既遂時期 | 財産上の損害が生じた時点 |
| 法定刑 | 5年以下の懲役、50万円以下の罰金 |
| 未遂・予備 | 刑法250条(未遂) |
| 日本の刑法 |
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| 刑事法 |
| 刑法 |
| 刑法学 ・ 犯罪 ・ 刑罰 |
| 罪刑法定主義 |
| 犯罪論 |
| 構成要件 ・ 実行行為 ・ 不作為犯 |
| 間接正犯 ・ 未遂 ・ 既遂 ・ 中止犯 |
| 不能犯 ・ 因果関係 |
| 違法性 ・ 違法性阻却事由 |
| 正当行為 ・ 正当防衛 ・ 緊急避難 |
| 責任 ・ 責任主義 |
| 責任能力 ・ 心神喪失 ・ 心神耗弱 |
| 故意 ・ 故意犯 ・ 錯誤 |
| 過失 ・ 過失犯 |
| 期待可能性 |
| 誤想防衛 ・ 過剰防衛 |
| 共犯 ・ 正犯 ・ 共同正犯 |
| 共謀共同正犯 ・ 教唆犯 ・ 幇助犯 |
| 罪数 |
| 観念的競合 ・ 牽連犯 ・ 併合罪 |
| 刑罰論 |
| 死刑 ・ 懲役 ・ 禁錮 |
| 罰金 ・ 拘留 ・ 科料 ・ 没収 |
| 法定刑 ・ 処断刑 ・ 宣告刑 |
| 自首 ・ 酌量減軽 ・ 執行猶予 |
| 刑事訴訟法 ・ 刑事政策 |
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条文
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
背任罪の本質
すでにドイツ刑法学において、権限濫用説と背信説とが対立し、そこから派生してさまざまな説が林立している。
権限濫用説
もともと背任罪はホワイトカラー犯罪として設けられた犯罪であることを理由とする。
法的な代理権を濫用して財産を侵害する犯罪。第三者との対外的関係において成立。法律行為に限られる。これをベースにする修正的な説として、背信的権限濫用説、新しい権限濫用説などがある。
背信説
信任義務に違反する財産の侵害を内容とする犯罪。対外的関係、対内的関係において成立。法律行為だけでなく事実行為も含まれる。判例・通説とされる。これをベースとする修正的な見解として、背信的義務違反説がある。
行為
行為の主体
背任罪では「他人のためにその事務を処理する者」が行為の主体になることが必要である(身分犯)。 「他人のための事務」の範囲が問題になるが(背任罪の本質をどのように考えるのかによって変わってくる)、抵当権設定者や、指名債権の譲渡人などもこれに含まれるとされる。
目的犯
背任罪が成立するためには、図利加害目的(とりかがいもくてき) すなわち行為者が自己若しくは第三者の利益を図ったか(利得犯)、本人に損害を加える目的があったこと(財産侵害犯)が必要である(目的犯)。確定的認識でなくても未必的認識があれば目的ありとしてよいと解されている。
行為の内容
背任罪は「その任務に背く行為(任務違背行為)」を構成要件的行為とする。任務に違背があったかどうかは、任務の発生根拠や社会通念に従って判断される。本人のために行った 冒険的取引 が任務違背にあたるかどうかも社会通念に従って判断される。
他の財産罪との関係
未遂罪
- 背任罪の未遂は処罰される(刑法第250条)。
法定刑
- 法定刑は5年以下の懲役又は50万円以下の罰金である。
