Apple Vision Pro

Apple Vision Pro(アップル ビジョン プロ)は、Appleが初の空間コンピュータ[3]として米国のみ2024年2月2日より販売している複合現実ヘッドセット型コンピューターである[4][5]。MITの「2024年のブレークスルー技術トップ10」の第3位にランクされ、MITの学術的見解では、AIなどの新興技術とともに世界に革命をもたらす可能性があると期待されている[6]

Apple Vision Pro
開発元 Apple
製造元 フォックスコン[1]
種別

空間コンピュータ

エクステンデッド・リアリティヘッドセット
発売日 2024年2月2日
標準価格 US$3,499
OS visionOS
SoC
プラットフォーム App Store
重量 600-650g [2]
関連商品 iPhone, iPad, Macintosh
ウェブサイト www.apple.com/apple-vision-pro/

2023年6月5日にWorldwide Developers Conferenceの基調講演で発表され[7]、米国では2024年2月2日発売開始[8]、他国でも2024年中に販売開始予定である[7]。2015年のApple Watch以来のAppleの新しい消費者向け製品ラインである。多くの複合現実ヘッドセットとは異なり、Apple Vision Proはユーザのポケットの中に置かれる別のバッテリーパックを特徴としている。

開発

2015年5月、Appleはドイツの拡張現実(AR)企業Metaioを買収した[9]AppleはMetaioの技術を"Project Titan"とコードネームされた電気自動車プロジェクトで使用する予定だった。その年、Appleはドルビーラボラトリーズからマイク・ロックウェルを雇用した。ロックウェルはMetaioの共同創設者ペーター・マイヤーとApple Watchのマネージャー、フレッチャー・ロスコップを含むチームを組織した。このチームは2016年にARデモを開発したが、当時の最高デザイン責任者ジョナサン・アイブ率いるIDGから反対を受けた

2017年4月には、拡張現実と仮想現実(VR)の専門家であり、元NASAの専門家ジェフ・ノリスが雇われた[10]。ロックウェルのチームは2017年にiOS 11とともにARKitを提供した。The Informationによると、ロックウェルのチームはアイブのチームと協力して作成した、前面のアイディスプレイを通して装着者の目を公開するヘッドセットは、IDGに好評であった[11]

ヘッドセットのプロダクトデザインは、2019年のアイブの退社に伴い、不確実な時期を経験した。彼の後任であるエヴァンス・ハンキーは、2023年にAppleから退職した[12]

Apple Vision Pro開発は、2021年よりダン・リッチオ元ハードウェアエンジニアリング担当上級副社長が率いてきたが、2024年に引退すると報道されている[13]

公開とリリース

2022年、ヘッドセットとしてReality Proと噂されるデバイスの情報が浮上し始めた[14]。2022年5月に、Bloomberg Newsは、CEOのティム・クックを含むAppleの幹部がデバイスをプレビューしていると報じた[15]。会社は6月にヘッドセットのコンテンツを開発するディレクタを募集し始めた。そのようなディレクタの一人であるジョン・ファブローは、彼のApple TV+ショーのPrehistoric Planetで恐竜を生き返らせるために招聘された.[16]。Bloombergの記者マーク・ガーマンは2023年1月にARヘッドセットの計画が一時停止されたと書いている[17]。ガーマンは4月にヘッドセットについてさらに情報を共有し、Appleがソフトウェアとサービスを作成する開発者を引き付けようとしていると指摘した[18]。AppleはVision Proの開発に寄与した技術に対して5,000以上の特許を申請した[19]。Apple Vision Proは、2023年6月5日のWWDC23基調講演で発表され、米国でのみ2024年2月2日にUS$3,499で発売された[20]

オンランインで購入するにはFace IDに対応しているiPhoneまたはiPadで顔のキャプチャーを行い、自分に合ったライトシールとヘッドバンドのサイズを測定する。

ストレージについては256GB,512GB,1TBの三種類があり、価格はそれぞれUS$3499,US$3699,US$3899となっている。

AppleCareをUS$499.00の一括、または月額US$24.99で追加可能である。

開発者に対しては、Developer Transition Kit同様に事前のデバイス貸し出しが行われている[21]

ハードウェア

Apple Vision Proは、ラミネートガラスディスプレイ、アルミニウムフレーム、調節可能なヘッドバンドを備えている。フレームには5つのセンサー、6つのマイク、12台のカメラが搭載されている。通常90FPSで動作する切手サイズの3660x3200ピクセル、合計2,300万ピクセルの2つのmicro OLEDディスプレイが、レンズを通してユーザーに見えることになる。内部に搭載されているLEDと赤外線センサーによってユーザーの目がトラッキングされ、目線でApple Vision Proを操作することができるようになっている。眼鏡を利用しているユーザ向けにはカスタムでオプティカルインサートを追加することで眼鏡を使用したのと同等の体験が可能である。このレンズは、カール・ツァイス社との提携により開発されるもので、レンズに磁石で装着される。ヘッドセットのスピーカーはヘッドバンドの内部にあり、耳の真上に配置されている[22][23]

Apple Vision ProはApple M2プロセッサと、リアルタイムセンサー入力処理のためにヘッドセット専用に作られた新しいApple R1プロセッサ、AirPods Pro(第2世代、USB-Cケース)での20bit-48kHzロスレスを実現するためにApple H2を実装する。付属するバッテリーではデバイスの稼働時間は2時間となる[22][23]が、USB-Cの電源アダプタも利用できる[24]

外部入力デバイス

別売りのMagic KeyboardMagic Trackpadに対応する[25]

Developer Strap

Apple Vision ProとMac間のUSB-C接続を提供するUS$299の開発者向け製品[26]。グラフィックを多用するアプリやゲーム開発に役立つ。

ソフトウェア

オペレーティングシステム

Apple Vision Proは、ユーザの視野を覆う三次元インターフェースを備えたvisionOSによって動作する[27]。デフォルトでは、ヘッドセットは実際の世界の周囲を「透過」しているように見せるため、要素は空間に「浮かんでいる」ように見える。ヘッドセットの上部にあるクラウンで、視野に占める仮想背景の量を調整できる。他の人々は、AppleがEyeSightと呼んでいるフロントガラスディスプレイのグラフィックスによって、仮想背景を認識することができる。ペルソナの目はフロントディスプレイに表示され、「没入性」が進むほどグラフィックはますます不透明になる[23]

指と目だけを使ってナビゲートできるため、ハンドコントローラーは必要ない。伝統的なデスクトップコンピュータのポイントとクリックと同様に、選択するには、要素を見て指をタップする。指のタップは空間のどこでも行うことができる。visionOSは、テキストの入力に音声認識と仮想キーボードの両方を使用することができる。ヘッドセットは、iPhoneiPadFace IDと同様に、デバイスのロックとアンロックにOptic IDと呼ばれる虹彩認識を使用する[23]

開発環境(SDK)は2023年6月21日から、シミュレータ、Reality Composer ProとともにXcode 15へ配布されている[28][27]。Xcode 15でvisionOS向け開発を行うには、新しいAPIフレームワークを扱えるmacOS Sonomaが必須となる[29]

アプリ

Apple Vision Proは、Apple Arcadeからの100以上のゲームを含み、リリース時に利用可能になる。これには、NBA 2K23(2022)も含まれている[30]Disney+もリリース時に利用可能になる[31]。さらに、Keynote, Pages, Numbersの他、Final Cut ProMicrosoft Officeスイートのいくつかのアプリ、Microsoft WordMicrosoft ExcelMicrosoft Teams、およびZoomCisco WebexAdobe Lightroomが利用可能になる。AppleとUnityは提携しネイティブサポートを約束している[32][33]

その一方でNetflixのアプリケーションはリリース時点で本機種には対応しないことを2024年1月に同社が明らかにしている[34]

2024年2月2日の発売日に、600以上のVision Pro専用アプリが公開されている[35]

脚注

  1. Mayo, Benjamin (2023年2月23日). Apple reportedly already working with Foxconn on cheaper second-generation AR headset”. 9to5Mac. 2023年5月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月5日閲覧。
  2. Apple Vision Proの光と影、発売前レビューで明かされた弱点
  3. Apple Vision Proが登場 — Appleが開発した初の空間コンピュータ”. Apple Newsroom (日本). 2023年6月7日閲覧。
  4. 目指すは「メタバース」ではなくて「新時代のPC」 Apple Vision Proに込められたAppleの“野心””. ITmedia PC USER. 2023年6月8日閲覧。
  5. 株式会社インプレス (2024年1月22日). Apple Vision Proを予約した アップルが目指す「空間コンピューティングのエンタメ」【西田宗千佳のイマトミライ】”. Impress Watch. 2024年1月30日閲覧。
  6. 10 Breakthrough Technologies 2024 (英語). MIT Technology Review. 2024年2月8日閲覧。
  7. 株式会社インプレス (2023年6月6日). アップル、新ARデバイス「Vision Pro」発表 3499ドルで24年発売”. Impress Watch. 2024年1月30日閲覧。
  8. 株式会社インプレス (2024年1月9日). Apple Vision Pro、2月2日に米国発売”. Impress Watch. 2024年1月30日閲覧。
  9. Wakabayashi, Daisuke (2015年5月28日). Apple Buys German Augmented-Reality Firm Metaio”. The Wall Street Journal. 2023年6月5日閲覧。
  10. Gurman, Mark (2017年4月24日). Apple Hires NASA AR Guru to Help Run Its Own Efforts”. Bloomberg News. 2023年6月5日閲覧。
  11. Ma, Wayne (2022年5月20日). Behind the Apple Design Decisions That Bogged Down Its Mixed-Reality Headset”. The Information. 2023年6月5日閲覧。
  12. At Apple, Rare Dissent Over a New Product: Interactive Goggles”. The New York Times (2023年3月26日). 2023年6月5日閲覧。
  13. Gurman: Former SVP of hardware Dan Riccio 'nearing retirement' (英語). AppleInsider (2024年3月3日). 2024年3月4日閲覧。
  14. Hector, Hamish (2023年6月5日). Don't get excited for an Apple Reality Pro price switcheroo at WWDC”. TechRadar. 2023年6月5日閲覧。
  15. Gurman, Mark (2022年5月19日). Apple Shows AR/VR Headset to Board in Sign of Progress on Key Project”. Bloomberg News. 2023年6月5日閲覧。
  16. Apple Starts Connecting the Dots for Its Next Big Thing”. The New York Times (2022年6月4日). 2023年6月5日閲覧。
  17. Lawler, Richard (2023年1月18日). Apple reportedly shelved its plans to release AR glasses anytime soon”. The Verge. 2023年6月5日閲覧。
  18. Gurman, Mark (2023年4月18日). Apple's AR/VR Headset to Feature Sports, Gaming, iPad Apps and Workouts”. Bloomberg News. 2023年6月5日閲覧。
  19. Cross, Jason (2023年6月5日). Apple Vision Pro: Apple's big bet on a brand-new platform starts at $3,499”. Macworld. 2023年6月5日閲覧。
  20. Fowler, Geoffrey (2023年6月5日). Apple unveils Vision Pro, its $3,499 augmented-reality headset”. The Washington Post. 2023年6月5日閲覧。
  21. Apple、アプリ開発者にApple Vision Proを貸し出す「Apple Vision Pro developer kit」受付開始─8月中旬、東京でデベロッパラボ開催”. 知財図鑑. 2023年12月8日閲覧。
  22. Robertson, Adi (2023年6月5日). Apple Vision Pro is Apple's new AR headset”. The Verge. 2023年6月5日閲覧。
  23. Apple Vision Pro (英語). Apple. 2023年6月5日閲覧。
  24. 株式会社インプレス (2023年6月7日). [iPhone駆け込み寺 アップル製品のヘビーユーザーでVRユーザーでもある筆者は「Vision Pro」のココが気になった!]”. ケータイ Watch. 2023年6月7日閲覧。
  25. Apple Vision Pro available in the U.S. on February 2 (英語). Apple Newsroom. 2024年2月2日閲覧。
  26. Benjamin, Jeff (2024年2月7日). Hands-on with the Apple Vision Pro Developer Strap (英語). 9to5Mac. 2024年2月7日閲覧。
  27. visionOS Overview (英語). Apple Developer. 2023年6月8日閲覧。
  28. Apple Vision Proの空間体験を生み出すデベロッパツールの提供を開始”. Apple Newsroom (日本). 2023年6月22日閲覧。
  29. Platforms State of the Union - WWDC23 - Videos (英語). Apple Developer. 2023年6月8日閲覧。
  30. Parrish, Ash (2023年6月5日). Apple's new VR headset will feature over 100 Apple Arcade games at launch”. The Verge. 2023年6月5日閲覧。
  31. Weatherbed, Jess (2023年6月5日). Disney Plus is coming to Apple’s Vision Pro headset”. The Verge. 2023年6月5日閲覧。
  32. 株式会社インプレス (2023年6月6日). 「Apple Vision Pro」ではローンチ時からiOS、iPadのアプリが利用可能【WWDC23】 UnityベースのゲームやアプリはVisionOSにフル対応”. GAME Watch. 2023年6月7日閲覧。
  33. UNITY’S BETA PROGRAM FOR CREATING SPATIAL EXPERIENCES”. create.unity.com. 2023年6月22日閲覧。
  34. Mark Gurman (2024年1月18日). ネットフリックス、アップルの「Vision Pro」用アプリ投入見送り”. Bloomberg.com. 2024年1月23日閲覧。
  35. Apple announces more than 600 new apps built for Apple Vision Pro (英語). Apple Newsroom. 2024年2月2日閲覧。

関連項目

外部リンク

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