セレン酸
セレン酸(セレンさん、selenic acid)は化学式H2SeO4で表されるセレンのオキソ酸の一種である。セレンを中心に4つの酸素原子が結合している。原子価殻電子対反発則により四面体構造を取ると予測される通り硫酸およびその塩と同型であることが確認されている。ガラスの脱色に用いる。セレン酸およびセレン酸塩は医薬用外毒物の指定を受ける。
| セレン酸 | |
|---|---|
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セレン酸 | |
| 識別情報 | |
| CAS登録番号 | 7783-08-6 |
| RTECS番号 | VS6575000 |
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| 特性 | |
| 化学式 | H2SeO4 |
| モル質量 | 144.9734 g mol-1 |
| 外観 | 無色結晶 |
| 密度 | 2.951 g cm-3 (15℃) |
| 融点 |
58 ℃ |
| 沸点 |
260 ℃(分解) |
| 水への溶解度 | 1300 g/100 mL ( 30℃) |
| 酸解離定数 pKa | -, 1.70 |
| 屈折率 (nD) | 1.5174 (D-line, 20℃) |
| 熱化学 | |
| 標準生成熱 ΔfH |
-530.1 kJ mol-1[1] |
| 危険性 | |
| EU分類 | 有毒 (T) 環境への危険性 (N) |
| NFPA 704 |
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3
2
OX
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| Rフレーズ | R23/25, R33, R50/53 |
| Sフレーズ | (S1/2), S20/21, S28, S45, S60, S61 |
| 関連する物質 | |
| その他の陰イオン | 過臭素酸;ヒ酸;ゲルマニウム酸 |
| 特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 | |
化学的性質・反応
硫酸と同様に吸湿性の強酸であり、水によく溶解する。高濃度の溶液は粘性が高い。一水和物、および二水和物の結晶が報告されている。さらに硫酸と同様、強い脱水作用および有機物の炭化作用をもつ。 セレン酸の第一水和エンタルピー変化および溶解エンタルピー変化は以下の通りである[1]。溶解熱は硫酸よりやや小さくなるが、これは液体の硫酸と異なり固体の溶解熱で、融解熱(14.4 kJ mol−1, 333 K)の分小さくなる。
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一方、反応速度は遅いものの硫酸より酸化力が強く、塩化物イオンを塩素へと酸化する。このときセレン酸は亜セレン酸へと還元される。さらに熱濃溶液は金でさえ溶解するほど酸化力が強く、標準酸化還元電位は以下の通りであり、また水溶液を210℃以上に加熱すると酸素を放出して亜セレン酸となる[3]。
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セレン酸とフルオロスルホン酸の反応により、二フッ化二酸化セレンが生成する(沸点 −8.4˚C)[2]。
セレン酸イオン
セレン酸の第一段階電離により、セレン酸水素イオン(せれんさんすいそいおん、hydrogenselenate, HSeO4−)、第二段階解離によりセレン酸イオン(せれんさんいおん、selenate, SeO42−)を生成し、セレン酸イオンは正四面体型構造であり硫酸イオンに類似し、Se−O結合距離は166pmである。
セレン酸塩
セレン酸イオンを含むイオン結晶である正塩のセレン酸塩(せれんさんえん、selenate)、およびセレン酸水素イオンを含む水素塩(酸性塩)であるセレン酸水素塩(せれんさんすいそえん、hydrogenselenate)が存在する。
参考文献
- D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
- Seppelt, K. “Selenoyl difluoride” Inorganic Syntheses, 1980, volume XX, pp. 36-38. ISBN 0-471-07715-1. セレン酸の合成について
- 化学大辞典編集委員会 『化学大辞典』 共立出版、1993年
- 田中元治 『基礎化学選書8 酸と塩基』 裳華房、1971年


