デリン・ベタンセス

デリン・ベタンセスDellin Betances, 1988年3月23日 - )は、アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市ブルックリン区出身の元プロ野球選手投手)。右投右打。愛称はD・ドォグ他(後述)。

デリン・ベタンセス
Dellin Betances
ニューヨーク・メッツ時代
(2020年9月27日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 ニューヨーク州ニューヨーク市ブルックリン区
生年月日 (1988-03-23) 1988年3月23日(36歳)
身長
体重
6' 8" =約203.2 cm
265 lb =約120.2 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 2006年 MLBドラフト8巡目
初出場 2011年9月22日
最終出場 2021年4月7日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム ドミニカ共和国の旗 ドミニカ共和国
WBC 2017年

経歴

プロ入り前

ニューヨーク州マンハッタンワシントンハイツで生まれる。両親は共にドミニカ共和国からの移民[1]。10歳の時には、ヤンキー・スタジアムデビッド・ウェルズ完全試合を観戦していた[2]

プロ入りとヤンキース時代

高校卒業後はヴァンダービルト大学への進学が決まっていたが[2]MLBドラフト8巡目(全体254位)でニューヨーク・ヤンキースから指名され、プロ入り。契約金はコミッショナー推奨額を大きく上回り、8巡目の選手としては過去最高となる100万ドルだった[3]

2009年の後半戦に右肘を手術した。

2010年に復帰し、傘下のA+級タンパ・ヤンキースで防御率1点台と好投。終盤にはAA級トレントン・サンダーに昇格した。同年オフにはヤンキースの40人枠に加えられ[4]、「ベースボール・アメリカ」誌の有望株ランキングにおいて、球団内4位、マイナー全体では43位の評価を受けた[5]

2011年はAA級トレントンで21試合、AAA級スクラントン・ウィルクスバリ・ヤンキースで4試合に先発し、合計4勝9敗、防御率3.70だった。9月22日のタンパベイ・レイズ戦でメジャーデビュー[6]

2012年は開幕をAAA級スクラントン・ウィルクスバリで迎え、16試合に登板。6月下旬にAA級に降格し、38試合に登板した。

2013年5月10日に2年ぶりにメジャー昇格。5月24日に故障者リスト入りしていたイバン・ノバが復帰したため、再びAAA級スクラントン・ウィルクスバリに降格した。

2014年4月26日のロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム戦では同点の5回途中から登板し、2回を1安打無失点に抑え、メジャー初勝利を記録した[7]。前半戦は40試合に登板して防御率1.46、WHIP0.70、55回1/3で84奪三振と好成績を残し、オールスターに初選出された[8]が、登板機会はなかった[9]。9月14日のボルチモア・オリオールズ戦でシーズン130個目の奪三振を記録。マリアノ・リベラ1996年に記録したリリーフ投手による奪三振数の球団記録に並んだ。130奪三振に達するまでにリベラは107回2/3を要したのに対し、ベタンセスは87回2/3のみであった。同月17日、対タンパベイ・レイズ戦で2三振を奪い、球団記録を更新した[10]。後半戦も30試合に登板して防御率1.30、WHIP0.78と高水準の活躍を続け、年間を通してリリーフエースとして君臨。基本的にはセットアップマンでありながら、チーム最多の70試合に登板し、その内半数の35試合で4アウト以上を奪うなど、ロングリリーフも頻繁にこなし、非常に貢献度の高い内容を見せた。新人王の投票ではホセ・アブレイユマット・シューメイカーに次いで3位に入った。

2015年は前半戦で41試合に登板し、防御率1.53、WHIP0.83、47イニングで77奪三振と好成績を残した。2年連続でオールスターゲームに選出され、7回裏に初登板を果たし、1イニングを無失点に抑えた。また、球団史上初となる、救援投手として2年連続100奪三振を達成した。最終的にはジャスティン・ウィルソンと並び、チーム最多(リーグ2位)の74試合に登板[11]。防御率1.50・6勝4敗9セーブ・84.0イニングで131の三振を奪い、2年連続で圧倒的なピッチングを見せた。10月6日のヒューストン・アストロズとのワイルドカードゲームポストシーズン初登板を果たしたが、1.2回を投げて1失点、1安打、1四球、4奪三振で、チームも敗れてしまった。

ニューヨーク ・ヤンキース時代
(2016年9月13日)

2016年は移籍してきたアロルディス・チャップマンが抑えを務め、ミラーがセットアッパーを務め、ベタンセスは7回を任される予定だったが、チャップマンがDVで出場停止となったため、開幕当初は前年に引き続きセットアッパーを務めた。チャップマンが復帰してからは予定通りミラーがセットアッパーに配置転換され、ベタンセスは7回を任された。チームでは7回を投げるベタンセス、セットアッパーのミラー、抑えのチャップマンで勝ちパターンとして起用され、この3人を「スリーヘッディッド・モンスター(三つ頭の怪物)」と呼称されたり、チームが3人の頭文字を取り得点(ラン)を与えないという意味でRun-D.M.C.を真似た「ノー・ランズDMC」Tシャツを販売したりもした[12]オールスターゲームには3年連続で選出された[13]。オールスター後にチャップマンがトレードでシカゴ・カブスへ移籍[14]後はミラーが抑えを務め、ベタンセスはセットアッパーに配置転換された。ミラーがクリーブランド・インディアンスへトレードで移籍した[15]後は遂に抑えに配置転換された。この年は、3年連続70試合以上となる73試合に登板して自己ベストの12セーブを挙げたが、過去2シーズンの神通力は切れ、防御率3.08とWHIP1.12は直近3シーズンでワーストだった。ただ、圧倒的な三振奪取能力は勢いを増し、フル出場したシーズンでは最高となる奪三振率15.5を記録した。オフの11月24日に第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)ドミニカ共和国代表への参加の意思を表明し[16]12月5日に選出された[17]

2017年1月19日にヤンキースの条件提示300万ドルに対してベタンセス側は500万ドルを要求。その後も折り合いがつかず年俸調停権を行使し、第三者による公聴会が開かれ年俸は300万ドルで妥結された。ヤンキースの選手が年俸調停を回避しなかったのは、王建民以来9年ぶり。3月には開幕前に選出されていた第4回WBCにドミニカ共和国代表として参加した。シーズンでは4年連続でオールスターゲームに選出された。8月2日のタイガース戦では三者連続三球三振を記録した。8月24日のデトロイト・タイガース戦ではジェームズ・マッキャンに対して頭部に故意死球を行ったとして退場処分を受けた[18]が、罰金や出場停止などの処罰は課されなかった[19]。基本的にヤンキースへ出戻ったチャップマンへとつなぐセットアッパーを担い、チャップマンが故障で離脱している間は抑えも務めた。序盤から制球難に苦しみ、与四球率6.64、与死球11(2017年MLBのリリーバー全体で最多)を記録。 最終的な成績は防御率2.87、WHIP1.22、100奪三振、10セーブで、2年連続の二桁セーブと4年連続の100奪三振以上を達成した。

2018年は前年の制球難を改善するため、シーズンオフからメカニクスの調整に取り組んだ。リリース時における上半身の一塁側への傾きを抑え、リリースポイントを安定させた。その結果コマンドは改善したが、シーズン初頭は打ち込まれる場面が目立ち、5月10日のボストン・レッドソックス戦が終了した時点での成績は16IPで防御率5.63、被本塁打4だった。しかし、BABIPの振り戻しや球速の回復に従い本来の投球を取り戻し、5月29日から9月22日にかけてはアメリカンリーグ史上最長となる44試合連続奪三振を達成。投球の際に右薬指を親指の爪で傷つけてしまい、制球が安定しなくなった試合もあった[20]が、最終的な成績は66試合に登板し防御率2.70であった。奪三振力は相変わらずで、66.2IPで115個もの三振を奪い、リリーバーとしてMLB史上初となる5年連続100奪三振を達成[21]したほか、与四球率を前年の6.64から3.51、投球におけるストライクの割合を58.6%から65.2%に改善させた[22]。ポストシーズンでは、ALWCにてルイス・セベリーノの後を受け、5回表無死一二塁の状況でマウンドに上がり、そこから6人のバッターをすべて凡退させ(3奪三振)、勝利投手となった。ALDSでは第2戦と第4戦に登板し、それぞれ2IP1失点、1.1IP無失点だった。

2019年は右肩痛と左アキレス腱部分断裂で1登板のみに終わった。オフの10月31日にFAとなった[23]

メッツ時代

2019年12月24日にニューヨーク・メッツと1050万ドルの単年契約を結んだ[24]。オプションとして2021年シーズンはベタンセス側が選択権を所持し、バイアウトの際は300万ドルが支払われる。2020年シーズンの年俸は750万ドルで、バイアウトの300万ドルを含め1050万ドルとなる。背番号はヤンキース時代と同じ「68」。

2020年は15試合に登板した。オフにオプションを行使して残留した。

2021年は怪我に苦しみわずか1試合の登板に終わった。オフの11月3日にFAとなった[25]

ドジャース傘下時代

2022年4月5日にロサンゼルス・ドジャースとマイナー契約を結んだ[26]。この年は傘下のAAA級オクラホマシティ・ドジャースでプレーしたが、メジャーへの昇格はなく、8月18日に自由契約となり、直後に現役引退を表明した[27]

投球スタイル

長身から投げ下ろすフォーシームファストボールは、最速101.8mph(約163.9km/h[28]、平均97.7mph(約157.2km/h)を計測し、平均回転数2360rpm(2018年)である。変化球はスラーブとナックルカーブの2種類を投げ、スラーブは82ないし86mphを計測し、主にカウント球として用いる。ウイニングショットはナックルカーブで、85ないし90mphの球速ながらスラーブよりも大きく曲がり落ちる[29]。これらの2つの変化球は混同されることが多いが、ベタンセス本人は投げ分けていると語っている[30]。大量の三振を奪う投球スタイルで、2018年レギュラーシーズンの奪三振率は15.53である。セットアッパーを務めているが、以前所属していたヤンキースGMであるブライアン・キャッシュマンは「彼の素材はエース級」と評していた[2]

MLB昇格後はカッターチェンジアップも投げるようになった[31]が、2014年からチェンジアップを投げなくなり、さらに基本球種をフォーシームからスラーブへと変更。カッターもそれほど多投しなくなり、2017年時点では前述の3球種しか投げていない[32]

制球力が課題点であり、打者を歩かせての典型的な自滅型だった[31]が、AAA級で与四球率8点台を喫した2012年のオフにアリゾナ教育リーグに参加すると、与四球率3点台にまで改善させた。その後、MLB定着を果たした2014年には、70登板で与四球率2.4と安定した制球力を見せた。2017年に制球難に再び陥るも、翌2018年には改善させた。

人物

愛称はD・ドォグ(D. Dawg)[33]エル・アシド(El Acido)[33]デリン・ジェイ(Dellin Jay)[33]

D・ドォグはマイナーリーガー時代にチームメイトのアダム・ウォーレンが名付けたドォグという愛称にベタンセスの頭文字のDを合体させたものである[34]。2018年のプレイヤーズ・ウィークエンドではエル・アシド(EL ACIDO)の愛称入りユニフォームを身につけた。

詳細情報

年度別投手成績





















































W
H
I
P
2011 NYY 210000000----162.210601200226.752.63
2013 600000000----265.09120010006610.802.20
2014 700000501221.00034190.046424141352115141.400.78
2015 74000064928.60033284.045640231319017141.501.01
2016 730000361228.33329973.054528011266031253.081.12
2017 660000361019.33326159.2293440111005120192.871.22
2018 66000046420.40027266.244726251154122202.701.05
2019 100000000----20.200000200000.000.00
2020 NYM 1500000104.0005911.21201202112010107.712.06
2021 100000000----51.000101100119.001.00
MLB:10年 3741000212336121.4771613394.1240261835286332831241112.531.07
  • 各年度の太字はリーグ最高

年度別守備成績



投手(P)












2011 NYY 20000----
2013 60000----
2014 706620.857
2015 7458001.000
2016 734631.769
2017 6654001.000
2018 663830.786
2019 10000----
2020 NYM 150000----
2021 10000----
MLB 374233281.873

記録

諸記録

背番号

  • 68(2011年、2014年 - 2021年)
  • 61(2013年)

代表歴

脚注

  1. Kevin Kernan (2008年11月8日). Betances On Fast Track To The Majors (英語). New York Post. 2016年3月24日閲覧。
  2. Andrew Marchand (2011年2月20日). From Bleacher Creature ... to Bomber? (英語). ESPN New York. ESPN. 2016年3月24日閲覧。
  3. Danny Wild (2011年3月3日). Ten Questions with Dellin Betances (英語). MiLB.com. Minor League Baseball. 2016年3月24日閲覧。
  4. Chad Jennings (2010年11月19日). Yankees add three to 40-man roster (英語). The Lohud Yankees Blog. 2010年11月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月24日閲覧。
  5. 2011 Top 100 Prospects (英語). Baseball America (2011年2月23日). 2011年2月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月24日閲覧。
  6. Bryan Hoch (2011年9月23日). Pair of Yankees hurlers happy debuts in books (英語). MLB.com. 2016年3月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月24日閲覧。
  7. John Ryan Murphy, Dellin Betances lead Yankees past Angels”. ESPN (2014年4月26日). 2016年3月24日閲覧。
  8. Andrew Krammer (2014年7月6日). Jeter, Tanaka, Betances are All-Stars”. ESPN. 2016年3月24日閲覧。
  9. Andrew Marchand (2014年7月15日). Betances doesn't pitch in All-Star Game”. ESPN. 2016年3月24日閲覧。
  10. Andrew Marchand (2014年9月17日). Dellin Betances supplants Mo Rivera”. ESPN. 2016年3月24日閲覧。
  11. 2015 New York Yankees Pitching Statistics (英語). Baseball-Reference.com. Sports Reference LLC. 2016年3月24日閲覧。
  12. ヤンキースにいる「三つ頭の怪物」は迫力満点ながら、寿命は短いかも(でも、来シーズンに復活するかも) (2016年7月21日) 2017年8月21日閲覧
  13. 2016 All-Star Game rosters announced”. MLB.com (2016年7月5日). 2016年7月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月30日閲覧。
  14. Cubs acquire LHP Aroldis Chapman from New York”. MLB.com (2016年7月25日). 2016年7月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月30日閲覧。
  15. Indians acquire LHP Andrew Miller from the New York Yankees”. MLB.com (2016年7月31日). 2016年8月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月30日閲覧。
  16. ヤ軍守護神ベタンセス、両親の出身地ドミニカ共和国代表としてWBC出場へ”. Full-Count (2016年11月24日). 2016年12月21日閲覧。
  17. 24 All-Stars among initial confirmed players for 2017 World Baseball Classic”. MLB.com (2016年12月5日). 2017年2月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年12月15日閲覧。
  18. Yanks-Tigers dustup a prelude to punishment”. MLB.com (2017年8月24日). 2017年8月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年8月25日閲覧。
  19. Miggy suspended 7 games, Sanchez 4 in fracas”. MLB.com (2017年8月25日). 2017年8月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年9月5日閲覧。
  20. “'Too much blood:' Betances guts through gross cut” (英語). NJ.com. https://www.nj.com/yankees/index.ssf/2018/05/too_much_blood_yankees_dellin_betances_guts_throug.html 2018年10月26日閲覧。
  21. Yankees PR Dept. on Twitter」『Twitter』。2018年10月26日閲覧。
  22. Dellin Betances Stats, Fantasy & News (英語). MLB.com. 2018年10月26日閲覧。
  23. Thomas Harrigan, Manny Randhawa and Paul Casella (2019年11月8日). Here are every team's free agents this winter (英語). MLB.com. 2019年12月2日閲覧。
  24. Anthony DiComo (2019年12月24日). Betances signs 1-year deal with Mets (英語). MLB.com. 2019年12月25日閲覧。
  25. Dellin Betances Qualifies For Free Agency (英語). MLB Trade Rumors. 2021年11月13日閲覧。
  26. Dodgers sign Dellin Betances to minor league deal (英語). www.cbsnews.com. 2022年8月21日閲覧。
  27. Dodgers News: Four-Time All-Star Reliever Released by Dodgers, Retires | Inside the Dodgers | News, Rumors, Videos, Schedule, Roster, Salaries And More”. www.si.com. 2022年8月21日閲覧。
  28. 2016年5月26日に計測。(PITCHf/xより)
  29. Player Card: Dellin Betances”. fangraphs.com. 2017年9月6日閲覧。
  30. Player Spotlight: Dellin Betances”. YouTube(New York Yankees). 2017年9月6日閲覧。
  31. John Sickels (2011年7月20日). Prospect of the Day: Dellin Betances, RHP, New York Yankees (英語). Minor League Ball. Vox Media. 2016年3月24日閲覧。
  32. Dellin Betances Pitch Data (英語). The Baseball Cube. 2017年2月1日閲覧。
  33. Baseball Player Nicknames (英語). Baseball Reference. 2021年10月31日閲覧。
  34. Yanks Players Weekend nicknames explained”. MLB.com (2017年8月24日). 2017年8月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年8月27日閲覧。

関連項目

外部リンク

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