マイケル・ジャクソンの外観

この項では、 キング・オブ・ポップと称されるアメリカ合衆国のエンターテイナーであるマイケル・ジャクソンの外観について述べる。

精神的苦痛

マイケル・ジャクソン(1984年5月)

彼は生涯にわたり、容姿の変化と健康問題、食事制限によるダイエットについてしばしば言及されてきた。1980年初期から半ばまでの思春期と成長による自然な容姿の変化は米メディアから注目の的とはならずに済んだが、1980年半ば、米メディアはマイケルの容姿の変化は年を取ることによる単なる自然の変化だけではないものだと気付き始める。肌の色は段々明るくなり、鼻と下あごが狭まり、体重は減少した。この変化は20年間急激に続いた。1986年に医師により尋常性白斑、全身性エリテマトーデスと診断された。マイケルは個人的な選択により、メイクで大きなシミを隠すことにした。病気で苦しむ人の中でマイケルと同じようにする人もいる。マイケルの肌が白くなったのはこの病気による治療のためである。

マイケルとその兄弟は思春期に父親から身体的・精神的暴力を受けていたことをBBCに証言した。父親は彼らを虐待していたことを認めた[1]。マイケルは虐待について滅多に語ることはないが、そのことについて触れられたいくつかのインタビューで、感情的になり、父親に会う前には吐き気を催したと述べた。裁判中での文書で数人の精神科の医師はマイケルが精神的に10歳の状態にまで退行させられたと主張した。数人の医師は公式にマイケルが醜形恐怖症で苦しんでいると発表した。

健康の問題、体重の減少、ストレスと自然老化によってマイケルの容姿は変化した。彼の目標は「ダンサーの体型」になることであるとし、体重を落とし、ベジタリアンになることを決意した。処方された薬に浸り、薬中毒治療のためのリハビリに通ったこともまた彼の容姿に影響した。彼の生活の中で特に混乱した時期に、頻繁に体重と薬の問題が同時に浮上した。

整形

「マイケルは整形をしすぎているのではないか」とよく社会で言われている[2]。アメリカ国内では整形はそれほど珍しい事ではないが、彼の場合は元の黒人の顔からかけ離れてしまったために色々と言われる。これに関してもゴシップは多く、1992年にデイリー・ミラー誌がマイケルの顔を醜く加工した写真を掲載し話題となり、1998年正式に謝罪した[3]。

整形をし始めたきっかけは1979年のステージの床に鼻をぶつけ骨折するという事故である。この事故のため手術せざるを得ない状況になっていたため手術をし、「オフ・ザ・ウォール」のジャケットでは以前よりも小さくなった鼻を見ることができる。しかし、医者が不適切な手術を行ったため呼吸困難をマイケルは訴え、再手術が行われた。80年代初め頃、マイケルの整形を担当していたのはコマーシャル撮影時に負ったやけどを治療した、美容外科医スティーブン・ホフラン医師だった[4]。

マイケルには、彼の外観を修正するための複数の形成外科手術手続きがあった。「スリラー」の頃には鼻が細くなり、「バッド」の頃には顎に中裂が入り、鼻先が上を向くようになった。それからは鼻筋がどんどん細く、不自然に見える形となっていく。

これらの整形について、マイケルは2003年の「マイケルジャクソンの真実」のマーティン・バシールのインタビューで「覚えているだけで2回」「顔の変形は成長したんだ」「言われている程整形はしていない」「整形に関して特に意見はないよ。本人が幸せであれば問題ないことだよ。ハリウッドでは皆がしている事なのに、僕だけが整形していると言われるのはフェアじゃない」と語っている。

マイケル・ジャクソン裁判の際、弁護側の証拠として提出された「マイケルジャクソンの真実」のカットシーンには「大きな怪我をしたんだ」と語っている姿が残されている。CM撮影中に頭部に負った重度の熱傷の治療に数年掛かっており、この際、皮膚再生治療として、頭皮の真皮を伸ばす治療を受けていたとも言われており、白斑の進行と同様に顔立ちの変化に影響したという説もあり、整形と言うより熱傷治療に伴う顔の変形を修復する形成の結果だったと言う説もある。

彼が行ったとされる整形のほとんどが熱傷を負った後であることは父親であるジョセフ・ジャクソンが出演したCNN等で認めている。マイケルは、顎の中裂に言及することをしばしば怠る。しかしながら、彼は1988年の自伝「Moon Walk」と1986年のインタビューにて顎の手術について語っている。1986年のインタビューでは行った理由を「大人びて見える、成熟して見えるから」と語っている。

鼻の整形に関しては、幼少時、父親がマイケルの顔を見ては「なんだそのでかい鼻は。俺の家系(遺伝子)からではない」と散々罵倒された劣等感の反動からくる補償行為だとも言われている。 また思春期にニキビが酷く、父親から「お前は醜い」等と言われ、鏡を見たくなかったと語った事もある。普段は服装等に無頓着だったと言われているが、人前に出る時の自分の容姿に付いては強い拘りがあったとも言われている[5]。

マイケルの死後、20年来マイケルの担当だった皮膚科医アーノルド・クライン医師はCNNに出演し「彼は私の所に来る前から何度か整形していた。自分の顔を芸術作品だと思っていた。ロンドン公演でファンに良い顔を見せたいと修復を急いでいた。私のこの一年は彼が鼻で呼吸できるようにする事だった。彼の鼻の軟骨はほとんどなくなっていたからね。彼はとても鼻を気にしていたし、ニキビ痕も気にしていた。終わりなく彼に整形し続けた整形の医師達が問題なんだ。彼は白人になりたがってなどいなかった。彼は自分が黒人だと言う事に誇りを持っていた。肌が白くなったのは白斑だったからだ。私は始めて彼を診察した時、白斑症と紅斑性狼瘡だと分かった。斑になってしまう肌の色を均一にしなければならなかった。斑をメイクで隠していたんだ。そうで無ければ彼はおかしな姿を人前に晒さなければ成らなかった。彼はファンと身近で接することを望んでいた。彼ほどファンを愛していた人はいない」等と発言した。

マイケルの死後、マイケルと親交のあったユダヤ教の指導者ラビ シュムリー・ボティーチが、1999年から2001年の間に30時間マイケルと行ったインタビューテープを元に「The Michael Jackson Tape」を出版。 マイケルはこの中で「老いることは醜い」と語っている。このテープには「テープでこんなことを言うのは避けたいけど」と言うマイケルの声も入っており、シュムリー・ボティーチはインタビューを録音することはマイケルも承知しており、当時、マイケル自身がイメージアップのために本の出版を希望していたがマイケル・ジャクソン裁判が始まり、マイケルの声を聞きたくないと言う風潮ができてしまったため、出版できなかった。マイケルの死後マイケルが再評価されている今ならマイケルの希望通りイメージアップができると考えての出版だと主張している。 指導者ラビシュムリー・ボティーチは出演したCNN等で「マイケルに美容整形を止めるよう忠告したがマイケルは聞き入れなかった。マイケルは私の忠告を疎ましく感じていたようだ」と語っている。

尋常性白斑

マイケル・ジャクソン(1997年)

「スリラー」の発売頃から肌が白くなり初め、「デンジャラス」の頃完全に白くなった。これについては長年真相が語られることはなかったが、ついに1993年のオプラ・ウィンフリー・トークショーで、話題にしたくないと悲痛な表情を見せながらもマイケル本人が病気によるものであると告白した[6]。また死後の検死報告では尋常性白斑という名の病気であったということが証明されている[7]。

2003年には狼瘡(ろうそう)患者支援団体および研究機関へのチャリティーイベントに出席したこともある。死亡した時のマイケルは爪に色素が残っているのみであった。

彼の亡くなる直前の皮膚の色は、明らかに白人とは異なる「純白」「蒼白」と呼ばれる類のものであり、明らかに異質な白さである。

マイケルが患っているとされる病気は、尋常性白斑(vitiligo,vulgaris,しろなまず(白癜)、白皮)という父方の病気で、皮膚の色素の一部分がぬけて、それが徐々に広がっていく(全身に広がってしまう事もある)自己免疫疾患である。彼の父親はアフリカン・アメリカンではあるが、目が青いなど多少白人の血が混じっている。マイケルは天気の良い日には肌を守るため黒い傘をさしており、マスクを付けたりサングラスをかけることもしばしばである(ただしサングラスは症状が酷くなる前から愛用しており、シャイなマイケルが顔を隠すためという理由も大きい)。

ボビー・テイラーは、マイケルが子供の頃シャワーを浴びる姿を見たとき、体中に白い斑点があったと語っている。当時はまだ体の一部だけだったようである。初めのうちは黒いファンデーションで隠せる程度であったが、やがて隠せなくなりやむを得ず白いファンデーションを使うようになったという。「Dangerous」を歌っている最中にズボンに白いファンデーションが付いてしまった映像もある。疑う声もあるが、マイケル・ジャクソンの1993年の性的虐待疑惑では性器の白斑が問題となっている。なお、この疑惑では結果的に少年の証言と実際にマイケルの性器にある白斑は一致しなかった。また、英デイリーメール紙がマイケルの足に尋常性白斑の患者にできる斑点・シミのようなものがある写真を掲載したことは、マイケルが皮膚病を患っている可能性を示すものとなった[8]。

マイケル自身が「色素を破壊する肌の病気なんだ。父によると父方の遺伝らしい。僕だって悩んでいるけど自分ではコントロールできない。むしろ抑えようとしている。肌の色を均一にするメークも大変なんだ。」と訴えたこともある。

また「僕はアフリカン・アメリカンである事に誇りを持っている。」とも発言している。進行し続ける白斑の問題は彼を悩ませ続けた。

マイケル・ジャクソン裁判の際も「彼は少なくとも1984年には尋常性白斑および全身性エリテマトーデスを患っていると診断されていた」と主張した。

尋常性白斑は一般的に顔面と手などに著しくその症状が出る。唇にもその症状が発生し、顔面と手の治療は困難だと言われている。 マイケルがメークをしていた理由は紫外線によって発生する斑や皮膚がんから肌を守るためであった。マイケルの写真集などでも指先に白斑があることが分かる物がある。マイケルが右手に手袋等をしていたのは白斑を隠す為であったとも言われている。マイケル・ジャクソン裁判でマイケルの弁護をしたトーマス・メゼロウは「彼はシャツを脱いで私に背中を見せてくれた。彼の背中には茶色い斑点のような物があった。」と語っている。

この病気の全世界での罹患率はおよそ0.5%であり、男性より女性での発症率が高いことが疫学的に知られている[9]。日本ではほとんど知られていないが、罹患率は人種・民族を問わず1~2%である[10]。原因としては免疫障害、自律神経障害、ストレスなどの説がある。本来免疫というのは体の外部から侵入してくる非自己(ウイルスなど)と自己を区別して、非自己を排除する働きをするのが一般的なのだが、自己であるはずのメラニン細胞を攻撃、破壊または機能が低下してメラニンを作れなくしてしまい、その結果、皮膚が色抜けして白くなるというもの。メラニンを作れなくなった細胞は紫外線に対し無防備になり、皮膚癌などを防ぐため日焼け止めを塗布する等の処置をしなければならない。治療法は、レーザー治療(白斑付近のメラノサイトを刺激し白皮膚に色を甦らせる)、ドライアイス凍結療法、紫外線療法、外用薬などがある。また、体の50パーセント以上に白斑がみられる患者の場合、モノベンゾンなどの塗り薬を正常な皮膚に塗布し残りの正常な皮膚から色素をぬく方法(体の色を均一化)が取られる事もある。

家庭内発症

尋常性白斑は20〜30%で家庭内発症がみられているが、ジャクソンファミリーも同様である。 マイケルの姉であるラトーヤ・ジャクソンも同様に尋常性白斑を患っており、マイケルの遺児であるプリンス・ジャクソンにも白斑があるのをパパラッチが捉えている。 父・ジョセフ・ジャクソンによるとマイケルの叔母も白斑を患っているという。

関連項目

脚注

出典

  1. Can Michael Jackson's demons be explained?, BBC News, June 27, 2009
  2. Campbell (1995), pp. 96–97
  3. “Mirror says sorry for Jackson libel”. BBC (1998年11月9日). 2008年7月29日閲覧。
  4. Taraborrelli, pp. 205–210
  5. “Michael Jackson's Secret Childhood”. VH1. 2008年6月20日閲覧。
  6. Michael Jackson Talks To Oprah
  7. “PDF 検死報告書”. 2014年7月29日閲覧。
  8. Shocking pictures which show Michael Jackson's drug-ravaged legs as police say they are treating his death as homicide
  9. Njoo, M. David and Westerhof, Wiete (2001). “Vitiligo: Pathogenesis and Treatment.”. American Journal of Clinical Dermatology 2 (3): 167-181.
  10. “PIGMENTATION DISORDERS”. 2014年11月1日閲覧。

参考文献

  • Campbell, Lisa (1995). Michael Jackson: The King of Pop's Darkest Hour. Branden. ISBN 0828320039
  • Taraborrelli, J. Randy (2004). The Magic and the Madness. Terra Alta, WV: Headline. ISBN 0-330-42005-4

外部リンク

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