台高山脈
台高山脈(だいこうさんみゃく)は、紀伊半島東部に位置する山脈。大台ヶ原山地(おおだいがはらさんち)とも言う[1]。
| 台高山脈 | |
|---|---|
![]() 台高山脈を南東上空から望む 右下は宮川ダムの貯水池 | |
| 所在地 | 三重県・奈良県 |
| 位置 |
![]() |
| 最高峰 | 大台ヶ原山(1,695 m) |
| 延長 | 30 km |




三重県と奈良県の境を成し、標高1,000~1,600m級の山々が連なる[2]。大峰山脈と共に「近畿の屋根」と称される[1]ほか、「近畿の秘境」[3]・「三重県の屋根」[2]の異名を持つ。柿本人麻呂の短歌「東の野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ」(『万葉集巻1』)にある「東の野」の「かぎろひ」とは、現在の奈良県宇陀市大宇陀からこの山脈にかかる陽炎(かげろう)を見て詠んだものとされる[4]。
概要
紀伊半島一帯に広がる紀伊山地の1つで、高見山(1248.9m)から大台ヶ原山(最高峰:日出ヶ岳=1695.0m)まで南北に連なる山脈である。稜線の長さは30kmに及び、北は高見山地、南は牟婁山地(むろさんち)、西は大峰山脈と隣接する。三重県と奈良県の境界になっており、山脈の東側が三重県、西側が奈良県である。
「台高山脈」は、山脈の両端にある大台ヶ原山と高見山からそれぞれ1字ずつとって名付けられた合成地名である。奈良県吉野の岸田日出男の命名であると言われる[1]。
山脈の北部は室生赤目青山国定公園・香肌峡県立自然公園、中部は奥伊勢宮川峡県立自然公園、南部は吉野熊野国立公園に指定され、日本政府や三重県・奈良県によって自然が保護されている。
地形

地形学的には「壮年期」に位置付けられる[1]。急峻な山々が連なり、大杉谷などの深い峡谷が刻まれている。一方、大台ヶ原山は非火山性の隆起準平原で[6]、山頂に平坦面も見られる。
三重・奈良両県に加え、和歌山県にとっても水源として非常に重要であり、三重県側では櫛田川や宮川の、奈良県側では吉野川(紀の川)・北山川(熊野川)の水源となっている[7]。奈良盆地では吉野川の恩恵を受けることができず溜め池に頼ってきたが、国営十津川紀の川土地改良事業による吉野川分水で水不足が解消された[8]。
主な山
特記のないものは三重・奈良県境の山である。
地質
北端の高見山付近に中央構造線が通り、その北側は中生代の花崗岩類と変成岩からなる領家帯である[10]。南側には古生代の長瀞変成岩類、結晶片岩からなる三波川帯、砂岩・頁岩・チャート・石灰岩などからなる秩父層群が見られる[10]。中央構造線沿いには圧砕岩(マイロナイト)が帯状に連なる[10]。
動植物
植生
奈良県南部の吉野林業地帯では、第二次世界大戦後に奥地開発の影響で多くが人工林になった[12]が、台高山脈ではトウヒ・ブナなどの原生林が広がり、その下層にはコケが一面に生育し「モスフォレスト」を形成する[13]。特に西大台ヶ原のブナ林は太平洋型ブナ林としては日本最大で、東大台ヶ原のトウヒの純林は日本の南限であるなど学術的価値が高い[12]。植物種は豊富で、生きている化石と称されるコウヤマキや、渓谷でサツキツツジ・アサマリンドウが生育する[13]。 標高が1000mを越えると、植物相が大きく変化するため、台高山脈では高山植物から中低山植物まで幅広く分布する[14]。シダ植物・単子葉植物・双子葉植物などがあり、台高山脈にしか見られない固有種もいる[14]。
文化
交通
登山道の整備はあまり進まず、入山ルートも限られる[3]。特に険しい三重県側は少なく、比較的傾斜の緩やかな奈良県側からの登山道が多い。台高山脈を越える主要な道路は現在でも高見峠越えの1本のみである。この道は大和国(奈良県)と伊勢国(三重県)を結ぶ主要路として古代より開かれた。江戸時代には紀州藩の藩道に指定され、和歌山街道と呼ばれ、参勤交代や伊勢・吉野・高野山への参詣客が多数往来した。
脚注
- 徳久・三省堂編修所(1989)、291ページ
- “エンジョイIITAKA”. 松阪市役所. 2010年5月20日閲覧。
- 『富士フォトサロン』富士フイルム
- “人麻呂の「かぎろひ」出現…奈良・宇陀”. 奈良満彩:関西発. 読売新聞 (2009年12月10日). 2010年5月31日閲覧。
- 深田久弥『[第46回 大峰山 大台ヶ原 (3/3) - 日本百名山 - 地球発 - どらく]』朝日新聞(2010年5月31日閲覧。)
- 日本野鳥の会『』
- 「角川日本地名大辞典」編纂委員会(1990)、232ページ
- “地域の概況 奈良県”. 近畿農政局南近畿土地改良調査管理事務所. 2010年6月1日閲覧。
- 徳久・三省堂編修所(1989)、292ページ
- 松阪市役所飯高地域振興局『飯高へようこそ!』
- “奈良県防災航空隊”. 奈良県防災航空隊. 2010年5月20日閲覧。
- “自然/奈良県公式ホームページ”. 奈良県. 2010年5月20日閲覧。
- 関西広域機構『関西の国立公園・国定公園・海中公園-Kansai Window』(2010年5月31日閲覧。)
- 奈良県生活環境部環境政策課. “奈良県環境資源データブック”. 奈良県. 2010年6月1日閲覧。

