おひつじ座
おひつじ座(おひつじざ、牡羊座、Aries)は、現代の88星座の1つで黄道十二星座の1つ。2世紀頃にクラウディオス・プトレマイオスが選んだ「トレミーの48星座」の1つ。ヒツジをモチーフとしている。
| Aries | |
|---|---|
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| 属格形 | Arietis |
| 略符 | Ari |
| 発音 | 発音: [ˈɛəriːz]、正式には/ˈɛərɪ.iːz/; 属格:/əˈraɪ.ɨtɨs/ |
| 象徴 | ヒツジ |
| 概略位置:赤経 | 3 |
| 概略位置:赤緯 | +20 |
| 広さ | 441平方度[1] (39位) |
| バイエル符号/ フラムスティード番号 を持つ恒星数 | 67 |
| 3.0等より明るい恒星数 | 2 |
| 最輝星 | α Ari(2.01等) |
| メシエ天体数 | 0 |
| 確定流星群 |
おひつじ座五月流星群 おひつじ座秋季流星群 おひつじ座δ流星群 おひつじ座ε流星群 おひつじ座白昼流星群 おひつじ座-さんかく座流星群 |
| 隣接する星座 |
ペルセウス座 さんかく座 うお座 くじら座 おうし座 |
主な天体
恒星
国際天文学連合 (IAU) によって6個の恒星に固有名が認証されている[2]。
- α星:おひつじ座で最も明るい恒星で、唯一の2等星[3]。「ハマル[4](Hamal[2])」は、アラビア語で「羊」を意味する言葉に由来する。
- β星:おひつじ座で2番目に明るい恒星で、3等星[5]。A星は「シェラタン[4](Sheratan[2])」という固有名を持つ。
- γ星:4.52等のγ2星[6]と4.589等のγ1星[7]のほぼ同じ明るさを持つ2つの恒星からなる連星。γ2星Aは「メサルティム[4](Mesarthim[2])」という固有名を持つ。
- δ星:4等星[8]。「ボタイン[4](Botein[2])」という固有名を持つ。
- 39番星:[9]。「北のユリ」を意味する「リリーボレア(Lilii Borea[2])」という固有名を持つ。
- 41番星:4等星[11]。Aa星は「バラニー(Bharani[2])」という固有名を持つ。
上記以外で、以下の星が知られている。
由来と歴史
紀元前500年頃に制作されたとされる古代メソポタミアの粘土板文書『ムル・アピン』では、「雇夫」と呼ばれる麦播きの農繁期に雇われる日雇い農夫を指すアステリズムであった[13]。この雇夫は、現在「ペガススの四辺形」と呼ばれているペガスス座α星、β星、γ星、アンドロメダ座α星からなるアステリズムである「野(耕地)」を耕すものとされた[13]。「男」と「羊」を表す言葉の発音が共に「ル (lu)」であったことから、羊と同一視されるようになったとされる[13]。
神話
紀元前3世紀頃の学者エラトステネースの著書『カタステリスモイ[注 1]』や紀元前1世紀の著作家ヒュギーヌスの著書『天文詩』では、ヘーシオドスやペレキュデースが伝える伝承として、ボイオーティア王アタマースの息子プリクソスと娘ヘレの双子の兄妹が、継母イーノーの悪巧みによって生贄にされそうになったときに、大神ゼウスが遣わして二人を乗せて逃げた金の毛皮を持つ雄羊であると伝えている[14][15]。ヘレは羊が走る途中に手が滑り、現在のダーダネルス海峡に落ちて溺れ死んでしまった[14]。そのため、ギリシアではこの海を「ヘレの海」を意味する「ヘレースポントス (Έλλης πόντος)」と呼んだ[14]。プリクソスは逃亡先のコルキスでこの羊を生贄に捧げ、その金羊毛を当地の王アイエテスに贈った[注 2]。この羊の皮を手に入れるための冒険がアルゴー号(アルゴ座)の冒険、アルゴナウタイ神話である[14]。
またヒュギーヌスは著書『天文詩』の中で、紀元前5世紀頃のアテネの喜劇作家ヘルミッポスの伝える話として、アフリカに遠征したローマの豊穣神で酒神のリーベルの軍隊が渇きに苦しんでいるときに彼らを水場へ導いた羊の伝承を紹介している[15]。羊は兵を水場に導くと姿を消した。リーベルはこの地にユピテル・アモン[注 3]を称える神殿を建立し、雄羊の角を持つ神の像を立てた[15]。
呼称と方言
日本では、1879年(明治12年)にノーマン・ロッキャーの著書『Elements of Astronomy』を訳した『洛氏天文学』が刊行された際には「牝牛」と誤訳されていた[16]。のちに「牡羊」という訳が充てられ、1908年(明治41年)4月に創刊された日本天文学会の会誌『天文月報』では同年9月の第6号から「牡羊」という星座名が記された星図が掲載されている[17]。1910年(明治43年)2月に訳語が改訂された際も「牡羊」がそのまま使用された[18]。戦後の1952年(昭和27年)7月、日本天文学会は「星座名はひらがなまたはカタカナで表記する」[19]とした。このときに、Aries の訳名は「おひつじ」と定まり[20]、以降この呼び名が継続して用いられている。
脚注
注釈
出典
- “星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
- “IAU Catalog of Star Names (IAU-CSN)”. 国際天文学連合 (2022年4月4日). 2022年11月13日閲覧。
- "alf Ari". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月13日閲覧。
- 原恵『星座の神話 - 星座史と星名の意味』(新装改訂版第4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、210頁。ISBN 978-4-7699-0825-8。
- "bet Ari". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月13日閲覧。
- "gam2 Ari". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月13日閲覧。
- "gam1 Ari". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月13日閲覧。
- "del Ari". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月13日閲覧。
- "39 Ari". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月13日閲覧。
- "41 Ari". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月13日閲覧。
- Durlevich, Olga. “GCVS Introduction”. Sternberg Astronomical Institute. 2022年11月13日閲覧。
- 近藤二郎『わかってきた星座神話の起源 古代メソポタミアの星座』誠文堂新光社、2010年、56-57頁。ISBN 978-4-416-21024-6。
- Ridpath, Ian. “Aries”. Star Tales. 2022年2月5日閲覧。
- Condos; Theony (1997). Star myths of the Greeks and Romans : a sourcebook containing the Constellations of Pseudo-Eratosthenes and the Poetic astronomy of Hyginus. Grand Rapids, MI, U.S.A.: Phanes Press. pp. 36-42. ISBN 978-1-60925-678-4. OCLC 840823460
- ジェー、ノルマン、ロックヤー 著、木村一歩、内田正雄 編『洛氏天文学 上冊』文部省、1879年3月、55頁。
- 「九月の天」『天文月報』第1巻第6号、1908年9月、8頁、ISSN 0374-2466。
- 「星座名」『天文月報』第2巻第11号、1910年2月、11頁、ISSN 0374-2466。
- 『文部省学術用語集天文学編(増訂版)』(第1刷)日本学術振興会、1994年11月15日、316頁。ISBN 4-8181-9404-2。
- 「星座名」『天文月報』第45巻第10号、1952年10月、13頁、ISSN 0374-2466。

