GOSAT-GW

GOSAT-GWGlobal Observing SATellite for Greenhouse gases and Water cycle、温室効果ガス・水循環観測技術衛星[1][注 1]は、環境省国立環境研究所(NIES)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共同で開発中の、温室効果ガスおよび水循環観測技術衛星。

温室効果ガス・水循環観測技術衛星
GOSAT-GW[1][2][3]
所属 宇宙航空研究開発機構(JAXA)
主製造業者 三菱電機[1]
状態 開発中
目的 温室効果ガス(二酸化炭素およびメタン)の濃度分布の測定
水循環変動の把握と予測
実利用分野(気象・水産・航行支援)への社会実装
設計寿命 7年以上[1]
打上げ機 H-IIAロケット[2]
打上げ日時 2024年度[1]
物理的特長
質量 約2,600 kg(打上げ時)[1]
発生電力 5.3 kW [1]
姿勢制御方式 3軸姿勢制御
異常時は太陽指向スピン安定
軌道要素
周回対象 地球
軌道 太陽同期準回帰軌道[1]
高度 (h) 666 km[1]
軌道傾斜角 (i) 98.1°[4]
回帰日数 3日[1]
観測機器[1]
TANSO-3 温室効果ガス観測センサ
AMSR3 高性能マイクロ波放射計

温室効果ガス観測技術衛星いぶき(GOSAT)、いぶき2号(GOSAT-2)の後継機として地球温暖化の原因とされる二酸化炭素メタンガスなどの温室効果ガスの濃度分布を宇宙から観測する[3]とともに、水循環変動観測技術衛星「しずく」(GCOM-W)の搭載センサAMSR2を高度化した高性能マイクロ波放射計AMSR3により水循環変動の把握と予測を行う[2]

目的

GOSATシリーズの後継として温室効果ガス濃度の状況を継続して観測するとともに、排出源の特定と排出量の精度向上を図る[3]。また、水循環観測技術の高度化により気象・水産・航行支援といった各分野のニーズに応える[1]

温室効果ガス観測[3]
  • 地球全大気の二酸化炭素およびメタン濃度の継続モニタリング
  • パリ協定に基づく各国の温室効果ガスインベントリ報告の透明性の確保
  • 大規模排出源の監視をすることにより、気候変動予測の精緻化、温暖化による大規模災害の拡大防止など防災対策への貢献
水循環変動の観測[1]
  • 水循環変動の把握と予測
    • 気候変動に伴う水循環変動を把握し、社会生活への影響予測と対策に役立てる
  • 実利用分野への社会実装
    • 気象庁や世界の気象機関において、予報業務にAMSR3データが定常的に利用され、台風や集中豪雨などの予測精度向上に貢献する
    • 海面水温の情報を提供し、漁場探索等に貢献する
    • 海氷密接度や海面水温の情報を提供し、船舶の安全運航に関わる海況・海氷情報作成や最適航路の選択に貢献する

衛星システム

環境省の温室効果ガスミッションに関する開発をJAXAが受託し、それにAMSR3を相乗りさせる[1]。衛星バスは、いぶき2号で実績のあるGOSAT-2バスを活用する[1]。いぶきと同等の軌道を取ることにより2つのミッションを両立可能とさせる[1][注 2]

観測装置

環境省から受託したJAXAと環境省、NIESが共同開発する温室効果ガス観測センサTANSO-3と、JAXAが開発する高性能マイクロ波放射計AMSR3が搭載される[1]

TANSO-3(温室効果ガス観測センサ)

TANSO-3(Total Anthropogenic and Natural emissions mapping SpectrOmeter-3)は、CO2、CH4、およびNO2を測定するセンサ[1]。いぶきやいぶき2号では直径10キロメートル(km)の点観測であったが、これを面観測に変更することにより各国の温室効果ガス排出量の透明性を高める[5]

広域観測モード

911km以上の観測幅を10km分解能で面的に観測する[5]

精密観測モード

90km以上の観測幅を3キロ分解能で詳細に観測する[5]

AMSR3(高性能マイクロ波放射計3型)

高性能マイクロ波放射計3型AMSR3(Advanced Microwave Scanning Radiometer 3)は、みどりIIに搭載されたAMSR(口径2.0m)、アメリカの衛星Aquaに搭載されたAMSR-E(口径1.6m)、およびしずくに搭載されたAMSR2(口径2.0m)の改良型である[1]。口径2.0mの大型反射鏡を1分間に40回転させることで、地上を1,530キロメートルの円弧状にスキャンして測定する[1]。AMSR2より信頼性を向上させ、設計寿命も5年から7年以上に伸ばされている[1]

マイクロ波の測定チャンネルとして、NASAGPM-CoreのGMIにも使われた165 GHz帯と183 GHz帯を新設し、全球の降水分布の監視、特に高緯度地域の降雪量の把握に対応している[1]

脚注

注釈

  1. いぶき、いぶき2号と同じくGOSATシリーズであるが、Greenhouse gases Observing SATelliteの略称とされていた前2機とは違う言葉の略称となっている。
  2. 軌道高度、軌道傾斜角はいぶきと同じだが、昇交点通過地方太陽時(13:30 ± 0:15)はしずくと同様となる[5]

出典

  1. 今井良一; 小島寧 (10 December 2019). 温室効果ガス・水循環観測技術衛星(GOSAT-GW)プロジェクト移行審査の結果について (PDF). 第52回宇宙開発利用部会. 宇宙航空研究開発機構. 2020年2月22日閲覧
  2. 文部科学省・JAXAにおける 衛星開発・運用状況 (PDF). 第51回宇宙産業・科学技術基盤部会. 文部科学省研究開発局. 25 November 2019. 2020年2月22日閲覧
  3. GOSATシリーズによる地球環境観測事業”. 環境省 (2019年12月). 2020年2月22日閲覧。
  4. 文部科学省・JAXAにおける 衛星開発・運用状況 (PDF). 第43回宇宙産業・科学技術基盤部会. 文部科学省研究開発局. 25 November 2019. 2020年2月23日閲覧
  5. 温室効果ガス観測技術衛星GOSATシリーズについて (PDF). NSC定例勉強会. 環境省地球環境局総務課脱酸素化イノベーション研究調査室. 7 February 2020. 2020年2月23日閲覧

関連項目

外部リンク

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