博多総合車両所

博多総合車両所(はかたそうごうしゃりょうしょ)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)の新幹線車両が配置されている車両基地および車両工場である。

博多総合車両所
博多南駅ホームから見た博多総合車両所構内
基本情報
日本の旗 日本
鉄道事業者 西日本旅客鉄道
帰属組織 新幹線鉄道事業本部
所属略号 幹ハカ
車両基地概要
敷地面積 501,783 m2
配置両数
電車 1023両
合計 1023両
備考 2021年4月1日現在のデータ
敷地面積は有価証券報告書の値[1]
博多総合車両所周辺の空中写真(2018年4月撮影の写真)
国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成
博多総合車両所全景(2009年10月18日)

概要

山陽新幹線博多駅まで全線開業する前年の1974年昭和49年)に当時の日本国有鉄道(国鉄)により開設された新幹線用の車両基地である。山陽新幹線に付随する唯一の総合車両基地である。

開設当時は山陽新幹線にとどまらず、まだ計画段階だった九州新幹線の車両基地としても利用される事を想定していた。しかし国鉄分割民営化により山陽新幹線と(当車両所を含む)関連施設がJR西日本に承継された一方で、その後建設が始まった九州新幹線の運営主体は九州旅客鉄道(JR九州)となり、九州新幹線の車両基地は当車両所とは別途設けられることになった。2004年平成16年)の新八代以南の部分開業時は川内駅に隣接した川内新幹線車両センターが暫定的な車両基地となり(全般検査は鹿児島総合車両所まで輸送されて行われた)、2011年(平成23年)3月の全線開業後は、新たに熊本駅の南方に熊本総合車両所が建設されている。

本所

博多駅の南約9kmの場所に位置している。敷地の北半分が福岡県春日市、南半分が福岡県那珂川市にまたがっている(事務所が那珂川市側にあるため、所在地は那珂川市中原東2丁目となっている)。地元では地名にちなみ「那珂川新幹線基地」と呼ぶこともある。構内の一角に1990年(平成2年)開設の博多南線博多南駅があり(駅舎が春日市側にあるため、駅住所は春日市上白水8丁目となっている)、本車両所への出入庫列車を利用して営業運転が行われている。九州新幹線の本線とは当車両所北側の福岡市南区弥永4丁目で分岐する構造となっているが、JR西日本とJR九州の管理境界は博多駅構内ではなくこの場所となっている。

本所では、全般検査・台車検査・交番検査・仕業検査およびATC特性検査などの各種車両検修を行う。総務科・車両科・技術科・試験科・設備科・構内運転科・電車センター・台車センター・運用センターの各科・各センターに分かれており、3センターが現場作業を行っている。また博多駅構内には博多駅ホーム派出があり、九州新幹線を含めた博多駅で折返し運転を行う列車の折返し検査等を行っている。

着発線21線、組替・電留・通路線9線、検修庫線7線、台車振替線2線、車輪研削線2線を備えている[2]

岡山支所

岡山支所

岡山県岡山市北区北長瀬本町にある車両基地で、開所当初は大阪第一運転所岡山支所としていたが、国鉄分割民営化時に大阪第一運転所(現・大阪仕業検査車両所)が東海旅客鉄道(JR東海)の組織となったことから、独立した組織である岡山新幹線運転所となっていた。こうした経緯から、民営化後に増設した部分を除いて土地がJR東海からの借地となっている[3]

検修線2線と電留線14線を備えており、17番線(通路線)からは岡山保守基地と行き来することができる[4]。主な業務は新幹線車両の交番検査、仕業検査、臨時検査、ATC特性検査などである。 現在、車両の配置はなく、運転士・車掌の配置もない。

広島支所

広島支所
広島支所全景

広島県広島市東区にある車両基地で、開所当初は独立した組織である広島新幹線運転所であった。芸備線矢賀駅の北側にあり、当基地への回送線は広島駅の東側(岡山寄り)で上下本線に挟まれて単線で分岐している。

開設当初は検修線2線、留置線8線、試運転線1線と引上線1線を備えていた[5]。主な業務は新幹線車両の仕業検査、臨時検査、広島駅発着車両の早朝・深夜帯における夜間留置などである。開所当初は仕業検査線2線、着発収容線9線の全11線で、すべて16両編成対応だった。2010年(平成22年)3月に隣地の広島運転所矢賀派出所電留線跡地の活用で、新たに着発収容線9線が増設された。増設された線は、12 - 17番線は8両編成に、18 - 20番線は16両編成に対応になっている。従って、現在は検修線2線、留置線8線、試運転線1線、着発収容線9線の陣容になっている。 かつては912形ディーゼル機関車が配置されていたが、現在、貨車のみ配置されている。

かつては運転士の配置もあったが、乗務員部門は別途広島新幹線運転所として広島駅構内に置かれている。

北緯34.406544度 東経132.501585度 / 34.406544; 132.501585

配置車両の車体に記される略号

新幹線鉄道事業本部の略号である「幹」と、博多の電報略号である「ハカ」から構成された「幹ハカ」となっている。

配置車両

現在の車両

JR西日本所属の山陽新幹線用車両の全車が本所に配置されている(一部の事業用車両は登記上は本所所属のまま管内の各駅に常駐している)。運用的には、東海道新幹線との直通運用に供される16両編成と、九州新幹線との直通運用に供される8両編成、山陽新幹線内に限定して運用される8両編成に分かれている。

東海道・山陽・九州新幹線系統に供される車両のうち、JR九州のみが保有する800系電車以外の全系列が当車両所に配置されている。

2024年令和6年)3月14日現在の配置車両は以下のとおり[6]

ほかにも車籍は抹消されているが、新幹線100系電車の2階建て中間車(168-3009・179-3009)が保存されている。

2024年以降には保存車両の解体が相次いでおり、2月には0系1000番台の先頭車(22-1047)が、3月にはWIN350の先頭車(500-906)が解体されている。

営業用(現行)

  • 500系電車(48両)
    • 7000番台で組成される8両編成(V編成)6本(V2 - V4、V7 - V9編成)が在籍し、山陽新幹線内の「こだま」で運用されている。
    • 当初は0番台の16両編成(W編成)9本(W1 - W9編成)が配置され東京直通の「のぞみ」に優先的に充当されていたが、300系や700系と座席配置やドア位置が異なることから運用上の問題があったことやN700系N編成の登場、当時山陽新幹線内のこだまとして運用されていた0系R編成の老朽化等により、2007年(平成19年)11月からW1編成を除いて順次V編成に改造・短縮され、2010年2月28日を以て「のぞみ」運用と東海道新幹線区間からは撤退した。V編成に改造されなかったW1編成は2014年(平成26年)3月28日に全車廃車され、W編成は消滅した。
    • W1編成の博多方先頭車である1号車(521-1)は2016年(平成28年)に開業した京都鉄道博物館に保存展示されることとなり、整備および再塗装の上、2014年12月10日深夜に博多総合車両所から搬出された。その他の号車は解体されたが、東京方先頭車である16号車(522-1)は解体を免れ、2015年秋頃に日立製作所笠戸事業所に搬出された[7]
  • 700系電車(128両)
    • 7000番台で組成される8両編成(E編成)16本(E1 - E16編成)が在籍し、山陽新幹線内専用として「ひかりレールスター」と「こだま」で運用されている。
    • 当初は3000番台16両編成15本(B編成、B1 - B15編成)が配置され、当初は東海道新幹線直通用として東京 - 博多間の「ひかり」として運用され、その後2003年10月改正の「のぞみ大増発」に伴い、東京 - 山陽直通の「のぞみ」での運用がメインとなったが、N700系16両編成の登場に伴い、その後は東京 - 岡山間の「ひかり」、東京 - 新大阪間、岡山 - 博多間の「こだま」運用が中心となっていき、末期は東海道新幹線内の「こだま」や山陽新幹線区間では1日1往復「ひかり」でも使用されていた。 2017年(平成29年)9月よりN700系F編成の増備により廃車が開始され、2020年3月13日をもって定期運用を離脱した[8]。その後波動用車両としてB4編成が残され、500系V編成の代走にも充当されたが、2021年2月28日付で除籍され[9]、その後解体された。
    • 300系F編成の置き換えのためにJR東海より0番台16両編成8本(C編成、C11 - 18編成)が移籍したが、N700系F編成(4000番台)の増備に伴い、2017年2月までにすべて廃車された。
  • N700系電車N700S系電車(856両)[10]
    • 2013年(平成25年)12月に運用を開始したN700A4000番台の16両編成(F編成)24本(F1 - 24編成)、3000番台からの改造車であるN700a5000番台の16両編成(K編成)16本(K1 - 16編成)、7000番台で組成される8両編成(S編成)19本(S1 - 19編成)、N700S系3000番台の16両編成(H編成)4本(H1 - H4編成)が在籍する。
    • F編成・K編成・H編成は主に東海道・山陽新幹線直通の「のぞみ」「ひかり」のほか、間合い運用として小倉 - 博多間の「こだま」でも運用される。他、東海道新幹線区間内の「のぞみ」、「ひかり」、「こだま」でも運用される。
    • S編成は2008年(平成20年)に量産先行車1本が配備され、試験走行を実施していた。2010年度に8本が増備され、2011年3月12日から山陽・九州新幹線の「みずほ」「さくら」や一部の「ひかり(現在は定期運用はなく、臨時での運用となっている)」「こだま」で運用されている。更に同年度には10本が追加で増備された。運用の関係上、九州新幹線内のみの「さくら」「つばめ」にも充当されている。

事業用(現行)

営業用

  • 0系電車
    • ひかり」用16両編成のN・NH・H編成や「ウエストひかり」用12両編成のSK編成、「ウエストひかり」・「こだま」用6両編成のR編成 (R0 - R31) とWR編成 (R51 - R54・R61 - R68) 、4両編成のR編成 (R51 - R53) とQ編成 (Q1 - Q6) など多くの編成が配置されていた。
    • 2008年6月以降は6両編成3本 (R61・R67・R68) のみが配置されていたが、同年11月に定期運用から離脱し、その後12月に営業運転を終了し、2009年(平成21年)1月23日までに全車廃車となった。
    • R61・R67・R68編成は営業運転終了前に旧塗装に変更されていた。
  • 100系電車
    • 当初は3000番台として「グランドひかり」用の16両編成9本(V1 - V9編成)が配置され、1996年(平成8年)から1997年(平成9年)にかけて0番台の16両編成7本(G1 - G7編成)がJR東海から転入した。なお、G編成は車体の編成記号こそGのままだったが、0系のNH編成の運用を置き換えたため、新幹線運行管理システム(コムトラック)内では「N編成」として認識されていた。
    • その後、G編成はすべて廃車され、V編成は「こだま」用の4両編成12本(P1 - P12編成)と6両編成10本(K51 - 60編成)に改造された。P編成は2011年3月、K編成は2012年(平成24年)3月のダイヤ改正で営業運転を終了した。なお、K編成の一部(K53 - 55編成)は営業運転終了前に旧塗装に変更されていた。
    • →500系W1編成と同様に、K54編成の新大阪方先頭車である6号車も整備・再塗装の上、W1編成と同日に博多総合車両所から搬出された。
  • 300系電車
    • 3000番台の16両編成(F1 - F9編成)が配置されていた。
    • 当初は主に東京-山陽直通の「のぞみ」として運用されていたが、700系の登場後は次第に東京 - 岡山間の「ひかり」、東京 - 新大阪間、岡山 - 博多間の「こだま」運用が中心となっていった。2012年3月のダイヤ改正で100系とともに営業運転を終了した。
    • F1 - F6編成は東海旅客鉄道浜松工場へ廃車回送されて解体された。

事業用

歴史

一般公開

毎年10月鉄道の日付近に「新幹線ふれあいデー」と称して一般公開が実施される。かつては「新幹線サマーファミリーフェア」と称して7月20日前後に一般公開と新幹線車両の試乗会を実施していたが、2005年に発生した福知山線脱線事故の影響で同年以降中止され、2008年から開催時期を10月とし、一般公開のみとして再開しているが、2020年に新型コロナウイルスが発生した影響で、同年と2021年は中止され、2022年に従来通り10月開催という形に戻ったが、同年以降は抽選で当選した方のみ入場という形になった。

脚注

  1. 第34期有価証券報告書 46頁 (PDF) - 西日本旅客鉄道
  2. 博多総合車両所の概要インターネットアーカイブ)- 西日本旅客鉄道福岡支社
  3. 『新幹線EX』No.54、p.44、イカロス出版、2020年1月21日発売。
  4. 川島令三編著『山陽・九州新幹線ライン - 全線・全駅・全配線』講談社、2011年、p.25。ISBN 978-4-06-270073-3。
  5. 川島令三編著『山陽・九州新幹線ライン - 全線・全駅・全配線』講談社、2011年。ISBN 978-4-06-270073-3。
  6. ジェー・アール・アール編『JR電車編成表』2021夏 交通新聞社、2021年、p.126-131,421。ISBN 9784330025216。
  7. 「「確認試験車」とはどのような車両なのか?」『新幹線EX』通巻47号、イカロス出版、2018年、47頁。
  8. ジェー・アール・アール編『JR電車編成表』2021冬 ジェー・アール・アール、交通新聞社、2020年、pp.126 - 131。ISBN 9784330082202。
  9. ジェー・アール・アール編『JR電車編成表』2021夏 交通新聞社、2021年、p.359。ISBN 9784330025216。
  10. JR西日本ではN700系とN700S系を同一形式として扱っているため、本項でもそれに従う。
  11. 『JR電車編成表 '06冬号』ジェー・アール・アール、2005年、p.332頁。ISBN 4-88283-044-2。
  12. JR東海博物館(仮称)展示車両 (PDF) - 東海旅客鉄道プレスリリース 2009年7月24日
  13. 『東海道 山陽新幹線二十年史』日本国有鉄道新幹線総局、1985年、p.1195
  14. 『東海道 山陽新幹線二十年史』日本国有鉄道新幹線総局、1985年、p.1197
  15. 当初は同年3月から台車検査開始予定であったが、要員受け入れなどの遅れから4月より検査開始となった(『東海道 山陽新幹線二十年史』p.1197より)。
  16. 『東海道 山陽新幹線二十年史』日本国有鉄道新幹線総局、1985年、p.1199
  17. 当初は1975年10月から全般検査開始予定であった(『東海道 山陽新幹線二十年史』p.1181より)。
  18. 『東海道 山陽新幹線二十年史』日本国有鉄道新幹線総局、1985年、p.1201
  19. 『東海道 山陽新幹線二十年史』日本国有鉄道新幹線総局、1985年、p.1203
  20. 『東海道 山陽新幹線二十年史』日本国有鉄道新幹線総局、1985年、p.1204
  21. 『東海道 山陽新幹線二十年史』日本国有鉄道新幹線総局、1985年、p.1205
  22. 『東海道 山陽新幹線二十年史』日本国有鉄道新幹線総局、1985年、p.1207
  23. 『JR気動車客車情報』'87年版 ジェー・アール・アール 1987年
  24. “新幹線の安全性向上の取り組みについて”. 西日本旅客鉄道. (2018年3月30日). オリジナルの2018年4月3日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180403101448/http://www.westjr.co.jp/press/article/2018/03/page_12198.html

関連項目

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